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#27 LOOP BLAKE 第2章 腐れ縁 第14話 「そこにあるのは戦い」

まえ巨大きょだいなメイスをるうこのおとこくろいスーツ姿すがたひろ肩幅かたはば、そしてしろひげやしたこのおとこ。ウイリー・べドナーとばれるこのおとこみずからの部下ぶかであったはずの女性じょせい隊員たいいんをそのあやめた。

 そしてふたたびそのほか四人よにん部下ぶかいのちうばろうとした瞬間しゅんかん藍川あいかわ竜賀りゅうが猿渡さわたり源太げんた身体からだうごいた。

竜賀りゅうが「く…アンタ…自分じぶんなにしようとしてるかかってんのか!?」

源太げんた「アンタがいまころそうとしてるのは……アンタの仲間なかまじゃねぇのか!!?」

ウイリー「さっきまではね……しかし、ダミアン・シーベルトくんきみ部下ぶかはなしてはいけない内容ないようをベラベラとしゃべったおかげでもうころすべき対象たいしょうとなったんだよ」

源太げんたなに!?」

ウイリー「組織そしき円滑えんかつうごかすためには部下ぶかなにらない馬車馬ばしゃうまようはたらいてくれるほうがトップは都合つごういんだよ…それなのに」

竜賀りゅうが自分じぶんたちにとって不都合ふつごう事実じじつった部下ぶかにはえてもらうってことかよ?」

ウイリー「そのとおりだ…」

 ウイリーはメイスをちからづくで竜賀りゅうが源太げんた後方こうほうばした。竜賀りゅうが上手うま受身うけみ体勢たいせいなおし、源太げんた受身うけみれずたおんだ。

源太げんた「ぐえ!」

ウイリー「つくづく部下ぶかってのは面倒めんどうくせぇもんだ……らなくても情報じょうほう興味きょうみ本意ほんい調しらべて…組織そしき楯突たてつくようになっちまって結局けっきょく無駄ムダ体力たいりょく使つかって処分しょぶんしなけりゃいけなくなっちまう」

 ウイリーはメイスを自身じしん部下ぶかけた。レスリー・コーナーはそのなかでようやく冷静れいせいさをもどせたのか、パニックになりながらもウイリーに言葉ことばげかけた。

レスリー「何時いつからですか…?」

ウイリー「なにがだい?Mr.ミスターコーナー?」

レスリー「一体いったいいつからインディアナ支部しぶ違法いほう人体じんたい実験じっけんをしていることを少将しょうしょうっていたんですか?」

ウイリー「8年前ねんまえからだよ…」

レスリー「……え……」

ウイリー「こえなかったのかい?8年前ねんまえからだとってるじゃないか…Mr.ミスターコーナー?Mr.ミスターケネスター、Mr.ミスターデイビス、Miss.ミスシャンサ……君達きみたちおもっているほどなかってのはあまくないんだよ?」

レスリー「な……そんな」

ウイリー「アメリカ合衆国がっしゅうこく最大さいだい伽霊能力ギアルスキル研究けんきゅう機関きかんである“マクシム連合れんごう”だぞ?それを世界せかいてきにもここまで影響えいきょうりょくためにはただ漫然まんぜん人助ひとだすけだけしてればむとでもおもっていたのかね?その社会しゃかいてき地位ちいのぼりつめるためにそのうらでどれだけの“ひとはなせない努力どりょく”をしてきたか」

シャンサ「……そんなことって……」

ウイリー「君達きみたち簡単かんたん想像そうぞうできることくらいはたりまえにやってきたさ……でもかんがえてみたまえ?…適能者デュナミスト能力チカラ解析かいせきするため人体じんたい実験じっけんいま違法いほうでも、それがとお未来みらいにはかけがえのない人類じんるい科学かがく進歩しんぽ発展はってんつながるのであれば、これほど素晴すばらしいとおもえるやりがいのある仕事しごとなどないのだよ!!」

