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#23 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第10話「感謝の想いに花一輪」

 シカゴシティの武器ぶきちかくにある駐車場ちゅうしゃじょうでポツンと1だいだけまっているジープ。その車中しゃちゅうかがめて、ひそめている褐色かっしょくはだ黒髪くろかみ少年しょうねんがいた。

源太げんた「あ〜〜〜一体いったいかたな一本いっぽんにどんだけ時間じかんかるんだよあの二人ふたりは…」

 そうぼやいていた猿渡さわたり源太げんたたされる時間じかんながいことに徐々じょじょきてきて、

源太げんた「ちょっとそとてみようかな……」

 と、完全かんぜんゆるんだ思考しこうおちいっていた。

源太げんた「ちょっとだけなら…」

 源太げんたあたまくるままどからそと様子ようすてみた。そしてそとひと気配けはいいことを確認かくにんしてから、ゆっくりくるまカギけドアをひらいた。

源太げんただれもいませんよね〜〜?」

 そとにピョンとし、新鮮しんせん空気くうきうとおもいっきりびをした。

源太げんた「ん〜〜〜!!やっぱりそといよねーー!!」

 源太げんた窮屈きゅうくつ車内しゃないから気持きもかったのか、身体からだばしたりグルグルかたまわしたりしてストレッチをはじめた。

源太げんた「………しっかしホントにだれもいない都市まちだな」

 あたりを見渡みわたしてもひと気配けはいかんじない、どこかにだれかがかくれている雰囲気ふんいきもないさびしい風景ふうけいなんとなくいやになり、源太げんたは…

源太げんた「ちょっとぐらいココはなれてもいだろ…」

 そんなふうかんがえてしまいくるまのドアをめてから、大通おおどおりにかって早足はやあしあるいてった。

源太げんた「こんなに自由じゆうあるまわるなんて何時いつぶりだろ……」

 久々ひさびさ自由じゆう堪能たんのうしながら色々いろいろみせをキョロキョロしながら見回みまわっていると突然とつぜん

???「きゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 どこからともなく女性じょせいおおきな悲鳴ひめいこえてきた。

源太げんた「!!??」

 源太げんたはほとんど無意識むいしき悲鳴ひめいのしたところにけた。みち全速力ぜんそくりょくはしったそのさきにはちいさなおはなさんがあった。

???「はなして!!おねがい!!むすめだけは!!」

???「ハーーッハッハッハッハ!!!」

 そこには花屋はなやまえおんなばしているおとこがいた。そしてそれを必死ひっしめさせようとする母親ははおや地面じめんせているおとこ二人ふたりってた。

???「メリッサ!!メリッサ!!」

メリッサ「ママーー!!ママーー!!」

 源太げんたはその光景こうけいときあたまかんがえるよりもさき身体からだうごしていた。左手ひだりてからAエース伽鍵礼符キーカード能力チカラ発動はつどうした。

???「ハッハッハッハ!!コイツらいてやがるぜ!!よえヤツきる権利けんりなんてねぇんだよ!!」

 そのおとこがメリッサとばれているおんな散弾銃ショットガンけてがねこうとした、その瞬間しゅんかんーーー

  ガンッ!!!

 そのおとこ後頭部こうとうぶにぶ打撃だげきおんひびいた。そしておとこ腹部ふくぶながくしなるこんたりおもいっきり後方こうほうばされた。

 ビュオン!!…ドサ!!

 母親ははおやさえていた二人ふたりおとこたちながこん反対はんたいがわっているとそこには子供こどもこんにぎっていた。

???「オイ!!テメェ!!なにしやがる!?」

???「いまちゅうだ!!それを邪魔じゃましやがったら容赦ようしゃしねぇぞ!!」

源太げんただまれよ……」

???「……あ?」

源太げんた「テメェらなに無抵抗むていこう親子おやこ暴力ぼうりょくるってんだよ…」

???「は?……この親子おやこがこのみせ営業えいぎょうするときにはこのブルガントだん縄張なわばりでのみかじめとしてかねおさめなきゃいけねぇんだよ」

???「それがこの都市まちきていく無適能者アンチステージどもたすかるみちなんだよ!」

源太げんた「……んで?」

???「あ?」

源太げんた「テメェらはじゃあこの都市まちたのはいつごろなんだよ?」

???「そんなこといてどうすんだよ」

メリッサ「5ヶげつ!!」

源太げんた「!!」

メリッサ「このひとたちここにてから5ヶげつってないよ!!そのクセに威張いばってひどいことばっかりやって都市まちんでる人達ひとたち沢山たくさんこまらせてるの!!それがいや都市まちからいなくなったひとだって沢山たくさんいるの!!」

