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#26 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第13話「猿渡源太の真実」

 よるになったシカゴの都市としなか不気味ぶきみほどしずかな都市まちにゾロゾロとなぞおとこたちあらわはじめた。そのおとこたち中心ちゅうしんにいたのは軍服ぐんぷく姿すがたをした高身長こうしんちょう紳士しんしようおとこだった。

スティーブン「さあ!!これより!このシカゴシティを一気いっき制圧せいあつする!!都市としのあらゆる場所ばしょ事件じけんこし、マクシム連合れんごう戦力せんりょく完全かんぜん分散ぶんさんされている!!いまこそ都市としがブルガントだんに!!」

一同いちどう「オオオオオオオオ!!!!」

 軍服ぐんぷくおとこ・スティーブンがほかおとこたちにそうはなつと、おとこたちらすほど雄叫おたけびをげた。

スティーブン「まずは都市まちぐちふさぎ、侵入者しんにゅうしゃ脱走者だっそうしゃないようにしろ!!そしてマクシム連合れんごうのシカゴ支部しぶ基地きち完全かんぜん包囲ほういしろ!作戦さくせんどおりにだ!!」

 そして都市まちのいたるところ破壊はかいしながらすすんでくその群勢ぐんぜい物陰ものかげ建物たてものなかかくれている人々ひとびと恐怖きょうふさせた。

 道路どうろがあっとにそのおとこたちくされた。そうおもったとき道路どうろもうスピードでけるあかいジープとしろくるまがあった。

 そのしろくるまのボンネットのうえっている女性じょせい黄色きいろひかむちまえはしあかいジープを攻撃こうげきしていた。そしてその攻撃こうげきをジープの荷台にだいうえかたなめている少年しょうねん藍川あいかわ竜賀りゅうがであった。

竜賀りゅうがとうさん!!ホテルまであとどのくらい!?」

光男みつお「もうここまでれば、あと10ぷんもかからないくらいだ!!それまでこたえろ!!」

 竜賀りゅうがおそかってくるひかりのむちかたなはじかえしたり、あるタイミングではうでめていた。

   バチィィィッ!!バチィィィッ!!

 まばゆ火花ひばならしているひかりのむち天使の刃レイズ・エッジすべさばききっている竜賀りゅうがをメリアン・ベイカーは怪訝けげんそうなかおていた。

メリアン(何故なぜわたし天使の刃レイズ・エッジかない…!?なにかの防御ぼうぎょ能力のうりょく?でもこの能力チカラはただの肉体にくたい硬化こうか程度ていどなら問題もんだいなくってしまえるハズだ…それに防御ぼうぎょ発動はつどうさせていながらあれだけうごけるのは本来ほんらいならありない…!!)

 攻撃こうげきかえしながらもまえきていることになかばパニックになりながら、メリアンは竜賀りゅうが能力チカラ分析ぶんせきしようとしていた。

 しかしつぎ瞬間しゅんかん___

  キキキイィィィィィィ!!!

 まえはしっていたジープがいきなり方向ほうこう転換てんかんをしみぎ脇道わきみちはいってった。それを咄嗟とっさ反応はんのうしてちかくのはしらむちくるま急旋回きゅうせんかいさせようとした。

   ザン!!

 しかし竜賀りゅうがはこれを一瞬いっしゅん見抜みぬき、むち地面じめんたたとしくるまがれずスピンすることになった。

ルーカス「クソがああああああ!!!」

  ガッシャアン!!!

 ルーカスとメリアンをせたくるまはそのままかべ激突げきとつしひっくりかえって大破たいはした。

ルーカス「いてててて……メリアン無事ぶじか!?」

メリアン「……ええ…とりあえずは…」

 くるま下敷したじきになっていたメリアンのいてたすした。二人ふたりはジープのがった脇道わきみちすこあきら気味ぎみいきをついた。

ルーカス「…ハアァ……かれたな…」

メリアン「…まだ…けられます…!!」

 メリアンはそういながらもおも足取あしどりで脇道わきみちほうあるいてった。ルーカスはそれをようあるいてった。

ルーカス「メリアン…おまえ気持きもちもかるが…かんがえてみろ…!ここは俺達おれたちにとっては未知みち都市とし相手あいてほう土地勘とちかんがある場合ばあいこっちにはかなり不利ふりだ」