 ウイリーは語気ごきあらげて四人よにんうったえかけるようった。

ウイリー「人類じんるいがここまでゆたかにくららせるようになったのは、科学かがく進歩しんぽがあったからこそだ。その過程かていでどれほどの犠牲ぎせいしゃまれたとおもう?あらたな発見はっけんをするたび様々さまざま障害しょうがいまれた……しかし歴史れきし紐解ひもといてみるとそれらの障害しょうがいは、人類じんるい進化しんかこころよおもわないあたまわる連中れんちゅうことごと邪魔じゃましてきたからだ」

 ウイリーはレスリーたち指差ゆびさしながら饒舌じょうぜつかたっていた。

ウイリー「君達きみたちはそんな連中れんちゅうとはちがう!人類じんるいゆめをさらにまえすすめる理解りかいあるえらばれた人間にんげんなのだ!だから君達きみたちには!」

 そしてウイリーは一間ひとまいてった。

ウイリー「その伽霊能力チカラがあるのだ…!!」

光男みつお「やれやれ…コイツの自然しぜんってモンにたいする謙虚けんきょさの欠如けつじょっぷりには……目眩めまいがするぜ…!!」

 ウイリーが光男みつおのこの言葉ことばにハッとしてけるとそのにいた全員ぜんいん光男みつおほういた。

ウイリー「………ほう?……きみ一体いったいなんだね?…たところ東洋人アジアンようだが?観光かんこうにでもたのかね?」

光男みつお「いや……ただの迷子まいご無適能者アンチステージだよ」

ウイリー「無適能者アンチステージ?……ハッ!!…能力チカラたない無能むのう人間にんげんえらそうにわたし説教せっきょうするとでもうのか!?」

光男みつお「…伽霊能力ギアルスキルってのは……いま現在げんざい…この世界せかいではその存在そんざい自体じたい人類じんるい歴史れきしそのものに絶大ぜつだい影響えいきょうあたえるシロモノのはずだ……それなのにアンタたちはまるでそれを玩具オモチャようもてあそんでいる……」

 光男みつお徐々じょじょ距離きょりめていきながらはなしつづけた。

光男みつお「アンタたちってヤツはどいつもこいつも……偶然ぐうぜんなんのこっちゃ理解りかいしないまま能力チカラれただけじゃないか?…自分じぶん意志いしで!自力じりきで!れた能力チカラじゃないから……そこにたいする責任せきにんかんもまるでゼロだ……自分じぶんたち能力チカラまわりに一体いったいどんな影響えいきょうあたえてしまうのか認識にんしきもしないまま、ただ能力チカラ探究たんきゅうつづけている」

ウイリー「なに馬鹿バカなことを……我々われわれ能力チカラ人類じんるい進化しんか絶大ぜつだい影響えいきょうあたえ!様々さまざま不可能ふかのう可能かのうにしてきたのだよ!」

 まるでみんながそのこおりついたかのようにジッとウイリーと光男みつお言葉ことばみみかたむけていた。光男みつおかたな左手ひだりてち、ウイリーにゆっくりあゆりながらはなしつづけた。

光男みつお「“できるか”どうかにとらわれて、“すべきか”どうかについては一切いっさいかんがえなかったのか?」

ウイリー「……フン!…なんてはん進歩しんぽてき姿勢しせいなんだ…さすがかみ見捨みすてられた無適能者アンチステージなだけはある!こりゃ見事みごとだよ!!まえ発見はっけん糸口いとぐちがあるかもしれないのに!!そこにかってなん行動こうどうこさずいるなんてことができるのか??」

光男みつお発見はっけんなにがそんなにえらいんだ?アンタたちがやってきたのは発見はっけん対象たいしょう悪戯イタズラもてあそぶだけのいわば……自然界しぜんかいへの冒涜ぼうとくだよ…」

 光男みつおあきれたよう溜息ためいききながらウイリーを見下みくだした口調くちょうてた。光男みつお言葉ことばいかりで身体からだをワナワナふるわせたウイリーはゆっくりと伽鍵礼符キーカードした。

