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#29 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第16話「聖剣・藍風の持ち主」

 巨大きょだいすな竜巻たつまきまとった鎚矛メイス一撃いちげき普通ふつう人間にんげんなら簡単かんたんばされてしまいそうなその竜巻たつまきをあたかもけんるうようまわしてくる。そして、それにかうのがかたなった普通ふつう人間にんげんであるこの光景こうけい無謀むぼう言葉ことばなにより似合にあっていた。

ウイリー「ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

光男みつお「ッ!!」

 藍川あいかわ光男みつおは、砂嵐すなあらしけん一撃いちげきをギリギリまできつけ、抜刀術ばっとうじゅつかまえからかたな高速こうそく斬撃ざんげきした。

 まるで巨大きょだいなトラックに真正面まっしょうめんから自転車じてんしゃ正面しょうめん衝突しょうとつしにこうとする。そんなだれてもかりきったちからのある勝負しょうぶ

 のはずだった。

  ザンッ!!!

 かたな切先きっさき砂嵐すなあらしれたかとおもった瞬間しゅんかんかたなった延長えんちょう線上せんじょうがまるで突風とっぷういたかのようすなった。

光男みつお「!!?」

ウイリー「!!!?」

 あんな刀身とうしんあおいだけのかたなのどこにこんなちからかくされていたのか。二人ふたり理解りかいくよりもさき相手あいてった瞬間しゅんかん脊髄せきずい反射はんしゃうごしていた。

   ドンッ!!!

 ウイリーの鎚矛メイスふたたおそかってきたのをかたな咄嗟とっさらして、光男みつおいそいで建物たてもの物陰ものかげかくれてこころけようとつとめていた。

  ドクン!!ドクン!!ドクン!!ドクン!!

光男みつおけ!け!け!け!け!!藍川あいかわ光男みつお!!まずはとにかく冷静れいせいになれ!!冷静れいせいため呼吸こきゅうととのえろ!!)

光男みつお「スーーーーー……フゥーーーーー……」

 光男みつおつぶふかふか呼吸こきゅうをすることで心臓しんぞうおとなんとかしておさえようとした。

光男みつお「スーーーーー……フゥーーーーー……」

光男みつおいまおれ居合斬いあいぎりのかまえから返技カウンター一撃いちげき無心むしんしただけだ……とくなにねんじたワケでもく…普段ふだんより剣速けんそくうえだっただけだ……ってことはトリックはおれ剣術けんじゅつじゃなくて…)

 光男みつお右手みぎてにぎられていた『藍風あいかぜ』をふたたつめてみた。

光男みつお(このかたなにあるってことだ……沢城さわしろ大吾郎ダイゴロウ…アンタのつくったこの聖剣せいけんおれ想像そうぞうはるかに上回うわまわった、とんでもねぇ代物シロモノらしいな…!!)

光男みつお「ケリガン・コーエン……とりあえずは感謝かんしゃしておくぜ…!これでおれ適能者デュナミスト対等たいとう能力チカラにすることが出来できた…」

 光男みつお物陰ものかげからいそいでまわりの様子ようす警戒けいかいしながら、あるした。

 しかし、光男みつおはウイリーがてっきり瞬間しゅんかん攻撃こうげきしてるとおもってかまえをっていたが、ウイリーの姿すがたまった見当みあたらなかった。あたりには砂化すなかされた建物たてもの瓦礫がれき残骸ざんがいだけだった。

光男みつお(どこにかくれた?もしかして…もうアイツらをけてるのか?…それとも……)

 光男みつおあたりをキョロキョロしていると、ウイリーがすななかいきひそめていた。

ウイリー(な、なんだったんだいまのは!?…風力ふうりょく操作そうさけい能力チカラか!?おれ砂嵐鎚矛サンドストームメイスをあんなけん一本いっぽんばすなんざ、伽霊能力ギアルスキルでも使つかってなけりゃ説明せつめいがつかねぇ!!)

