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#30 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第17話「守番のマッド・ドクター」
アメリカのイリノイ州のシカゴシティ、この大都市にあるマクシム連合のシカゴ支部に向かって走っている4人組の集団が支部の高いビルを視界に入れ始めたところで遠くから地響きが聞こえてきた。
どおぉぉぉ…ん…
その集団の中で一緒に走っていた少年の一人、藍川竜賀がその音のした方向をチラッとだけ振り返った。しかしすぐに顔を目的地に向けた。
メリアン「ねぇ?…竜賀君?本当に君のお父さん大丈夫なの?」
竜賀「……しつこいな〜……心配するだけ無駄ですよ…絶対勝ちますから」
源太「竜賀がそういうってことは本当に勝つと思うから大丈夫ですよ」
竜賀「それよりもこっちは自分達のやるべきことをやりましょう!そうでなけりゃ父さんが『今の今まで何やってたんだ』って怒ってきますよ」
マーカス「……よっぽど信頼してるんだな」
竜賀「“信頼してる”っていうより“疑ってない”ってのが正しい表現かもしれない」
そんなやり取りをしながらも順調に目的地まで辿り着いていた。
源太「ここか……ブルガント団のアジトへの秘密の通路の入り口ってのは」
目の前にあったのは見窄らしい診療所の入り口であった。
竜賀「確かにこういうところであれば、怪我を負った適能者が駆け込んできてもそんなに違和感はないかもしれないけど……」
メリアン「何言ってんのよ…これこそ違和感バリバリじゃない…ブルガント団なのよ?そんな連中がいちいちこんな人の目につく場所を出入りしてたら必ず通報がある筈よ……それが無いってことは」
竜賀「ここにいる人間がアジトの番人ってことか」
メリアン「そういうことね…」
メリアンは天使の刃をいつでも発動できるように礼符を2枚左手に隠し持っていた。
竜賀「何してんの?」
源太「手練れの適能者になってくるとこうやって伽鍵礼符を霊媒印から取り出す手間を省く為に、予め礼符を出しといていつでも発動できる様にしておくんだよ…常識だぞ」
竜賀「そっか…んじゃ俺も」
源太から説明を受けた竜賀も伽鍵礼符を右手から出し袖に入れて見えないようにした。メリアンはそんな竜賀の様子を変わったものを見る様な表情で見ていたが、気を取り直してドアに手を掛けた。
ドアを開け中に入っていくと電気が付きっ放しの無人の受付が目に入った。メリアンが先頭に立って、他の三人も入って来るように指示してきた。
源太「………誰も居ないの??」
竜賀「もしくはどっかに隠れてるか…戦場に向かってるとか?」
マーカス「…メリアン、竜賀、源太…君達そこらに隠れてなさい…」
メリアン「え?」
源太「何考えてんの?」
マーカス「良いから…俺のことを信じなさい」
三人はマーカスの言った通り病院の隠れられそうな物陰にそれぞれ隠れて、何かあったらすぐ飛び込めるようにマーカスの様子を見守っていた。
マーカス「ん、うん!!……へーーイ!!誰か居ないか!?ここは病院だろ!?」
マーカスが受付の前で大きな声で呼びかけた。しばらくシーンとした様子で何も起きなかったが、マーカスがキョロキョロしていると奥から足音が聞こえてきた。
スタ…スタ…スタ…スタ…スタ…スタ…
ゆっくりと、しかし徐々に大きくなってきている足音が何者かが近付いて来ていることを知らせていた。竜賀と源太は息を潜めて額から冷や汗をかいていた。
竜賀(大丈夫か…?)