ウイリー「………墓場はかばっていく遺言ゆいごんはそれで全部ぜんぶか…?まれそこないの無適能者アンチステージめ…!!」

光男みつおおれ剣道けんどう師匠ししょうっていた言葉ことばをこれからなが牢屋ろうや人生じんせいおくるであろうアンタにのこしておいてやるよ……人生じんせいは“どこでまれたか”ではなく“どうそだったか”でしかない……」

ウイリー「それはきみ人生じんせいみじめさにたいするしみかな?」

光男みつお本当ほんとうあわれなひとだね……おれ伽霊能力ギアルスキルっていないことが“不幸ふこう”だとけている……ちから有無うむは“不便ふべん”ではあっても“不幸ふこう”とイコールではむすべるワケじゃないんだよ……それに…アンタ自身じしんはどうなんだ?」

ウイリー「なに?」

光男みつお「それほどちかられられた…しかし、結果けっかどうだ?世界せかいはアンタをみとめたのか?…アンタのこころ本当ほんとうしあわせでたされているとえるのか?」

ウイリー「…しあわせかどうかだと…?たりまえだろう!!…このシカゴの都市まちをこの伽霊能力ギアルスキル支配しはいとみと、地位ちい、そして権力けんりょくつかんでいる!!これをしあわせとばずしてなにしあわせとぶ!!」

光男みつおうわつらだけならゆたかにえるかもな?しかし、いまのアンタのことなんか…ここにいるだれ一人ひとりみとめやしないんだよ」

ウイリー「!?」

光男みつお組織そしき違法いほう人体じんたい実験じっけんをしていることを世間せけん公表こうひょうせずかくすどころか…その実験じっけん存在そんざい世間せけんつたえようとするひところそうとしたり……組織そしき幹部かんぶとして都市まち統治とうちしなければならない立場たちば人間にんげんが、そのうら非合法ひごうほう組織そしきつながって金儲かねもうけをするなんて」

 マクシム連合れんごう面々めんめんがその言葉ことばにハッとさせられたようかお見合みあわせた。

光男みつお「ここにいる全員ぜんいんいまアンタの本当ほんとう正体しょうたいった証人しょうにんだ」

ウイリー「だったら……」

 ウイリーがまたメイスをかたたかさまでげた。

ウイリー「ここにいる全員ぜんいん秘密ひみつはかってかせるまでだ」

   ブオンッ!!!

 自分じぶんあたまかってろされた巨大きょだいメイスを光男みつお刀袋かたなぶくろななめに咄嗟とっさかまえて、地面じめんながした。

   ドガン!!!

 すさまじい怪力パワーたたきつけたメイスをかるくいなされ体勢たいせいくずしてしまったウイリーのあご光男みつお刀袋かたなぶくろはししつけかお無理矢理むりやりグイッと上げさせた。

ウイリー「ぐ!?………」

光男みつおなにおどろいてんだ?もしかして…アンタここにたたかいをするってなってんのに……ころされる覚悟かくご武器ぶきにぎってんじゃねぇだろうな?」

 ウイリーをかたなばすと、光男みつお刀袋かたなぶくろから漆塗うるしぬりの藍色あいいろかたないた。

光男みつお戦場せんじょう一度ひとたび武器ぶきにして相手あいてければ……それは戦闘せんとう開始かいし合図あいずになる……そこには権力けんりょくも…財力ざいりょくめないんだ……」

 光男みつお左手ひだりてさやにぎこしのベルトにんだ。そして右手みぎてつかにぎかたなさやからいた。

光男みつおたたかいのめるのはあくまで“おのれ”だけだぜ」

ウイリー「かったようなことかすじゃねぇか…餓鬼がきが…!!!」

光男みつお「レスリーさん!!…ルーカスさん!!」

ルーカス「!!?」

レスリー「ッ!!?」

 ルーカスとレスリーは名前なまえばれてワレかえった。

光男みつお「ここにいる全員ぜんいんれて、はやくブルガントだんもとってください!!……ウイリーコイツおれ獲物えものだ…!!!……そこにいるマーカス・ジャッジさんは民間人みんかんじんなんで安全あんぜんところ避難ひなんさせてください!!」