???「くちらねぇ餓鬼がきだな…もっといためつけられなきゃがすまねぇか!!ああ!!?」

源太げんた「おいおい……自分じぶんたちよりよわそうなヤツしか相手あいてにできない三流さんりゅうおど文句もんくしかえねぇくらい馬鹿バカなのか?テメェらは?」

???「はぁ?」

???「オイクソ餓鬼がき……くちにはけろよ…!?おれたちはブルガントだんだぞ?ナメた態度たいどしてるとどんなにあうかわかってんのか?」

源太げんた「………たいしたことのねぇ雑魚ザコあつまりってことぐらいはってるぜ?」

 その言葉ことばいた二人ふたりおとこたちからブチッと血管けっかんれるおとこえそうなくらい表情ひょうじょう激変げきへんした。

???「まりだ!!おまえはここでブチころす!!!」

 二人ふたりのブルガント団員だんいん女性じょせいからはな源太げんたかってびかかってきた。源太げんたこんみじかくし二人ふたり一気いっき距離きょりめ、二人ふたりかえした。

源太げんた一応いちおう……名前なまえいておこうか…」

ボブ「ボブ・カッセル!」

ロドリック「ロドリック・サーキース」

 そうかえされ源太げんたこんふたたかまなおし、はなった。

源太げんた猿渡さわたり源太げんた…アンタらをたおおとこだ……よろしく!!」

 その直後ちょくごボブの伽鍵礼符キーカードからひかりはなたれ、たけほどながさの巨大きょだい回転弾銃ライフルあらわれた。

ボブ「このおれ喧嘩ケンカったことを後悔こうかいさせてやるよ小僧こぞう!!」

源太げんた「………そんなモンしたらおれがビビってこしけるとでもおもってんなら、随分ずいぶんおめでたいあたましてんな?」

ロドリック「オイ小僧こぞう……適能者デュナミスト世界せかいでは能力チカラおおきさがモノをうってのが常識じょうしきだってことをここで身体からだたたんでやろうか?」

源太げんた「だったらグチグチしゃべってねぇでかかっていよ……わざわざくち喧嘩ゲンカするためにテメェらにかかわってんじゃねぇんだよ…!!」

 そういうと源太げんたはいきなりボブのふところんでこん相手あいてあごけていた。

  コンッ!

ボブ「ぶお!?」

  カンッ!コンッ!

ボブ「グオ!?ガハッ!!」

 源太げんたけっしておおきなうごきではなく、ちいさな小回こまわりのきいたわざ連続れんぞくでボブの関節かんせつ目掛めがけて攻撃こうげきたたんでいった。

 源太げんた自分じぶん光男みつおからおそわったたたかいの極意ごくいおもしていたーーー


光男みつお「ーーーだーかーらー!ちがうっつーの!!」

  ガン!!

 木刀ぼくとうつよばされてしりもちをついた源太げんたかってはなった。

光男みつおあさからおしえてた基礎きそ素振すぶりで最初さいしょ攻撃こうげきしてくるんだよ」

源太げんた「だって…全然ぜんぜんおやっさんに攻撃こうげきたらないんだよ!!」

光男みつお「だってもクソもないんだよ!!おまえはまだ棒術ぼうじゅつ基礎きそならいたてなんだから、そんな簡単かんたんわざ修得しゅうとくできるレベルじゃないんだ!」

源太げんた「だったらこんなこといくらやったって意味いみないじゃん!!」

 そこまで源太げんたうと光男みつおはハアァァとためいきをつきながらやれやれとったかんじで説明せつめいはじめた。

光男みつお「あのな?源太げんた…おまえたしかにこの三日みっか稽古けいこみのはやさもいからかなりのスピードで成長せいちょうはしている…でもそれは竜賀りゅうが一緒いっしょでおまえおなよう稽古けいこをしてるし、なんだったらおまえより3ねん以上いじょう基礎きそ稽古けいこげてきてるんだからそんな簡単かんたん竜賀りゅうがおれてるワケはないんだよ」

源太げんた「それじゃあ竜賀りゅうが絶対ぜったいたおせる方法ほうほうおしえてくれよ!!おやっさんはいつも竜賀りゅうがをボコボコにできてるんじゃん!!」

光男みつお「それはおれが20ねん以上いじょう剣術けんじゅつ武道ぶどう稽古けいこをずっとつづけてきてるワケだからわざ練度れんど竜賀りゅうが一緒いっしょワケないんだよ」