 ウイリーはまえきた出来事できごとたいして必死ひっし理解りかいしようとしたが、ひたいからながれるあせ自分じぶん焦燥しょうそうかんじていることにいた。

ウイリー(……あせ?…おれ何故なぜあせをかく…?いまこんなヤツ手間取てまどっていることにあせっているのか?…いや…それともおれが…藍川ヤツ自体じたいおそれているのか?)

 ウイリーは地中ちちゅうから光男みつおながら、自分じぶん感情かんじょうなんとか理解りかいしようとした。

 しかし、そのすぐあと光男みつおっていたその場所ばしょからいきなり全速力ぜんそくりょくはししてった。

ウイリー「!!?」

光男みつお「まずい!!アイツもしかして息子むすこたちもとこうとしてるんじゃ!!?」

 はしりながら大声おおごえでシカゴ支部しぶかって|行光男みつおてウイリーはあわてふためいた。

ウイリー「あの小僧こぞう…!!おれがあっちにかってると勘違かんちがいしてやがる…!!…ッ!?イヤ!!これはむし最高さいこう機会チャンスだ!!」

 すななかをまるでさかなようはやさでおよいでウイリーは光男みつおうしろ追跡ついせきしていった。鎚矛メイス先端せんたん光男みつお背中せなかねらいをさだめた。

ウイリー(ヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ……この俺様オレサマ散々さんざんてこずらせやがって…最後さいご背後はいごからこのひと刺突つきしてころしてやる!!)

 必死ひっしはしっている光男みつお背中せなか鎚矛メイスせる距離きょりまで近付ちかづいたウイリーは、地中ちちゅうから鎚矛メイスした。

  ガァン!!

ウイリー「とらえた!!」

 地面じめんから突如とつじょドリルのようして鎚矛メイス完全かんぜん光男みつお死角しかくからの攻撃こうげき絶対ぜったいけられない、そうおもっていた。

光男みつお「やっぱりそこにいたか」

 まるで背中せなかがあったかのように、身体からだをクルッと時計とけいまわりにまわしながら鎚矛メイス軽々かるがるかわした。

ウイリー「なに!!?」

 地面じめんから上半身じょうはんしん状態じょうたい鎚矛メイスった右手みぎてまえしているすきだらけのウイリーのみぎがわまわみ、身体からだ遠心力えんしんりょく光男みつお返技カウンター体勢たいせいはいっていた。

光男みつお「そこだッ!!」

  ザンッ!!!

 光男みつおはなった斬撃ざんげきは、またもや真空しんくうやいばんでったかのようちかくの建物たてものかべおおきなキズをつけた。かろうじてその攻撃こうげきけたウイリーは鎚矛メイス手放てばな地面じめんをゴロゴロところがっていった。

ウイリー「……なんだってんだよ…!!あのかたなは…!!」

光男みつお正直しょうじき…」

ウイリー「?」

光男みつお使つかってるおれ一番いちばんビックリしてんだよ……このけんはあるひとから日本にほんってようたのまれた逸品いっぴんでな…こんなところで使つかうつもりなんか本当ほんとうかったんだよ」

ウイリー「なに…?」

光男みつお「だけど仕方しかたねぇから、いざ使つかってみたらまぁおどろき…鎌風かまかぜこすけんとはらなかったぜ」

ウイリー「カマカゼ?なんなんだ一体いったいそれは?」

光男みつお空気くうきちゅう真空しんくう隙間すきま発生はっせいしたとききる物体ぶったい切断せつだんしてしまう自然しぜん現象げんしょうだ……それを意図的いとてきこすことができる、それがこの聖剣せいけん藍風あいかぜ能力チカラらしい…」

ウイリー「らしいって…おまえはそんな能力チカラがそのけん宿やどっていることもらなかったってのか?」

光男みつおたたかため武器ぶきとしてけんしいとだけっただけなんだが…とんでもないモンけちまったもんだおれも…」

ウイリー「…ヒッヒッヒッヒッヒ……つまりなにか?…おまえ得体えたいれない武器ぶき使つかってるってのか?…何時いつひと生命いのちうばうかもしれない正体しょうたいわかっていない武器ぶきを!さっきおれかってった言葉ことばわすれたとはわせねぇぞ?」