レスリー「無茶むちゃだ!!ヤツはマクシム連合れんごうシカゴ支部しぶのトップにいる適能者デュナミストなんだぞ!?霊段階ステージ10テン中適能スコーカークラス適能者デュナミストだぞ!!」

光男みつお「コイツが一体いったいだれかなんてどうでもいい…自分じぶん仲間なかま傷付きずつけても…平気へいきかおしているこんなヤツおれ絶対ぜったいゆるさねぇ…!!」

レスリー「でも…!!」

デイビス「リーダー!!いまはとにかくブルガントだん襲撃しゅうげきめなければ!!」

 部下ぶか一人ひとりめられ、まわりのみんなかおけっしたようさけんだ。

レスリー「全員ぜんいんけ!!これより!!我々われわれマクシム連合れんごうはブルガントだん一斉摘発いっせいてきはつしシカゴの都市まち人々ひとびとかならまもく!!税金ぜいきん未納みのうしゃ関係かんけい全員ぜんいんだ!!おのれしんじ!!てき判断はんだんしたならそくってヨシ!!責任せきにんすべて!!このレスリー・コーナーがるッ!!!」

隊員たいいんたち「ハッ!!!!」

メリアン「リーダー!私達わたしたちは!」

ルーカス「なにうな…俺達おれたち一緒いっしょだ!!所属しょぞくする部署ぶしょちがえど…ともおなこころざしった仲間なかま逆境ピンチ見過みすごすことはできない!!インディアナ支部しぶはこれよりシカゴ支部しぶのレスリー・コーナーを全面的ぜんめんてきにバックアップし、犯罪はんざい集団しゅうだん『ブルガントだん』をたたく!!」

メリアン「ハッ!!!」

源太げんた俺達おれたちすぜ!!」

竜賀りゅうが「ああ…でもそのまえにマーカスさんを安全あんぜんところがすのをさきにな?」

源太げんた「………そうだね…」

マーカス「おれはとにかくいまはエリックをさがしたい…」

竜賀りゅうがかった…そんじゃ俺達おれたちそばいてるから一緒いっしょさがしにこう?」

光男みつお「…まりだな…」

ウイリー「おれがそれをさせるとおもうか?おまえらはぎた……全員ぜんいんころすとったはずだ」

光男みつお「それをさせねぇってってんだろ……マーカスさん裏口うらぐちからこの人達ひとたちがしてくれませんか?」

マーカス「あ、ああ……さぁ!!全員ぜんいんこっちへなさい!!こっちから裏口うらぐちそとまわれる!!」

ウイリー「させるか!!」

 ウイリーは一番いちばんちかくにいた部下ぶかびかかろうとしたがまえ青色あおいろやいばあらわれ、あしめた。

ウイリー「……退いてくれ……アイツらがっちまう…ころさなきゃいけねぇんだよ…一人ひとりのこらず…」

光男みつお「そのまえにアンタには……このシカゴの都市まちんでいたすべての人々ひとびとに…説明せつめいしなければいけないことがやまほどあるはずだ…!!」

ウイリー「死人しにんくちしっつってな……そんなもんころしちまえば関係かんけいねぇんだよ…小僧こぞう


 ____ローグの裏口うらぐちからし、ホテルの反対はんたいがわみちから竜賀りゅうがたちはマクシム連合れんごうのシカゴ支部しぶかってはしってった。するとみち松明たいまつってゾンビのようにゾロゾロあるいている集団しゅうだんえてきた。

ルーカス「アイツらか…!!」

シャンサ「でも一体いったいどこにあんな大人数おおにんずうかくれていたの!?あんなにいたなら私達わたしたちのレーダーにかってるはずよ!!」

ケネスター「ざっと見積みつもっても100にん余裕よゆうえてるよな、あれ…」

竜賀りゅうがわり簡単かんたんかくせるでしょ?あれくらい…」

シャンサ「どういう意味いみ!?」

竜賀りゅうが「だってシカゴ支部しぶのトップがブルガントだんのトップとつながってたんでしょ?だったらシカゴ支部しぶ内部ないぶめていても、いつでもられるってことじゃん……しかも支部しぶなか牢屋ろうやなんて、わざわざレーダーで毎日まいにち調しらべる物好ものず滅多めったにいないでしょ…」