メリアン「だからって!ここまでけるのをあきらめるなんて!」

ルーカス「俺達おれたちいま組織そしき命令めいれい違反いはんをしてここまでているんだ!そんなリスクを背負せおって行動こうどうした以上いじょう結果けっかすしかなかった!それなのに俺達おれたちいまこのザマだ!ヤツらをつけつかまえられなかった以上いじょう俺達おれたちなにかしらの処分しょぶんくだされるだろう!」

 脇道わきみちあるすすんでくと二人ふたりまえにはべつ車道しゃどうえてきた。そこをてメリアンは左右さゆうをキョロキョロしてあたりを見回みまわしていた。

ルーカス「オイ!メリアン!いい加減かげんにしろよ!こっちは事故じこしているあいだ相手あいてくるまはしってるんだぞ!?もうこのあたりには…」

メリアン「……あ……」

 メリアンがなにかをつけルーカスはそれにられて、彼女かのじょ視線しせんさきにあるモノをさがすとそこにはホテルのよう建物たてものまえけていたあかいジープがまっていた。

ルーカス「………いたよ……」

メリアン「こんなあっさりいつくなんて……そんな簡単かんたんあきらめるもんじゃないわね…」

 二人ふたりあらためて藍川あいかわ光男みつおとその家族かぞくけようとホテルにはしった____


 ____ルーカスの運転うんてんするくるま追跡ついせきって脇道わきみちをジープではしり、またべつ大通おおどおりに光男みつお大声おおごえ竜賀りゅうがびかけた。

光男みつお竜賀りゅうが!!よくやった!!アイツらの追跡ついせきれたぞ!!」

竜賀りゅうが「ああそう!それで?あとどのくらいでくの!?」

光男みつお「もういたよ!」

 光男みつおはジープのスピードをゆるめてってホテル『ローグ』のまえにジープをめてエンジンをった。

竜賀りゅうがウソだろ…?さっきアイツらが事故じこったとこ、すぐそこだぞ!アイツらあきらめなかったらすぐつかるぞ!」

光男みつお「んあ?…まぁそうだな……」

 光男みつお運転うんてんせきわきいてあった刀袋かたなぶくろった。

源太げんた「せめてくるまだけでもかくして時間じかんかせぎしないの!?」

光男みつおいんだよ!このほうむし都合つごうい!それよりマーカス・ジャッジさんのなわはやほどけ!」

源太げんた「それよりって……」

マーカス「……ここにはもどってくるつもりなんてなかったハズなのになぁ…」

 源太げんたはマーカスのなわほどいて、りながらかれくるまからろした。

マーカス「……エリックアイツおれなんうかなぁ…」

竜賀りゅうが「それは…ってからのおたのしみってことで!」

 竜賀りゅうがはマーカスの背中せなかし、ホテルの正面しょうめん玄関げんかん無理矢理むりやりあるいてかせた。玄関げんかん手前てまえまでれてきて取手とってけ、とびらひらくとまただれもいないガランとしたホールがまえひろがっっていた。

源太げんた「エリーーーック!!!どこにいるのーー!?いるなら返事へんじしてーー!!」

竜賀りゅうが「エリックさん!!マーカスさんれてたんだよ!!」

 しかし、どこからも返事へんじがくる気配けはいくシーンとしたホテルを見回みまわしたがなにきなかった。ホールのおく受付うけつけまで四人よにんあるいてった。

光男みつお一体いったいどうしたんだ?」

竜賀りゅうが「もしかして…誘拐ゆうかい?」

源太げんた「エリックが誘拐ゆうかいなんために??」

竜賀りゅうが「そりゃ俺達おれたち三人さんにんためとか?」

マーカス「おまえらブルガントだんたたかってんのか!?」

源太げんた「まぁ雑魚ザコばっかと…」

マーカス「そんな……」

光男みつお貴方アナタ紹介しょうかいローグココはじめてときもそうでしたよ?トンプソン兄弟きょうだいをすぐたおしましたからね」

 光男みつおがそううとマーカスはくちをあんぐりとおどろいた表情ひょうじょうをしていた。

竜賀りゅうがなんとうさんが自慢じまんげなんだよ…たおしたのはおれ源太げんた二人ふたりでしょ…」

 そうっていると背後はいごからなにかがってくる足音あしおとがした。

 そっちにかえると玄関げんかんまえ階段かいだんがっているルーカスとメリアンがいた。

メリアン「やっといた…!!」

ルーカス「ターゲット発見はっけん!!っと、やっぱりとうべきか?…ダミアン・シーベルトくん発見はっけんした」

メリアン「あとはコイツらからかえせばいだけですね……」

 ルーカスとメリアンは自分じぶん伽鍵礼符キーカード戦闘せんとう態勢たいせいはいろうとした。しかしそれをている光男みつおかたな刀袋かたなぶくろからそうとはせず棒立ぼうだちでルーカスとメリアンにかいった。