源太げんた「………」

光男みつお源太げんた…おまえ竜賀りゅうがおれたお秘訣ひけつ裏技うらわざおしえてしいのか?」

源太げんた「!しい!!それをおしえてくれるの!?」

光男みつお「……だったらたたかいにおける心構こころがまえとして防御ぼうぎょ70パーセント攻撃こうげき30パーセントってのをおしえておいてやる」

源太げんた「??……なにそれ?攻撃こうげき100パーセント防御ぼうぎょ0パーセントじゃないの??」

光男みつお「ぷっ…はははははははは!!やっぱりおまえそうおもってたのか!!ははははははは!!」

源太げんたわらうなっての!!なにがおかしいんだよ!!」

光男みつお「そりゃおかしいっておもうさ!そんなんじゃおまえ戦闘せんとうになったらさきヤツかんがかただぞ?たたかいにおいてまずもっと大事だいじなことがなにわかってねぇじゃねぇか」

源太げんたなんなんだよ……たたかいで一番いちばん大事だいじなことって…」

光男みつおたたかいにおいてもっと大事だいじなこと…それは…のこることだよ……びることが大切たいせつなことなんだ」

源太げんたき……のこること…?」

光男みつお「ああ……その理由りゆうはここであえておしえないけどな……もう一回いっかいおれ勝負しょうぶするときそこらへん意識いしきしてもっかいかかってこい」

源太げんた「……よーーし!!」

光男みつおわかってるな源太げんた?10かいちゅう7かい攻撃こうげきかわせば相手あいてを3かい攻撃こうげきしてもい……それを意識いしきしておれ稽古げいこするぞ!」

源太げんた防御ぼうぎょ7かい攻撃こうげき3かい……」

光男みつお「そうだ!それじゃくぞ!!ーーーー」


ロドリック「ーーーー調子ちょうしこいてんじゃねぇぞ!!」

 ガン!!…ゴン!!…ガン!!…ブオン!!

 巨大きょだいなモーニングスターをまわしながらロドリックがおそかってきたのを身体からだをヒラリをうごかしながらかわつづけた。ロドリックは自分じぶん攻撃こうげき楽々らくらくかわされていることにイライラしはじめ、より大振おおぶりになってきた。

源太げんた(……こっちも攻撃こうげきかわしながら、3かい機会チャンス攻撃こうげきしかけるタイミングをつやりかたにはフラストレーションまるんだよ…!!)

 そうおもっていた源太げんた背後はいごでガシャンと金属きんぞくおんり、咄嗟とっさかえると、ボブが回転弾銃ライフル銃口じゅうこう源太げんたあたまねらさだめていた。

ボブ「ねええええええ!!!」

  ガンッ!!!

 はなたれた弾丸だんがん空気くうきよう一直線いっちょくせんんでいった。しかし源太げんたはこれもかわしきった。

ボブ「な!!?」

源太げんた「〜〜〜ッぶねぇ!!」

 源太げんたけた反動はんどう地面じめんにゴロゴロところがったが、そこに間髪かんぱつれずロドリックのモーニングスターがおそかってきた。

源太げんた「ぐっ!!」

 ガン!!ガガン!!ドン!!

 まわされるモーニングスターが手当てあたり次第しだい地面じめんかべ破壊はかいしていくのをかるのこなしでけまくり、なんとか攻撃こうげきしのいでいた。

 そのちかくでまたボブが回転弾銃ライフル銃弾じゅうだんをまた装填そうてんしていた。

ボブ「今度こんどはずさねぇ…!!」

源太げんた「……!!またこのパターンか!!」

 ふたた源太げんたねら回転弾銃ライフル銃弾じゅうだん被害ひがいおよぼさないようにするためひと気配けはいのない建物たてもの回転弾銃ライフル自分じぶん延長線えんちょうせんじょう場所ばしょ移動いどうした。

ボブ「くたばれぇ!!」

  ガンッ!!!