光男みつおなんのことだっけかな?」

ウイリー「自分じぶんたち使つかっている能力チカラがどういったものなのかただしく認識にんしきもしないで使つかっているってな!」

光男みつお「……他人たにん足取あしとりが上手うまいのはどうやらおたがさまらしいな」

ウイリー「結局けっきょく貴様キサマおれおなじってことさ!!俺達おれたち人間にんげんちからにすればそれをるわずにはいられねぇんだよ!!」

光男みつお「………」

ウイリー「なに認識にんしきだ!!なに自然しぜんへの謙虚けんきょさの欠如けつじょだ!!えらそうに説教せっきょうすんじゃねぇよ無適能者アンチステージが!!」

光男みつお「…いたいことはそれで全部ぜんぶか?」

ウイリー「なに?」

光男みつおおれとアンタのちがいについてそんなにりたいかい?ド三流さんりゅう野郎ヤロウが…」

ウイリー「!!……なんつった…!!?」

光男みつお「だったらここからおしえてやるよ……明確めいかくちからってのをな」

ウイリー「……面白おもしれぇ…!!だったら…」

 ウイリーは地面じめんちていた鎚矛メイスひろげ、かたたかさまで戦闘せんとう状態じょうたいふたたはいった。

ウイリー「やってみろ!!!」

 ウイリーはれるほど怪力パワー地面じめんり、たった一歩いっぽ光男みつおまでの間合まあいをめた。

 光男みつお自身じしんかお目掛めがけて横殴よこなぐりしてようとした鎚矛メイスかたなけるかまえをった。

ウイリー「無駄ムダだ!!!」

ウイリー(そんなけん貴様キサマ細腕ほそうでじゃあおれ鎚矛メイスふせぎきれねぇ!!)

光男みつお「ッ!!」

   スルッ!!

 光男みつお鎚矛メイス切先きっさきれるやいなや、かたなななめにかたむ攻撃こうげきながした。そして、バランスをくずしたウイリーのふところにまた身体からだ独楽コマよう回転かいてんさせた。

光男みつお「…っせえぇぇぇぇい!!!」

   ザンッ!!

 遠心力えんしんりょくった渾身こんしん一撃いちげきをウイリーのはら目掛めがけてはなった。しかし…

光男みつお(…!!そんな…)

 光男みつおやいばすなかたまりめていた。

ウイリー「この俺様オレサマおんな攻撃こうげき何度なんどらう間抜まぬけだとでもおもったか?」

光男みつお「いんや…こっからでしょうが!!」

 すなたてからかたなき、左手ひだりてでウイリーに喉輪のどわ仕掛しかけた。

ウイリー「グア!!?」

光男みつお「オオオオオオオオオオオオ!!!」

 完全かんぜんきょかれたウイリーはバランスがれず地面じめん仰向あおむけにたおれてしまった。そこに馬乗うまのりになって完全かんぜんにマウントをった光男みつおはウイリーのかおけてやいばてた。

光男みつお「さらばだ。ウイリー・べドナー」

 しかし、つぎ瞬間しゅんかんウイリーはまるでみずしずむかのように、地面じめんすななかしずんでった。

 光男みつおかたなむなしく地面じめんおとててさっただけでなん手応てごたえもかった。

光男みつお「……クソ!」

ウイリー「なにがさらばだって?」

   ドンッ!!!

 光男みつお地面じめん全体ぜんたいからウイリーのこえひびわたったとおもった瞬間しゅんかんに、みぎがわから突然とつぜん海面かいめんからるトビウオのよう地面じめんからして光男みつお鎚矛メイスかってた。

光男みつお「!!?」

   ガキィィン!!!