竜賀りゅうがとうさんなにしてんの!?あの人達ひとたち満々まんまんなんだよ!!」

 竜賀りゅうがかたなし、また二人ふたりけた。しかし光男みつお竜賀りゅうが左手ひだりてつかかたなをゆっくりげさせようとした。

光男みつお「よせ!…もういいんだ……」

竜賀りゅうが「え?」

 たたかおうとする意志いし一切いっさいせようとしない光男みつお竜賀りゅうが愕然がくぜんとした。ルーカスとメリアンは一瞬いっしゅん戸惑とまどっていたが、ハッとするとふたた武器ぶきかまえた。

メリアン「もうそのにはらないわよ」

ルーカス「そうやって油断ゆだんさせたところで不意打ふいうちをねらう……おまえ俺達おれたち一番いちばん最初さいしょにやった手口てぐちだ」

 そして二人ふたりあきらかに周囲しゅういにしはじめた。

ルーカス「おな何度なんど通用つうようするとでもおもったか?」

光男みつお「いや…べつにもうたたかわなくてもくなった…とでもったところか」

メリアン「なに…?」

 するとルーカスとメリアンの背後はいごからなにやらタタタタタッと大急おおいそぎでって足音あしおとこえてきた。それもひとつではない。複数ふくすう足音あしおとであった。そして玄関げんかんとびらけて四人よにんおとこと、二人ふたりおんなはいってきた。

レスリー「そこまでだ!!一体いったい全体ぜんたい何事なにごとだ!!」

源太げんた「あっ!!Mr.ミスターコーナー!?」

レスリー「ん?なんだ?猿渡さわたり源太げんたか…」

光男みつお「え!?二人ふたりともいなの?」

源太げんた「うん…おやっさんがものしてるときたすけてくれたんだ」

レスリー「とりあえず…そこのお二方ふたかた……貴方アナタがた何故なぜ武器ぶきかまえている?」

ルーカス「何故なぜ?…そんなもの任務にんむまっているだろう…」

レスリー「任務にんむ?…一体いったいどこの組織そしきのだ?ブルガントだんか?」

ルーカス「我々われわれ二人ふたりはマクシム連合れんごうインディアナ支部しぶ所属しょぞく隊員たいいんだ!わたしはルーカス!こっちはメリアンだ!」

 ルーカスとメリアンはポケットからモバイル端末たんまつ背後はいごにいるレスリーに警察けいさつ手帳てちょうせるようかたうえげた。

レスリー「……確認かくにんした」

ルーカス「なに…?」

レスリー「我々われわれもマクシム連合れんごう隊員たいいんだ…わたしはシカゴ支部しぶ警備けいびたい隊長たいちょうのレスリー・コーナーだ」

竜賀りゅうが「やべ……こう味方みかたえちまったっぽいけど…」

光男みつお大丈夫だいじょうぶだ…心配しんぱいするな…」

レスリー「ルーカス……貴方アナタがここに理由りゆうは?このシカゴシティは貴方アナタがた管轄外かんかつがいだったはずでは?」

ルーカス「こちらはマクシム連合れんごうのトップからの重要じゅうよう任務にんむとしてコイツらを追跡ついせきしていたんだ…インディアナ支部しぶからな」

レスリー「トップからの重要じゅうよう任務にんむだと?」

ルーカス「ああ……そこのおとこかたわらにいる褐色かっしょくはだ少年しょうねんがいるだろう?」

レスリー「猿渡さわたり源太げんたのことか?」

ルーカス「あの少年しょうねんがマクシム連合れんごう上層部じょうそうぶ幹部かんぶ親戚しんせきとしてこのアメリカにひそかに入国にゅうこくしていたダミアン・シーベルトくんなんだ…」

レスリー「なに…?」

ルーカス「入国にゅうこくしてからしばらくしてから行方不明ゆくえふめいになっていたので、マクシム連合れんごうはもしもシーベルトくん人質ひとじちにされ組織そしきよわみをにぎられることをおそれ、我々われわれ軍部ぐんぶ隊員たいいん極秘ごくひさがすように命令めいれいくだったんだ」