そして受付のドアが開かれ出て来たのは、白髪の混じった白衣を着た初老の男性医師だった。丸眼鏡をかけた医師はゆったりした足取りでマーカスの前に立った。
マーカス「何だよ!ちゃんと居るじゃねぇかホスキンズ先生!」
ホスキンズ「何じゃ…マーカスか…こんな時間に何の用じゃ?診察時間はとっくに過ぎとるぞ?」
マーカス「何が診察時間だ!それどころじゃねぇだろ!」
マーカスは怒鳴る様にホスキンズに向かって言った。ホスキンズは眉を顰め怪訝そうにマーカスに問いかけた。
ホスキンズ「一体どうしたと言うんじゃ?そんなに血相をかえて…」
マーカス「今外で何が起こってるのか分かってんのか!?ブルガント団の連中がマクシム連合のシカゴ支部を乗っ取ろうとしてんだぞ!?さっさとここから逃げよう!!この都市はもう終わりなんだよ!!」
ホスキンズ「何!!?それは本当か!?」
マーカス「ああ!!こんなこと冗談で言いに来る訳ねぇだろ!!早くここから一緒に逃げよう!!」
ホスキンズ「……いや…ワシはここを離れる訳にはいかんのじゃ」
マーカス「何言ってんだ!!こんなところにいたら戦いに巻き込まれえて死ぬかもしれないんだぞ?」
ホスキンズ「ワシはここを離れんよ…ここがワシの居場所なんじゃ」
マーカス「……何でだよ?自分が医者としてずっとここで働き続けてきたからか?それとも…」
マーカスはここで不自然に言葉を切って間を空けた。
マーカス「ブルガント団にここの門番をやれって命令されてるからか?」
ホスキンズ「……今夜はこの診療所で死亡診断書を書くことになりそうだな」
ホスキンズと呼ばれた医者は老体とは信じられない動きと速さでマーカスの首に掴み掛かろうとした。しかし、マーカスはそれを先読みしていたのか咄嗟に右手でホスキンズの手を上に払い除け後に退がった。
マーカスはバランスを崩しながらも後に退がりながら間合いを取った。しかし受付の台を軽い身のこなしで飛び越え、マーカスを押し倒し完全にマウントを取った。
ホスキンズ「ほっほっほっほっほ……心配するでないぞ?今お前さんはここで死ぬことになるが、後少しすればお前さんの親友も死んだ方がマシだと思うほどの苦痛を味わって死ぬだろう」
マーカス「!?……やっぱりテメェもずっとグルだったのか!!」
ホスキンズ「地獄に行って待っていろ…!!」
ホスキンズはマーカスの顔に向かって右手を近付けようとした。
ガシッ!!
しかし、その手首を横からガッチリ掴んで上に引きあげさせられた。ホスキンズが自分の右手を握っている正体に目を向けると、そこには藍川竜賀がいた。
竜賀「年寄りのマウント取ってそんなにご満悦になれるなんざ心が薄汚れている証拠だぜオッサン」
ドゴン!!!
竜賀は右手の渾身のアッパーカットでホスキンズの顎を殴った。ホスキンズは部屋中に鈍い音を響かせながら壁までぶっ飛ばされた。竜賀はマーカスをゆっくり起き上がらせた。
竜賀「大丈夫ですか?マーカスさん?」
マーカス「あ、ああ…大丈夫だ…心配しなくて良い…それよりエリックの奴が」
竜賀「ええ…まだ生きてますよ、きっと」
メリアンと源太も二人の元に駆け寄りマーカスが立ち上がるのを手伝った。
竜賀「それよりも…あのホスキンズって人…適能者だったんですか?」
マーカス「いや、違う…本当の彼は無適能者さ」
竜賀「本当の?」
源太「つまり、偽者ってことか…」
偽ホスキンズ「ほっほっほっほっほ……痛いのう、痛いのう…年寄りは労るもんじゃぞい小童?」
メリアン「下手な三文芝居はやめて、さっさとアンタも素顔を現したらどうなのよ?詐欺師め」
偽ホスキンズ「クックックック……やれやれ…ブルガント団の秘密にここまで辿り着けたことを讃えて…俺の本当の顔を見せてやるよ糞尼」