 鎚矛メイスかたなめるので精一杯せいいっぱいだった光男みつおからだばされ、地面じめんたたけられた。かろうじて受身うけみれていた光男みつおふたた体勢たいせいなおした。

光男みつお「いきなり地面じめんから攻撃こうげきしてくるとはな…」

ウイリー「ヒッヒッヒッヒッヒ…これがおれ攻撃こうげきだ…!!予測よそく不能ふのう連続れんぞく攻撃こうげきをじっくりあじあわせてやる…」

 そして、ウイリーは地面じめんすなふたたしずみ、光男みつお背後はいご地面じめんからおそかった。

ウイリー「オラァ!!!」

光男みつお「ぐっ!!」

 巨大きょだい鎚矛メイスまわし、光男みつおかわされた直後ちょくごにまた地面じめんもぐんでつぎにまたべつ位置いちから攻撃こうげき仕掛しかけにる。これを何度なんどおこなった。

ウイリー(コイツは典型的てんけいてきなカウンターをねらタイプだ。こっちが下手ヘタ攻撃こうげきをしたあとつぎ攻撃こうげきうつろうとするモタついている瞬間しゅんかん攻撃こうげきしてくる。だから攻撃こうげきをしたあとにすぐ地面じめんもぐって体勢たいせいととのえてから攻撃こうげきをまた仕掛しかけていけばコッチが圧倒的あっとうてき有利ゆうりなんだよ…!!)

 地底ちていからの連続れんぞく奇襲きしゅう仕掛しかけるのを光男みつおはかろうじてかわつづけたのだった____


 ____シカゴの道路どうろ裏道うらみちとおっていた藍川あいかわ竜賀りゅうがと、メリアン・ベイカーと、猿渡さわたり源太げんたはマクシム連合れんごうのシカゴ支部しぶ地下ちかつながるかく通路つうろかってはしっていた。

メリアン「竜賀りゅうが?」

竜賀りゅうがなに?」

メリアン「本当ホント大丈夫だいじょうぶだったの?」

竜賀りゅうがなにが?」

メリアン「なにがって…貴方アナタのおとうさんよ!相手あいてはシカゴ支部しぶ適能者デュナミストたちのトップなのよ!そんな相手あいて貴方アナタのおとうさんは本当ホントてるの?」

竜賀りゅうが「……てるかどうかはさっぱりかんない」

源太げんた「ええ!!?」

メリアン「どうしてそんな状態じょうたいたたかったりするの!?」

竜賀りゅうがとうさんがよくってたのが…勝負しょうぶ行方ゆくえってのは最後さいごまでたたかってみないとやっぱりかんないってことですよ」

源太げんた「ああ、そういうことね」

メリアン「どういう意味いみ?」

竜賀りゅうが勝負しょうぶにせよたたかいにせよ“絶対ぜったい”なんていってうのがとうさんの剣道けんどう師匠ししょうだった母方ははかたのおじいちゃんの言葉ことばだったんです」