 その二人ふたりのやりりにくちはさよう光男みつおがわりんだ。

光男みつお「だが…その命令めいれいわたされていたのがじつはインディアナ支部しぶだけだった……だろ?」

ルーカス「こっちがはなしてるんだだまれ…!!」

レスリー「だがそのおとことおりだ…げん我々われわれシカゴ支部しぶ軍部ぐんぶどころか、所長しょちょうからもそんな情報じょうほう一切いっさいとどいていないんだぞ」

ルーカス「!?…そんな馬鹿バカな!!」

メリアン「そんなはずないわ!!コイツらが!」

竜賀りゅうが「それじゃあ俺達おれたち本当ほんとう源太げんた誘拐ゆうかいしていたんだとしたら、源太げんたなんでそこのコーナーさんと一緒いっしょにいたときたすけをもとめなかったんだ!?説明せつめいしてみろ!!」

光男みつお竜賀りゅうがとおりだ……俺達おれたちはかなりの時間じかん一緒いっしょにいたとはえ、この一人ひとりにする時間じかん確実かくじつにあったんだ」

竜賀りゅうが俺達おれたちなにかくしてるってってたな?だったらルーカスさん、メリアンさんアンタたち証明しょうめいできるのか?」

メリアン「アンタたち誘拐犯ゆうかいはんであるってことを?」

竜賀りゅうがちがう…アンタたち俺達おれたちやシカゴ支部しぶ隊員たいいんたちかくしていることやウソいていることは一切いっさいいって確信かくしんってえるのか?ってことだよ!」

 竜賀りゅうが強気つよきでそうはなつと、まるでホールの空気くうきこおりついたかのようつめたくなった。ルーカスとメリアンはあきらかに動揺どうようしていた。

ルーカス「そ、それは…」

メリアン「あ、たりまえじゃない!!私達わたしたちウソいているなんてこと…」

光男みつお竜賀むすこいたいのは……」

 またふたたびメリアンの言葉ことばさえぎった。

光男みつお「アンタたちではなく…アンタたち所属しょぞくしている組織そしきのトップがアンタたちなにかくごとをしたり、ウソんで源太げんたつかまえてくるよう命令めいれいしているんじゃないかってことさ…アンタたち実際じっさいくても、アンタたちのトップがそういう悪意あくいって命令めいれいしたならその命令めいれい実行じっこうしたアンタたちにも責任せきにんてくるぞ?」

メリアン「私達わたしたちひろってくれた組織そしき私達わたしたちウソなんてくはずがない!!わたしみたいな適能者デュナミスト居場所いばしょをくれた!!そんなやさしい組織そしきなんうらきたないことなんてするってうのよ!!いい加減かげんなことうとゆるさないわよ!!」

光男みつお「………源太げんた……もうそろそろはなせ」

源太げんた「え……」

光男みつお「おまえが……これまでずっと俺達おれたちにもかくつづけていた“すべての真実しんじつ”を…」

源太げんた「…でも……」

竜賀りゅうが源太げんたおれもそうおもう……もうここまでたらはなすしかないだろう?」

源太げんた「でも!もしここで本当ほんとうのこと全部ぜんぶしゃべったら!みんないのち危険きけんに…」

光男みつお秘密ひみつっていのち危険きけんさらされる?その危険きけんれっこさ…この世界せかい最初さいしょからそうだったんだからな…」

レスリー「?」

光男みつお「だからもう俺達おれたちかくすのはやめろ…たと秘密ひみつっても俺達おれたちぬことはない」

源太げんた「………………」

竜賀りゅうが源太げんた決断けつだんはやくしたほうがいいぞ…もうどんどんそとさわぎがおおきくなってるからな…」

源太げんた「……かった…ってること全部ぜんぶはなすよ」

ルーカス「…!」

源太げんたおれ元々もともと見捨てられた町スノップル出身しゅっしん適能者デュナミストだったんだ…」

 光男みつお竜賀りゅうが源太げんたはなしをじっといていた。そしてまわりもみずったかのようにシンとしずまりかえって源太げんたはなしいた。

源太げんた「いつだったかはもうおぼえてない…ただまれたときからそうだったのか……それともおやてたのか…それはかんないけど……物心ものごころがついたときには…ぬすみやころしは日常にちじょう茶飯事さはんじ…いつだれんでもおかしくない血塗ちまみれの世界せかいだけがまえひろがってた……」