偽ホスキンズは右手で顔を覆うと、顔がグニャグニャとうごめき始めた。四人はグロテスクな光景に言葉を完全に失い、息をするのも忘れていた。
そして、顔が変化するのが止むと偽ホスキンズは右手をゆっくり顔から離した。すると金髪の白人の青年の顔になっていた。ブルーの瞳に整った顔立ちを邪悪な形相がかなり台無しにしていた。
メリアン「アンタは…確かシャーマン・サラザールね…狂った医者サラザール」
シャーマン「クックックック…光栄だね…君の様な小娘にも知られているなんてね」
竜賀「誰ですか?」
メリアン「アメリカで違法薬物を使った人体実験や薬物の横領で指名手配を受けていた男よ」
源太「俺が住んでたとこでもチラッと名前が耳に入るくらいだったから相当な悪党だぜ…スラム街にいる孤児を誘拐して薬をぶち込んで嬉々としてた野郎だよ」
シャーマン「クックックックック…人聞きの悪ぃ言い方だな?人類の科学の発展の為には必要な犠牲って奴だろ?まともな教育も受けられずに馬鹿のまま死んでいくかもしれなかった虚しい生命に意味を与えてやってたんだ…感謝してもらいたいくらいだな」
竜賀「……父さんも言ってたけど…科学の発展ってのがそんなに大事なもんなのかね?どいつもこいつも自分がやってることが絶対正義だと思い込んでて救えねぇ奴ばっかだな」
メリアン「全くだわ…」
シャーマン「この世界で90%以上いる凡人ってのは数%の天才達の努力によって豊かに暮らせているってことをそろそろ知るべきだぜ」
源太「だったら言っといてやるが、その天才様の偉大な実験の数々の失敗の犠牲になったりしてんのも、それらの実験に協力してんのにスポットライトを浴びることなく死んでいってんのはアンタの言う90%以上を占める凡人達だぜ?」
シャーマン「ほう?…言うじゃねぇか小僧?」
源太「自分の実験の自慢をするのは勝手だが、その裏側で何百、何千って人達の血の滲む程の努力を評価しようとしねぇ奴の銅像なんざ誰も造りたかねぇんだよ」
シャーマン「……やれやれ、言っても分からねぇ馬鹿ばかり…これじゃあ幾ら言っても平行線だな」
竜賀「最初っからこんな糞みたいなことする奴らの考えなんざ何も聞きたくねぇわ」
シャーマン「ここを通さねぇのが俺の役目だ……だから殺されても文句は言うなよ?」
源太「上等だ…!!」
竜賀と源太も戦おうと構えようとしたが、それを手を横に出し止められた。
メリアン「貴方達はMr.ジャッジを連れて先に行きなさい」
メリアンは手に鞭を持ち戦闘体勢に入っていた。
メリアン「ここで私達全員でこの男を倒すよりも、私一人でコイツを倒している間に貴方達三人でMr.ブラックを見つけに行く方が時間が圧倒的に短く救出することができるわ」
源太「でも!!コイツの実力がまだ未知数なのにそんな賭博みたいなこと…」
メリアン「あら?貴方達はべドナーの相手を自分達の父親に任せたのに私にはそれができないの?」
源太「…別にそういうことじゃ…」
竜賀「分かった!ここでゴチャゴチャ言っててもしょうがないからここは任せました!」
源太「!?竜賀!!」
竜賀「大の大人が子供に向かって任せろって言ってくれてるんだから、それを心配して止めさせようとするなんて野暮ってモンだって父さんが言ってたぜ」
メリアン「そういうことよ!ここは私にまっかせなさーい♪」
マーカス「分かった!そんじゃ行くぞ!餓鬼共!」
竜賀「はい!!」
源太「…はい!」
そして竜賀と源太はマーカスを守る様にしながら、受付の裏側に駆け足で入って行った。
シャーマン「逃がすか!!」
シャーマンは伽鍵礼符を取り出し、能力を発動さようとした。しかしその間にメリアンが割って入った。