レスリー「つまり……シカゴ支部しぶ牢屋ろうやヤツらのかくだとうことか…!?」

源太げんた灯台下暗とうだいもとくらしってこのことをうんだね…」

竜賀りゅうが「あとは牢屋ろうやはいっている人間にんげん人数にんずうがちゃんとっているよう調整ちょうせいしながら、都市まちおくしてあばれさせればいんだろ?」

デイビス「そんなことが……」

レスリー「しかし、ブルガントだん確認かくにんれてる人数にんずうだけでもすうせんにんえているんだぞ!!いまあそこにいる人数にんずうだけじゃ到底とうていりていないはずだ!もしかしたら援軍えんぐんひかえているかも」

竜賀りゅうが「まぁそんなのそこにいるだれかをとっつかまえてしゃいんだけどね…」

源太げんた賛成さんせい!!」

 源太げんたはそううと伽鍵礼符キーカード能力チカラ発動はつどうさせると、うでなんメートルもばし集団しゅうだん最後尾さいこうびにいたブルガント団員だんいん一人ひとり鷲掴わしづかみにし手前てまえ一気いっきせた。

源太げんた「おりゃ!」

団員だんいん「むお!?」

   グイン!!

源太げんた「ちょ〜〜っときたいことがあるからしばらくってくれる?♪」

ルーカス「とりあえず!全員ぜんいん一旦いったん物陰ものかげかくれろ…!!」

 団員だんいんつかまえた九人きゅうにんはすぐちかくにあったかくやすそうな建物たてものかくし、団員だんいん身動みうごれないようにちかくにあったロープで拘束こうそくした。

団員だんいん「な…なんなんだテメェら!!一体いったいどっから!?」

ルーカス「とりあえずこっちがきたいことが沢山たくさんあるからひとつずつこたえていってもらおうか?おまえ名前なまえは?」

団員だんいん「オ…おれはドミノ・メネシス…ブルガントだん一員いちいんだ!…おれをこんなわせたらどんなことになるか…」

デイビス「ドミノ・メネシス…?おかしいな?おれまえそんな名前なまえヤツをぶったおして牢屋ろうやにぶちんだ経験けいけんがあるんだが?」

ドミノ「シュ…シュトライダー・デイビス!?な…なぜこんな場所ばしょに!?」

 ドミノはいきなりさっきまでいかりであかかったかお突然とつぜんさおにしてあせをかきはじめた。なにやらおもしたくない悪夢あくむよみがえった表情ひょうじょうだった。

竜賀りゅうが「あの〜〜…デイビスさんでしたっけ?…以前いぜんったことあるんですか?」

デイビス「ん?…ああ……シカゴ美術館びじゅつかんを5ヶげつまえおそっていたことのある小物こもの適能者デュナミストだよ…最期さいごころしてやろうかとおもったが…ウイリーしょう…いや!ウイリー・べドナーのヤツめられてとどめをさせなかった……いまおもえば…ヤツはこの野郎ヤロウまもってやがったんだろうな」

竜賀りゅうが「なるほど…メネシス!…いまからくことにすべ正直しょうじきこたえろ…そうすればおまえはブルガントだん情報じょうほう提供者ていきょうしゃとして、我々われわれかなら保護ほごしよう」

ドミノ「餓鬼がきなにうえから目線めせんおれ指図さしずしてやがる!?」

竜賀りゅうが「あっそう?…だったら俺達おれたちつかまった時点じてん組織そしき用済ようずみになったアンタはこのあとウイリー・べドナーあたりにころされることになるとおもうけど…それでもいならご勝手かってに〜」

ドミノ「お…おい!!てよ!!おれ以外いがいだれから情報じょうほうすってんだよ!?」

竜賀りゅうが「いや…なんわったし……アンタはこっちがおもってるような情報じょうほうってさそうだし、ほか有力ゆうりょく情報じょうほうってそうなヤツをまたつかまえてすわ」