 また源太げんたはその銃弾じゅうだんをまたヒラリとかわした。銃弾じゅうだん背後はいご煉瓦レンガづくりのかべ連続れんぞく貫通かんつうしていった。

源太げんた「なんつー武器ぶきだよ…」

ボブ「クククク……おれ霊具ギーツであるたい戦車せんしゃ回転弾銃ライフルには2まい礼符カード効果こうか付加プラスしてある……ひとつは『銃弾装填リロード』、そしてもうひとつは『絶対等速プルスピード』だ」

源太げんた「プルスピード??…なんじゃそりゃ??」

ボブ「この絶対等速ぜったいとうそく効果こうかはなった物体ぶったい地球ちきゅう重力じゅうりょく自転じてん公転こうてん慣性かんせい…あらゆるちから影響えいきょうけず、一直線いっちょくせんにスピードを維持いじしたまますすつづけるんだよ……ま、限界げんかい距離きょりはあるがな」

源太げんたウソだろ……ずっとおなじスピードを維持いじしたまま物体ぶったいすすつづけるなんていたことねぇぞ!?」

ボブ「わかってるはずだぜ……ありえない・・・・・!…そんなガキみてぇな理屈りくつ一切いっさいつうじないのが伽霊能力ギアルスキル支配しはいするこの世界せかい絶対ぜったいのルールだったはずだ!」

ロドリック「余所見よそみしてると寿命じゅみょうちぢむぞ!!」

  ガンッ!!!

 いきなりよこから不意打ふいうちでんできたモーニングスターを源太げんたはまたかわして、連続れんぞくおそってきたロドリックの攻撃こうげき如意棒にょいぼうでまた回避かいひした。

源太げんた(ん!?)

 源太げんたはロドリックのモーニングスターをかわしながら、ボブの様子ようすをチラっとた。

 するとそこには礼符カード回転弾銃ライフルにかざしているボブがえた。

源太げんた(……なるほどな…あの回転弾銃ライフル銃弾装填リロードから一発いっぱつずつしかタマはなてねぇのか……つぎつまでの時間じかん浪費ロス攻撃こうげきけないためロドリックコイツ揺動ようどうをしかけるってワケか!)

 つぎ銃弾じゅうだん装填そうてんわったボブが回転弾銃ライフルかまえ、また源太げんたあたまねらおうとしていた。

源太げんた(だったら!!)

 そのタイミングをねらった源太げんたはボブにかくよう伽鍵礼符キーカードし、能力チカラ一瞬いっしゅん発動はつどうした。

源太げんた「これでどうだ!!」

 源太げんたこんっていた反対はんたい左手ひだりてをボブにけてした。

 すると左手ひだりてまたたながびてボブのかまえた回転弾銃ライフル銃身じゅうしんをガシッと鷲掴わしづかみにした。

源太げんた「ホイ♪」

 びた左手ひだりてつかんだ銃身じゅうしんをロドリックにけた。

ボブ・ロドリック「「っな!!?」」

  ドンッ!!!

 ボブががねくのをめるのががわず銃声じゅうせいひびき、ロドリックの右肩みぎかた風穴かざあないていた。

ロドリック「ああああああああああああああああああああああああああ!!!?」

ボブ「兄弟ブラザーァァァ!!!」

 ロドリックの右肩みぎかたからどっとあふてきて二人ふたりはパニック状態じょうたいおちいった。

ロドリック「が!!が!!ああああああ!!!」

ボブ「け!!まだんだワケじゃねぇんだ!!止血しけつすれば…」

???「それを我々われわれがさせるとおもうか?」

 源太げんたはこのにいるはずのないもうひとつのこえにハッとしてこえぬしさがそうとキョロキョロするとすこはなれた場所ばしょからをボブとロドリックにけているおとこがいた。

???「“激流滅火ウォーターキャノン”!!!」

  ドン!!

 そのおとこがそうとなえるとおとこから強烈きょうれつ水柱みずばしら発射はっしゃされ、ボブのところまで一直線いっちょくせんびていった。

ボブ「ぐあああああああ!!?」

 強烈きょうれつみず放射ほうしゃをダイレクトにらったボブはいとも簡単かんたん身体からだかされ、かべたたきつけられた。

 おとこはボブのまえあし近付ちかづいてきて、ふたたびボブにかってをかざした。するとボブはみず球体きゅうたいなかめられ身動みうごきがれなくなっていた。

 そのおとこはボブを完全かんぜん拘束こうそくしたあと、ロドリックのそば近付ちかづおおきなみず球体きゅうたいなかめた。ロドリックのかたキズからの出血しゅっけつまっているのを確認かくにんしたそのおとこはさっきまで被害ひがいけていた母娘おやこのそばまで安否あんぴ確認かくにんをしていた。