メリアン「させるかってんのよ!!」
シャーマンの手から水銀の様な液体状の金属が飛んで来たが、メリアンは光の鞭で全ての液体金属を一瞬にして消し飛ばした。
シャーマン「ほほう?……一応名前聞いておこうか?お嬢さん?」
メリアン「…マクシム連合インディアナ支部…メリアン・ベイカーよ!!」
シャーマン「ブルガント団専門医師…シャーマン・サラザールだ!!」
そして、二人の適能者の壮絶な戦いの火蓋が切って落とされた。____
____裏口を必死に探そうとする源太とマーカスは辺りに何か隠しスイッチの様なものが無いか探していたが、手掛かりになりそうなものは何も見つからなかった。
源太「どこだ…!?」
マーカス「どこに扉があればそこの近くに隠し扉のスイッチか何かがあるはずなんだが…」
そんな二人が奥の部屋を手当たり次第に探っていると、竜賀は一人だけ部屋全体をぼんやり見ていた。
源太「ん〜〜と…ここじゃない、ここでもない…?ヘイ竜賀!お前もサボってないでどこかに隠し扉があるかどうか探すの手伝えよ!」
竜賀「……何かどっかから隙間風出てねぇかなって探ってたんだ」
源太「何でこんな時に風なんて気にしてんだよ!」
マーカス「!そうか!そういうことか!!」
マーカスも一旦物を探す手を止めて、耳を澄ましてみた。すると微かにどこかからヒューっと風が抜けていくような音がしていた。
マーカス「!!ここか!?」
マーカスが指差した辺りの床を竜賀と源太がしゃがんで調べてみた。
竜賀「……この床の隙間風が丁度四角形になってるよ」
源太「…こんな感じ?」
源太は隠し扉の形を確かめる様に床をなぞった。
竜賀「そんな感じ」
マーカス「つまりそこが隠し扉ってことか。問題はそこをどうやって開けるかってことだが…」
マーカスは顎に手を当て、どうしたものかと考えていたが竜賀は立ち上がって霊具である刀を取り出した。
竜賀「二人共、下がってて!もう時間が無い!」
竜賀は抜いた刀を振るって地面を斬った。すると四角形の隠し扉の中に一周り小さな四角い穴が繰り抜かれた。
竜賀「もうこんなとこで無駄に時間取られるのが勿体無さ過ぎる!」
竜賀はしゃがみ込んで小さな穴に手を突っ込んで穴の壁を触っていた。
源太「……何してんだ?」
竜賀「多分このへんとかにありそうな気がすんだけど……!!あった!!」
竜賀が何かを探しあてたらしくゴソゴソと手を動かしていると突然隠し扉がつゆっくり開き始めた。竜賀は急いで穴から手を抜いて離れた。
源太「隠し扉が開き始めたぞ!?」
マーカス「一体どうやったんだ!?」
竜賀「どうって…隠し扉の内側の開閉スイッチを押しただけだよ」
扉が自動でゆっくり開いていくのを竜賀はケロッとした表情で眺めながら答えているのを源太とマーカスはポカンとした表情で見ていた。
源太「そんなのがあったのか…?」
竜賀「うん…だって扉の外にある開閉スイッチを探すのに時間かけるよりも、扉の位置が分かってるんだから扉の内側のスイッチの方がすぐ見つかると思ってさ」
マーカス「しかし…扉の位置と正確な大きさが分かっているんだったら、わざわざ律儀に開閉スイッチに手を伸ばして押すよりも、最初から扉の大きさに穴を開けた方が良くなかったか??」
竜賀「…………………細かいことは良いんだよ!さっ!さっさと行こうぜ!!」
マーカス「……彼はマメな性格なのかい?」
源太「いや……ちょくちょく天然なとこがあるってだけです」
完全に開放し切った隠し通路が姿を現し、通路の奥の闇が三人を誘う様な不気味さが漂っていた。
竜賀は足早に通路の中に入って行くのを、源太とマーカスは着いて行った。
源太「完全に照れ隠しです」
マーカス「…どうやらその様だな」
ドガアアン!!!