メリアン「剣道けんどうの…師匠ししょう?」

竜賀りゅうが「あー…つまり…剣術けんじゅつおしえていた先生せんせいってことです」

メリアン「そのひとおそわったことだから大丈夫だいじょうぶってこと?」

源太げんた勝負しょうぶに“絶対ぜったい”はいか……いつもおやっさんが俺達おれたち稽古けいこをするときにはいつもくちにしてる言葉ことばだよな?しつこいしつこい」

メリアン「だからてるってこと?」

竜賀りゅうが「……可能性かのうせいたしかにひくいかもしれない…けどあのときとうさんはわずかにあったてるすう%をしんじていたのかもしれません」

源太げんたたしかに…普通ふつうかんがえて無適能者アンチステージ霊段階ステージ10テン適能者デュナミストてるなんておもわねぇよな」

メリアン「だからそれが問題もんだいなんでしょ!?」

源太げんた「でも…」

メリアン「でも?なに?」

竜賀りゅうが多分たぶん源太げんたかんがえてることがぼく一緒いっしょなんだろ?」

源太げんた「うん……稽古けいこしてたときからおもってたけど…」

 源太げんたはニカッと満面まんめん笑顔えがおをメリアンにけて断言だんげんった。

源太げんた「どんなヤツ相手あいてでも、あのおやっさんがける姿すがたなんて全然ぜんぜん想像そうぞうできねぇな!」


 ____あた一面いちめん砂漠さばくしてしまった戦場せんじょうのドなかで、光男みつおかたな両手りょうてにぎった状態じょうたいかたいきをしていた。

光男みつお「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

 その疲弊ひへいした姿すがたをした光男みつお地中ちちゅうからじっとつめていたウイリーは、獲物えものねらけものようをぎらつかせていた。

ウイリー「ヒッヒッヒッヒ…もうむしいきか……あと串刺くしざしにして…ヤツからだをバラバラにしてヤツらのもときたねぇ肉片にくへんにしてってってやらぁ…!!」

 ゆっくり背後はいごまわみ、鎚矛メイス矛先ほこさき光男みつお心臓しんぞうけた。ねらいを完璧かんぺきさだめ、光男みつおうごきがにぶっているタイミングをねらった。

 そして、光男みつお両手りょうてにぎっていたかたなしたろしてかたいきをしはじめた瞬間しゅんかん、ウイリーがうごした。

ウイリー「!!いまだ!!ねぇぇぇ!!」

 地面じめんからもうスピードでし、鎚矛メイス光男みつお背中せなか目掛めがけてした。

  ヒョイ!!

 光男みつお鎚矛メイス先端せんたんたるとおもった瞬間しゅんかん光男みつお上半身じょうはんしんえた。ウイリーが視線しせんしたけると、光男みつお姿勢しせいひくくしてかたなかまえてウイリーにねらいをさだめていた。

ウイリー「〜〜〜クソッタレ…!!」

光男みつお「……ここだぁ!!!」

  ドスッ!!

 光男みつおかたな正確せいかくにウイリーの右手首みぎてくび直撃ちょくげきした。するど藍風あいかぜやいばなん抵抗ていこうくウイリーの手首てくびつらぬき、ウイリー自身じしん自分じぶん手首てくびけんやいば貫通かんつうしていることを認識にんしきできていなかった。

  ザンッ!!

 光男みつお藍風あいかぜ横薙よこなぎでくと、ウイリーの鎚矛メイスにぎったままの右手みぎて地面じめんにボトッとおおきなおとてて無惨むざんちていった。

ウイリー「…ウアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!??」

光男みつお「!!?」

 右手首みぎてくびからさき綺麗キレイくなった切口きりくちから今度こんどはドバッとあふはじめたのを光男みつおまるくしてていた。

ウイリー「ウアアアアアアアアア!!!が!!おれが!!」

光男みつお「ウルセェ!!!」

   ゴン!!

ウイリー「ぐ!!?」

 すると光男みつおいそいでウイリーのもとり、そのむなぐらをつかんでいきなり強烈きょうれつ頭突ずつきをかました。

光男みつおうで一本いっぽんとされたくらいでピーピーピーピーわめくな!!おまえ散々さんざんおなじくらいひでことしてきてんだろうが!!ああ!?」

ウイリー「ううう…!!」

 おでこをにして涙目なみだめになっていたウイリーが光男みつおむなぐらをつかまれグングンすられて、徐々じょじょにではあるがパニック状態じょうたいから脱出だっしゅつできそうになっているところ、光男みつおたたけるようにウイリーに尋問じんもんしていった。

光男みつお「マクシム連合れんごうのシカゴ支部しぶはこれからどうなるんだ!?何故なぜまえらはこの都市とし攻撃こうげきしようとしている!?ブルガントだん目的もくてきって一体いったいなんなんだ!?」