???「大丈夫だいじょうぶですか?どこかいたむところはありませんか?」

母親ははおや「ええわたし大丈夫だいじょうぶです……それよりむすめは!…メリッサは!?」

メリッサ「ママ!わたし大丈夫だいじょうぶだよ!あのおにいちゃんのおかげで!」

 メリッサとばれている少女しょうじょ指差ゆびさしたさきにいた源太げんたは、三人さんにん視線しせん一気いっきあつまってドギマギした。

 そのおとこ源太げんたもとにツカツカをあゆってた。

源太げんた「……あーー…」

???「どうやら…きみ勇敢ゆうかん行動こうどう感謝かんしゃしめさねばならないらしいね?」

 そのおとこ光男みつおよりも身長しんちょうたかく、肩幅かたはばひろ立派りっぱなところをても、かなりたくましいイケメンだった。源太げんたはこのおとこ若干じゃっかんビビりながらもなんとか言葉ことばひねした。

源太げんた「えーーっと……貴方アナタのお名前なまえは…?」

 源太げんたは、なんいまようやくしぼした台詞セリフがそれなんだ!と自虐じぎゃくしながらもいま一番いちばんになっていることいてみた。

???「おっと失礼しつれいわたしはマクシム連合れんごうシカゴ支部しぶ大佐たいさレスリー・コーナーだ!このあたりの治安ちあん維持いじ活動かつどうおよ警察けいさつとしての業務ぎょうむにあたっている!」

源太げんた「!!?」

 源太げんたはこのレスリーがマクシム連合れんごう大佐たいさいた途端とたんギョッとした。しかしそれをなんとかさとられまいと背筋せすじをピンとばし、表情ひょうじょう必死ひっし笑顔えがおもどしていた。

源太げんた「そ…そうなんですか!!…ぼく猿渡さわたり源太げんたいます!」

 源太げんたはこの瞬間しゅんかん、しまった!とおもった。なぜここで馬鹿バカ正直しょうじき本名ほんみょうってるんだと後悔こうかいした。

レスリー「…そんなに緊張きんちょうしなくてもべつってったりしないから安心あんしんして大丈夫だいじょうぶだよ」

源太げんた「あっ……はい…」

 しかし源太げんたはアレ?っとこころなかクビかしげた。

源太げんた(このひと、マクシム連合れんごう人間にんげんなのにおれがインディアナ支部しぶから逃走中とうそうちゅう実験体じっけんたいだってことらないの?アレ?わけかんないんだけど??)

源太げんた「……あの…」

レスリー「ん?なんだい?」

 つい源太げんたみずか墓穴ぼけつりにきそうになっていることに気付きづき、なんとかべつ内容ないようにすりえた。

源太げんた「いや!…あの…おれいまロドリックあのヒト傷付きずつけましたけど…そのことにかんしてはなにわないんですか?」

 レスリーはその言葉ことばけ、じっと源太げんたかおつめたが、やがてゆっくりはなした。

レスリー「きみがあのおとこ傷付きずつけたのか?」

源太げんた「………」

 源太げんたはゆっくりうなずいた。

レスリー「そうか……」

 レスリーはまわりを見渡みわたし、あの母娘おやこしかいないことをたしかめたあと源太げんたつめてはなった。

レスリー「…ロドリック・サーキースのかた負傷ふしょうはこのレスリー・コーナーの伽霊能力ギアルスキルによるものである!報告書ほうこくしょにはそう記入きにゅうしておこう。しかしつぎはないよ」

源太げんた「!」

 厳格げんかくそうなかおをしていたレスリーはフッとわら源太げんた安心あんしんさせようとしていた。源太げんたすこ表情ひょうじょうやわらいだ。

 するとそこへーーー

竜賀りゅうが源太げんた!!」

光男みつお「おまえさがしたぞ!!くるまなかにいろってっただろう!!」

 藍川あいかわ竜賀りゅうが父親ちちおや光男みつお近付ちかづいてた。レスリーはちゃんと保護者ほごしゃがいたことにホッとした。

光男みつおまったく!さっきおおきなおとがしてもしかしてっておもって!くるまなかたらもぬけのから!どんだけ心配しんぱいしたとおもってるんだ!!」

源太げんた「いや!おんなさけごえこえてきてなにかあったんじゃないかって身体からだ条件じょうけん反射はんしゃうごいちゃって…」

 たすけた母娘おやこ指差ゆびさしながら必死ひっしわけした。

竜賀りゅうが「それは一体いったいどっちなワケくるまなかにいておんなこえこえたのか?それともくるまなかにいるの退屈たいくつだな〜っておもってくるまそと気分きぶん転換てんかんためあるいていたらおんなこえこえてきたからけたのか?」