源太げんた「そんなあるとき見捨てられた町スノップルことのないしろふくたマスクをけたヤツらがやってきて……まちにいる適能者デュナミスト次々つぎつぎらないところにれてかれたんだ」

源太げんたわけかんないたこともないしろかべかこまれた…まどのない建物たてものなかめられて…はじめは食事しょくじあたえられていたんだ……」

源太げんた最初さいしょはホントにワケからなかったけど、おりなかにいるだけで食事しょくじもらえて…毎晩まいばんため布団ふとんがあって…いつころされるかからない恐怖きょうふもない…安心あんしん場所ばしょれたんだってよろこんでたんだ……」

源太げんた「でもあるときおれおんなじくらいのとしおとこ適能者デュナミスト三人さんにんおれ一緒いっしょにその建物たてものなかのある部屋へやれてかされたんだ」

源太げんた「そこではしろふく大人おとなたち沢山たくさんいて、たこともないようなくすりはいったびん沢山たくさんあったんだ……その部屋へやなかにあったベッドによこになるようにわれたんだ」

源太げんた「そしたら俺達おれたち四人よにんはベッドに手足てあし手錠てじょうみたいなものでロックされてうごけなくなって…そのあとしろふく大人おとなひと注射ちゅうしゃみたいなものってきて……俺達おれたちなか一人ひとりにオレンジいろへんくすりみたいなのを身体からだ直接ちょくせつんだんだ」

ルーカス「……人体じんたい実験じっけん……」

源太げんた「そしたら、くすりたれたおとこ突然とつぜんのたうちまわりながらうめごえはじめたんだ…そしてしばらくしたらうごかなくなったんだ……まるで地獄じごくくるしみをあじわせられてるみたいになってて……」

源太げんた「そしておれはそれがこわくなって……必死ひっし抵抗ていこうして、注射ちゅうしゃたれるまえ手錠てじょうちからづくでこわして建物たてものからったんだ……」

源太げんた「その建物たてものそとがわたら、その建物たてもの看板かんばん音声おんせいアナウンスでは会社かいしゃ名前なまえ案内あんないしてたんだ……『フューチャーウェーブ』って…」

メリアン「『フューチャーウェーブ』ですって?…それってインディアナポリスにあるマクシム連合れんごう出資しゅっしした製薬せいやく会社がいしゃじゃない!」

レスリー「そこはインディアナ支部しぶとは関係かんけいふかいのかい?」

メリアン「…ええ…!伽霊能力ギアルスキルかんする研究けんきゅう兼業けんぎょうもしながら適能者デュナミストくすり販売はんばいおこなっている企業きぎょうよ」

源太げんた「そこからしたおれはとにかくそこから必死ひっしはなれようとはしったんだ……でもときなに用意よういしてなかったから…おれ道端みちばた動物どうぶつつかまえてったり、泥水どろみずみながらなんとかしてきていたら…無適能者アンチステージ連中れんちゅうよわってるところをつかって…」

源太げんた「でも…意識いしきうしないそうになる…そんなとき竜賀りゅうがとシャーリーがおれたすけてくれて…」

 メリアンは突然とつぜん母親ははおや名前なまえすこ動揺どうようしていた。

源太げんた「シャーリーは…おれにとってはじめて…母親ははおやみたいにおもえる存在そんざいで…竜賀りゅうが親友しんゆうとか、兄弟きょうだいみたいだった……トニーは父親ちちおやみたいで…おやっさんはおれはじめて名前なまえをくれたんだ…猿渡さわたり源太げんたって」

源太げんたおれいままで名前なまえばれたことなんてなかった……実験施設じっけんしせつでもNo.ナンバー1835ってばれるだけでおれ存在そんざいみとめてくれたはじめての家族かぞくがベイカー藍川あいかわ四人よにんだったんだ…!」

 そして源太げんたはメリアン・ベイカーのかお見据みすつよはなった。

源太げんたおれ名前なまえ猿渡さわたり源太げんただ!ダミアン・シーベルトなんかじゃない!!」

 メリアンはいつのにか武器ぶきろして源太げんたていた。

メリアン「………それが貴方アナタ真実しんじつなのね?」

 源太げんたはそのつめながらゆっくり、そしてちからづようなずいた。

光男みつお「だが源太げんた一番いちばん肝心かんじんなことと俺達おれたちってないぞ?」

源太げんた「え?」

光男みつお「その『フューチャーウェーブ』って施設しせつおこなわれていた人体じんたい実験じっけん……その内容ないようは?」

ルーカス「!そうだ…その内容ないようもっと重要じゅうようなことだ!!」

源太げんた「その実験施設じっけんしせつにいたおとこひとっていたのは…『伽霊能力ギアルスキル強制的きょうせいてき暴走ぼうそうさせて、潜在せんざい能力のうりょく実験じっけん』とかってってた……くすりってその効果こうかためため実験じっけんだとか」