ドミノ「まっ!!ってくれ!!さっきはわるかった!!訂正ていせいする!!おれはブルガントだん情報じょうほう全部ぜんぶはなすから!!だからおれをこんなとこにりにしないでくれ!!たのむ!!」

竜賀りゅうが「………うっさいバーカ」

 そして竜賀りゅうががそのはなれようとするとさらにあわてた表情ひょうじょうになり必死ひっし竜賀りゅうがうったえかけた。

ドミノ「ってくれ!!このさいおりなかでもい!!このままだとおまえようにのリーダーにころされちまう!!おれたすけてくれ!!必要ひつよう情報じょうほう全部ぜんぶはなすから!!」

 ドミノに背中せなかけていた竜賀りゅうがはニヤッとし、うしろかえりながらくちひらいた。

竜賀りゅうが「よし!それじゃあこのルーカスの質問しつもん全部ぜんぶウソいつわりなく正直しょうじきこたえていきな…もしもってることがってなかったりしたら容赦ようしゃなくここにりにするからな…こっちも大急おおいそぎなんだからな?」

ドミノ「わ…かった!!」

竜賀りゅうが「それじゃルーカスさんあとはおねがいしますね?」

ルーカス「ああ……ドミノ…まず、この都市まちにブルガントだん進出しんしゅつしてきたのは一体いったいいつごろだ?」

ドミノ「6ヶげつまえです!」

ルーカス「そんなまえからたのなら、組織そしき一体いったいどこに潜伏せんぷくしていたんだ?」

ドミノ「マクシム連合れんごうシカゴ支部しぶ地下ちか留置所りゅうちじょつながっている牢獄ろうごくみてぇな屋敷やしきだ!ウイリーのヤツひそかにつくってくれていたんだ!」

ルーカス「ブルガントだん一体いったい何人なんにんいるんだ?いま都市まちされているのは何人なんにんなんだ?」

ドミノ「全員ぜんいんで228にんだ…いまそとているのは全部ぜんぶで127にん!そしてこの都市としのライフラインを地下ちかから見張みはっているのは30にん都市まちそとから増援ぞうえんのマクシム連合れんごうヤツらがないよう監視かんしするのに38にんってる!」

ルーカス「のこり33にんはどうした?」

ドミノ「幹部かんぶなか二人ふたりいまそとて…一人ひとりオトリになっているがトップのアレックス・ブルガントは側近そっきんのソルマン・ノルスタインと一緒いっしょ拠点きょてんとなるシカゴ支部しぶ一気いっき占拠せんきょするつもりだ」

レスリー「馬鹿バカな!たった33にんでどうやって占拠せんきょするってうんだ!?」

ドミノ「いてなかったのか…?…シカゴ支部しぶ地下ちかにアジトがつながっているってっただろ?」

レスリー「!?」

メリアン「建物たてもの内部ないぶからくずしにかかるつもりなの!?」

 デイビスはドミノのむなぐらにつかみかかり、身体からだげながら必死ひっしそうとした。

デイビス「どこだ!!?一体いったいどこにほかかく通路つうろがある!!!おまえらはそこをとおってそとまでれたんだよな!!だったらそこからおまえらのアジトにつながっているはずだろう!!」

ケネスター「け!!まだコイツからかなきゃいけねぇ情報じょうほうはあるんだ!ここでころか!」

 ケネスターはデイビスのをドミノからはなし、必死ひっしけさせようとした。

源太げんたになったんだけどさ……おまえらブルガントだんがこのシカゴにたのは6ヶげつまえで、本格ほんかくてき活動かつどう開始かいししたのが5ヶげつまえだったはずだろう?」

 源太げんた以前いぜんたすけたメリッサと名前なまえおんな言葉ことばおもして疑問ぎもんをぶつけてみた。

源太げんた「たった1ヶげつでどうやってアジトつくったんだ?」

ドミノ「ここにブルガントだんる2週間しゅうかんまえくらいにウイリー・べドナーが留置所りゅうちじょかくとびらつくって地下ちかのアジトをせっせとってくれてたらしい…300にん以上いじょう余裕よゆう収容しゅうようできる地下牢ちかろうきの巨大きょだいアジトを」