源太げんた「………おまえ他人ひとあたまなかのぞけんのか?」

光男みつお「…どうなんだ?源太げんた前者ぜんしゃか?それとも後者こうしゃか?」

源太げんた「………後者こうしゃです…」

竜賀りゅうが光男みつお「「やっぱりか…」」

レスリー「あの…あなたがたは?」

光男みつお「あ…この保護者ほごしゃ藍川あいかわ光男みつおです」

竜賀りゅうが「それと息子むすこ藍川あいかわ竜賀りゅうがです」

レスリー「光男みつおさん…この源太げんたくん保護者ほごしゃですね?さっきここでかれがこのブルガントだん二人ふたり戦闘せんとうをしていました」

 レスリーはみず球体きゅうたいなかにいる二人ふたり指差ゆびさした。

レスリー「いまからわたしはこの二人ふたりをシカゴ支部しぶ連行れんこうします。ここできた事件じけん目撃もくげきしゃさいわいあの母娘おやこだけですので、報告書ほうこくしょには戦闘せんとうわたしがやったことにします」

光男みつお「あの…なにきたか全然ぜんぜんからないんですが…」

レスリー「くわしくはその少年しょうねん確認かくにんってください…あっ…やっとニコラスがたな」

ニコラス「大佐たいさ!!もう現場げんばさきくのはやぎますって!はぁ…はぁ…はぁ…」

レスリー「いや…もうおそぎたくらいさ…事件じけんはもうわったよ」

ニコラス「はや!?」

レスリー「わたし早速さっそく支部しぶもどって報告ほうこくしてくるよ。きみ現場げんば保存ほぞん調査ちょうさたのむ」

ニコラス「今回こんかいはおいしいとこナシか〜!!」

レスリー「今回こんかいだろ?」

ニコラス「………」

レスリー「それじゃね源太げんたくん…それとなにかあったら連絡れんらくするからMr.ミスター藍川あいかわ連絡れんらくさきおしえていただけませんか?」

 光男みつおとレスリーがやりとりしているあいだ現場げんば保存ほぞん状況じょうきょう確認かくにんおこなっていたニコラスをながら源太げんた竜賀りゅうがいた。

源太げんた「ところでさ、どうだったんだよ?れいもの

竜賀りゅうが「ああ。最高さいこうだよ」

源太げんた「マジ?」

竜賀りゅうが店長てんちょうさんがむかし日本にほん刀鍛冶かたなかじ師匠ししょうからいただいた最高さいこう傑作けっさく逸品いっぴんってことで大事だいじにしていたかたなをくれたよ」

源太げんた「よくそんなもんくれたな?」

竜賀りゅうが「それを故郷ふるさと友人ゆうじんわたしてくれってよ」

源太げんた「そんな大事だいじ仕事しごとよくけたな?」

竜賀りゅうが何故なぜらんけどおれらのことったらしい」

 そんな会話かいわをしていると源太げんたふくそでをさっきの少女しょうじょってきた。

源太げんた「ん?」

メリッサ「はい!これあげる!」

 少女しょうじょには一輪いちりんはなにぎられていた。

源太げんた「……おれに??」

竜賀りゅうが「…ってやれよ!このいろおとこ!」

 竜賀りゅうが揶揄からかよう源太げんたはなれとうながした。

源太げんた「いいの?」

メリッサ「うん!」

源太げんた「ありがとう!…おじょうちゃん名前なまえは?」

メリッサ「メリッサ!メリッサ・エドワーズ!」

源太げんた「メリッサちゃんか〜…おれはなくわしくないんだけど、このピンクのはななん名前なまえなのかな?」

メリッサ「ガーベラ!西洋せいようはな言葉ことばで『感謝かんしゃ』!」

源太げんた「ガーベラか〜はな言葉ことばだね〜!」

竜賀りゅうが綺麗キレイはなだね?」

源太げんた「あげねぇかんな?」

竜賀りゅうがべつったりしねぇよ」

源太げんた「メリッサちゃん、これってみせってる大事だいじものでしょ?いの?」

メリッサ「うん!かあさんもいってってたよ!」

源太げんた「ありがとう…大事だいじにするね?」

 源太げんたはこの人助ひとだすけで感謝かんしゃされるというはじめての経験けいけんあじわった。

 それをかたわらで見守みまもっていた光男みつおらずらずのうち成長せいちょうしていく子供こども姿すがた感慨かんがいふけっていったのであった。


To Be Continued

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