ウイリー「フーッ!…フーッ!…フーッ!…そんなことをおまえなんく?」

光男みつお質問しつもん質問しつもんかえすなボケナス!!こっちがいてんだよ!!」

ウイリー「……これは聖戦せいせんさ……俺達おれたちはこのたたかいにいのちけてんだよ…!!」

光男みつお聖戦せいせんだと…!?」

ウイリー「そうさ…だから俺様オレサマはここでいのちてることに…なん未練みれんえんだよ…!!」

 そしてウイリーは左手ひだりてからまたべつ伽鍵礼符キーカードした。しかし光男みつおそれを咄嗟とっさかたな切先きっさきつらぬいた。

光男みつお「させるかよ!!これ以上いじょうなにも!!」

ウイリー「!!?」

 ウイリーは左手ひだりてにぎっていた自分じぶん礼符カードけんつらぬかれているのをて、ワナワナとふるした。

ウイリー「あ……あ……」

光男みつお「…?……一体いったいどうした!?」

ウイリー「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」

光男みつお「!!??」

ウイリー「貴様キサマアアアアアアア!!!!よくも!!!よくも俺様オレサマ礼符カードを!!よくもオオオオオオオオオ!!!」

光男みつお「…な…なんだってんだ……」

  パチッ…

 するとウイリーの伽鍵礼符キーカードからくろちいさな稲妻いなづまようものはなたれはじめた。

  パチッ…パチッ…パチッ…パチパチ…パチパチパチパチッ…

光男みつおなんだ?…なにこってるんだ!?」

ウイリー「そんな…そんな…!!」

 ウイリーの表情ひょうじょう絶望ぜつぼう恐怖きょうふいろまっていくのとは対象たいしょうてきに、光男みつおなにがなんだかサッパリからないというかおをしていた。しかし、徐々じょじょ礼符カードからはなたれるくろ稲光いなびかりおおきくなっていった。

  バチバチバチバチバチチチチッ!!!!

 空気くうきをまるでよう轟音ごうおんあたりにひびわたり、くろ稲光いなびかりはウイリーの背後はいごすうメートルはなれた位置いち球体きゅうたいじょう収束しゅうそくしていった。

  バチバチバチバチバチ!!!!

 徐々じょじょおおきくなっていくくろかみなりかたまりは、それを胴体どうたい中心ちゅうしんにしてあたま、そして手足てあしえてくるかのようかたちをみるみるうちえていった。

光男みつお一体いったい…これは……」

ウイリー「あ…あああ……いやだ…そんな…」

 そして手足てあしあたまえた“なぞなにか”はこまかい部分ぶぶんかたちまでクッキリとかるようになってくると、全長ぜんちょう30メートルちかくの巨大きょだいものとなっていった。

 その全貌ぜんぼうはまるで…

光男みつお「…巨大きょだいモグラ???」

???「グルルルルル…!!!」

ウイリー「はぁ…はぁ…はぁ…」

 ウイリーは完全かんぜんさおになって呼吸こきゅう満足まんぞくにできていなかった。うなごえげるソイツはまるで縄張なわばりをあらされたけものようきばしにしてウイリーをにらけていた。

光男みつお「おい!アンタ!こいつは一体いったいなんなんだ!?なんでアンタの伽鍵礼符キーカードからたんだ!?」

ウイリー「あああああああああああああああ!!!」

 光男みつお言葉ことばがねになったのか、ウイリーは光男みつお切断せつだんされた右腕みぎうでばし一目散いちもくさん脇目わきめもふらずにげようとした。が、それはかなわなかった。

  ガブッ!!!

 モグラの姿すがたをした巨大きょだい怪物かいぶつはしそうとしたウイリーの身体からだあたまからおおきなくちき、地面じめんからげた。、

  グチャグチョムシャクチャクシャ…

 人間にんげんほねにくらう生々なまなましいおと不気味ぶきみひびわたり、光男みつお背中せなか悪寒おかんはしった。

光男みつお(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!)

 怪物かいぶつくちかららった獲物ウイリーしたたらせながら、にく咀嚼そしゃくしててんあおいでいた。そしてすべてをんだあと

怪物かいぶつ「…グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

 天空てんくうとどろほどおおきいこええた。ちかくにいた光男みつお空気くうきがビリビリとけるよう轟音ごうおんから必死ひっし鼓膜こまくまもためみみふさいだ。

光男みつおなんだコイツ…メチャクチャうるせぇ!!」

 あたりの建物たてもの地面じめんすな共鳴きょうめいするかのようふるえた。そしてごえおさまると怪物かいぶつ視線しせんしたけ、光男みつおにらんでいた。

怪物かいぶつ「…グルルルルル…!!!」

光男みつお「…………………………やっベェ」

怪物かいぶつ「ガアアアアッ!!!!」

 光男みつお言葉ことばがね怪物かいぶつはウイリーの鎚矛メイスおなかたち巨大きょだいつめった渾身こんしん怪力パワー地面じめんろしてきた。

   ドガアアアアン!!!!