レスリー「完全かんぜん違法いほう人体じんたい実験じっけんだな……インディアナ支部しぶのお二人ふたりさん?」

ルーカス・メリアン「「?」」

レスリー「一応いちおうねんためいておくが……アンタたちはこの事実じじつらなかったんだな?」

ルーカス「あ、ああ……」

メリアン「そりゃそうでしょ!私達わたしたちはただこのさがせとだけ…」

ルーカス「でも…」

 ルーカスがメリアンの言葉ことばさえぎると全員ぜんいん、ルーカスのつぎ言葉ことばためかれ注目ちゅうもくした。

ルーカス「このシカゴの都市まちはいとき所長しょちょうのジョージ・マッカートニーに直前ちょくぜんで…もう追跡ついせきするなって命令めいれいけたんだ…」

レスリー「それってーーー」

竜賀りゅうが「!!?全員ぜんいんせろッ!!!」

    ドンッ!!

 竜賀りゅうが突然とつぜん大声おおごえ全員ぜんいんかってさけぶとレスリーのよこにいた女性じょせい隊員たいいん身体からだちゅうき、心臓しんぞう赤色あかいろするどとげつらぬいていた。

女性じょせい隊員たいいん「きゃあああああああああああああああああああああああああ!!?」

 もう一人ひとり女性じょせい隊員たいいん仲間なかま姿すがた絶叫ぜっきょうした。

レスリー「サリー!!?」

光男みつお全員ぜんいん物陰ものかげかくれろ!!ころされるぞ!!」

 光男みつおはマーカスをって受付うけつけのカウンターにいそいでひそめた。竜賀りゅうが源太げんたもそれぞれルーカスとメリアンのふくつかんでホールのかげかくれた。レスリーとその仲間なかまたすかったほか三人さんにん攻撃こうげき出所でどころさがため背後はいごいていた。

 しかし、それをさが必要ひつようかった。なぜならその相手あいてはレスリーのまえ堂々どうどうっていたのだから。そのおとこ右手みぎてった巨大きょだいするどいメイスの先端せんたんにサリーとばれたレスリーの仲間なかま串刺くしざしにして感情かんじょうれない表情ひょうじょうをしてっていた。

レスリー「……そんな……まさか……」

女性じょせい隊員たいいん「な……なんで…」

男性だんせい隊員たいいん「どうして……」

 そのおとこがここにいることが“ありえない”とでも表情ひょうじょうをしていた隊員たいいんたちはジリジリと後退あとずさりしていた。

レスリー「なんで……貴方アナタが…ここにいるんですか…!?ウイリー・べドナー少将しょうしょう!!?」

ウイリー「……なんで?……ためだよ…」

男性だんせい隊員たいいんす?…すってなにをですか…!?」

ウイリー「“ってはいけない事実じじつ”をってしまったものをだよ……」

女性じょせい隊員たいいんっては…いけない…秘密ひみつ?」

ウイリー「そうだよ……なぜなら“秘密ひみつ”ってのは…それをられたくない人間にんげんがいるから“秘密ひみつ”ってうんだからな」

 ウイリーとばれるそのおとこ巨大きょだいレイスをうしろり、串刺くしざしにしていたサリーを背後はいご道路どうろたたきつけた。そしてふたたびメイスをげた。

ウイリー「非常ひじょう残念ざんねんだよ……君達きみたち優秀ゆうしゅう部下ぶかだった…それをみずからのほうむらねばならないなんて……でもしょうがない…」

 ウイリーはにぎからミシミシとおとこえてくるほどつよくメイスをにぎめた。

ウイリー「その“秘密ひみつ”とともれ…!!」

   ブウォン!!…ガン!!!

 ウイリーがもうスピードでろしたレイスがレスリーにたる直前ちょくぜん何か・・がメイスをめた。

竜賀りゅうが「そこまでだ!!」

源太げんた「これ以上いじょうはさせねぇ!!」

 巨大きょだいメイスをかたなこんめたのは竜賀りゅうが源太げんたであった。


To Be Continued

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