隠し通路の階段を降りていっている途中で出入口の方から大きな破壊音が聞こえてきた。
竜賀「始まったか…急ごう!!」
メリアンの光の鞭が飛んで来る水銀の刃を悉く撃ち落としていた。シャーマンも絶え間なく連続で撃ち続けていた。そして振るった鞭の先端があわやシャーマンの身体に当たりそうにもなっていた。シャーマンもそれを喰らわない様に避けていた。
シャーマン「クックックックック!なるほど…光の鞭による防御と攻撃を同時にやってのける“攻守一体”の技こそが君の戦法と言う訳か…随分便利な戦い方だね?」
メリアン「わざわざ分析結果を説明してくれてどうも」
シャーマン「しかし…防戦一方になってしまうと攻撃が疎かになってしまい当てずっぽうになってしまう…」
メリアンはその言葉にピクッと眉を動かした。シャーマンはその動きを見逃さなかった。
シャーマン「どうやら本当にその様だな?君も俺の情報を掴んでいるなら当然俺の霊段階も知っている筈だろう?」
メリアン「だったら…どうだって言うの?」
シャーマン「通常霊段階が下の適能者が格上の適能者と戦う時には短期決戦で戦うのが定石だ。でなけりゃ戦いが長引く程、格下の適能者が不利になっていくからだ」
シャーマンは手を動かすと辺りにあった物が浮かび上がり、シャーマンの周囲をゆっくり回り始めた。
シャーマン「君はさっきからそんな光る鞭しか使って来ない。短期決戦で勝負をつけようとしている割に馬鹿の一つ覚えの様に同じ技しか使ってこない。つ・ま・り…」
シャーマンの周りを浮遊していた物が次から次へとメリアン目掛けて飛んできた。
シャーマン「その技が君の最大の切り札だってことだな……」
メリアンは鬱陶しそうに飛んできた物を手で払い除けると鞭を一振りしシャーマンに向けて放った。
メリアン「どんな状況でも勝てる見込みがあるから切り札って言うのよ…!!」
バチィィィッ!!
再び強烈な火花を起こして、メリアンの天使の刃がシャーマンに直撃した
はずだった…
光りの鞭がシャーマンの周囲を覆う半透明の球体によって防がれてしまっていた。メリアンは目を丸くしていた。
メリアン「随分便利そうな盾能力持ってるじゃない?」
シャーマン「だからさっきの言葉を返させてもらうぜ…どんな状況でも負けない見込みがあるから格上って言うんだよ!」
シャーマンは手裏剣の様な水銀のカッターを高速回転させながら、何発もメリアンに向けて放ってきた。メリアンもこれは躱しきれないと思い物陰に素速く隠れた。
シャーマン「そんなもんで攻撃を躱し切ったと思うなよ…!!」
するとメリアンの隠れていた物陰の壁から銀色の細い針が突き抜けてきた。
それを辛うじて避けたメリアンはその水銀の針も鞭で焼き切った。
メリアン「まさか壁すら貫通して来るなんてね…」
シャーマン「あ、そうそう…その“医療純銀”には人体に有害な猛毒も含ませているから、ちょっとでも擦ればあの世行きだ」
メリアン「あっ…そっ!!」
ビュオン!!!
完全に物陰からの奇襲、タイミング的には動いて避けられない一撃であったはず。しかし、シャーマンは顔色一つ変えず攻撃を球体のバリアーを張って防いだ。
シャーマン「だ・か・ら!そんな不意打ち程度じゃこのバリアは破られねぇっての!何遍も言わせるなよ格下ちゃん!」
メリアン「一撃防げたからって二撃目への警戒を怠ってる様な奴だから勝てそうって思ったのよ」
シャーマン「!!?」
バチィィッ!!
バリアを解除して次の攻撃に移ろうとした瞬間、シャーマンの死角から天使の刃が顔面向かって飛んで直撃した。
シャーマン「!!??ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
メリアン「これで少しは効いたでしょうが!!」
メリアンは、顔を押さえるシャーマンの悶える姿を見てガッツポーズをしていた。
メリアン「天使の刃は一撃必殺が売りの技じゃないのよ!自在な波状攻撃から来る連続攻撃が最大の売りなのよ!」
シャーマン「あああああああ…なんてな♪」
シャーマンは顔を押さえていた手を離すと顔には傷一つ付いていなかった。
メリアン「!?………それがアンタの伽霊能力なのね?」
シャーマン「ああ……傷を回復させる能力、そして顔を整形する能力さ」
メリアン「何ですって!!?」
シャーマン「クックックックック……この能力は随分組織としては便利だったのさ…負傷した団員の治療…それに一度顔が割れてしまった団員の顔を別人に整形することでマクシム連合内での脱走の隠蔽工作を可能にしたのさ」
メリアン「…シャーマァァン!!!!」
シャーマン「ここまで話した以上君を生かしておく訳にはいかなくなったな…大人しく死んでもらうかね!!!」
To Be Continued
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