 一瞬いっしゅんにしてあた一面いちめん爆弾ばくだんんだかのようかんじた。重力じゅうりょく自身じしん身体からだしばられている、そんな常識じょうしきがにわかにはしんがたいほどの怪力パワー光男みつおばされた。

光男みつお「がはっ!!」

怪物かいぶつ「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 地面じめんたたけられたいたみにもだえていた光男みつお涙目なみだめになりながらもかお怪物かいぶつにらみつけていた。

光男みつお「……くそ……ここまでか……ここまでなのかよ…」

 自身じしんちからおよばなそうな強大きょうだいてきまえこころれそうになりかけていた光男みつおくやしいさでくちびるんだ。しかし、そのときまたべつこえ光男みつおみみとどいた。

???「たたかいたいか?」

光男みつお「!!?」

 光男みつおおもわずこえのするほうけた。しかしそこには人影ひとかげはなくこえぬしさがしてもだれもいなかった。

???「それともきたいか?」

光男みつおだれなんだ?…!!?」

 しかしそれ邪魔じゃまするよう怪物かいぶつふたた巨大きょだい光男みつおかってろした。光男みつおちからしぼって全力ぜんりょくけて、攻撃こうげき衝撃しょうげき紙一重かみひとえかわした。

光男みつお「くっそ!!一体いったいだれなんだ!?」

???「それともちたいか?」

光男みつお「!??…またこのこえ…どこからはなしてけてきてんだ」

 光男みつお怪物かいぶつうごきに注意ちゅういしながらもこえぬしさがすと、地面じめんころがっていた聖剣せいけん藍風あいかぜはいった。

光男みつお「…!……まさか…ウソだろ…!?」

 怪物かいぶつ光男みつおかってまた攻撃こうげきしてるのを光男みつお一歩いっぽはやうご藍風あいかぜりにった。かたなつかんで地面じめん受身うけみりながら怪物かいぶつから距離きょりった。

光男みつお「まさか……おまえなのか?藍風あいかぜ?」

 すると今度こんどははっきりとこえかたなからこえた。

藍風あいかぜたたかいたいか?それともきていたいか?それともちたいか?」

光男みつお「……そんなもまってらぁ…ちたいにまってんだろ!!」

怪物かいぶつ「グルルルルル…!!」

光男みつおおれはあのデカブツをたおしてまもらなきゃいけね人達ひとたちつが沢山たくさんいるんだ!!だから…だから…」

 光男みつお怪物かいぶつけ、かたなかまえた。

光男みつお藍風オマエ能力チカラおれしてくれよ!!相棒あいぼう!!」

 怪物かいぶつつめたばねるといきなりがドリルのよう高速こうそく回転かいてんはじめた。そしてドリルのよう光男みつおけてはなった。

怪物かいぶつ「グアアアアアアアアア!!!」

光男みつおくぜ…藍川あいかわ光男みつおりゅう剣術けんじゅつ…」

 光男みつおかがめて、居合斬いあいぎりのかまえをった。怪物かいぶつうなごえげて光男みつおおそかって、高速こうそく回転かいてんするドリルがあと1メートルで光男みつおとど刹那せつな

   ザンッ!!!

光男みつお「“怒神鎚いかづち”…!!!」

 光男みつおいたやいばにもまらぬはやさでさやからし、怪物かいぶつ目掛めがけていた。

 すると怪物かいぶつうごきがピタリとまりしばらくすると、のドリルの先端せんたんからかたとおって怪物かいぶつあたま一筋ひとすじあかせんかびがった。

 そして怪物かいぶつ身体からだから大量たいりょう血飛沫ちしぶきげて、ぷたつにれてしまった。

 光男みつおはその様子ようす唖然あぜんとしていた。

光男みつお「………………………てちゃったよ」

 光男みつお自分じぶんにぎっていたかたなた。

光男みつお「コーエンの野郎ヤロウ…とんでもねぇ逸品いっぴんくれたもんだぜ」

 光男みつおまった気付きづいていなかった。この聖剣せいけん藍風あいかぜあるじとしてみとめられているという事実じじつに。しかし光男みつお息子むすこ竜賀りゅうががそのことに気付きづくのはさらにあとはなしである。


To Be Continued

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