竜賀りゅうが「そこにエリック・ブラックさんがいそうだな…」

マーカス「…!?」

 竜賀りゅうが言葉ことばにハッとしたマーカスは自分じぶん幼馴染おさななじみ居場所いばしょ竜賀りゅうが源太げんたしてくれたんだといた。

竜賀りゅうが「そんで?…そのアジトをブルガントだんる2週間しゅうかんまえから準備じゅんびしてくれているって…一体いったいブルガントだんのトップとウイリー・べドナーってどんな関係かんけいせいだったんだ?」

ドミノ「幼馴染おさななじみだと……大分だいぶふるいらしいけど…その関係かんけいがあってウイリーはアレックス・ブルガントにたいする協力きょうりょくしまなかったんじゃねぇか?くわしくは本人達ほんにんたちからくしかないが…」

竜賀りゅうがくさえんってことか…」

ルーカス「それで?おまえらはこのシカゴのマクシム連合れんごう支配しはいしてどうするのが目的もくてきなんだ?」

ドミノ「このシカゴを拠点きょてんにアメリカに莫大ばくだい経済けいざい混乱こんらんこすことだ…」

ルーカス「経済けいざい混乱こんらんだと…?」

ドミノ「アレックス・ブルガントは模造品レプリカつくることができる適能者デュナミストで…むかしガーラムってくに偽造ぎぞう通貨つうか大量たいりょう発行はっこうしたんだ…そしてハイパーインフレをこしてガーラムをほろぼしたんだよ」

ルーカス「なんだと!!?」

源太げんた「えっ?えっ?…えっ!?なに??」

竜賀りゅうがなんなんですか?そのハイパー…インフレって…?」

ルーカス「数年すうねんまえみなみアメリカにあるガーラムってくに政府せいふが、大量たいりょう発行はっこうした『ペガ』って自国じこく通貨つうか出回でまわったことによって物価ぶっか異状いじょうまでにがって需要じゅよう供給きょうきゅうのバランスがくずれてしまっただい事件じけんきたんだ」

源太げんた意味いみかんない!なんでおかね大量たいりょうつくったら、くにほろぶことになったの?」

メリアン「おかねってうのは適切てきせつりょうだけつくらなかったら、おかねそのものの価値かちがってしまうのよ……」

竜賀りゅうが世界せかいひとつしかないレアもののスニーカーと、大量たいりょう生産せいさんされてるだれでもってるスニーカーだと、レアもののスニーカーのほう価値かちおおきいってやつだよ……どれだけ品質ひんしついスニーカーでもだれもがそのスニーカーをってたら、2足目そくめ以降いこうらないだろう?それが通貨つうかきたってことですよね?」

ルーカス「ああ……それによってペガの価値かち暴落ぼうらくしてしまって、ペガ紙幣しへいがただの紙切かみきれになってしまってたんだ…それによってガーラム政府せいふ国民こくみんから信用しんよううしなってしまいくに崩壊ほうかいしたんだ」

メリアン「ガーラム政府せいふ事態じたい把握はあくしきれないまま、通貨つうか大量たいりょう発行はっこうされていたことに気付きづいてなかったんだけど……まさかそれをやっていたのがブルガントだんだったなんて…」

ルーカス「なぜブルガントだんはガーラムでそんな真似マネを…」

ドミノ「実験テストさ……」

ルーカス「実験テストだと?」

ドミノ「この偽物にせものかねをばらいたらくにがどうなるかの社会しゃかい実験じっけんおこなっていたのさ……実験じっけん結果けっかてのとおりガーラムはハイパーインフレをこして国民こくみん物資ぶっし不足ふそく失業者しつぎょうしゃまちあふかえって、くにではあちこちでテロがきていた」

レスリー「テメェら今度こんどはそれをこの都市まちこそうってかんがえてんのか…」

 レスリーのこえはワナワナとふるえていた。かおいかりでになって、いまにもドミノにおそかってころそうと表情ひょうじょうをしていた。

レスリー「何故なぜだ…」

ドミノ「?」

レスリー「何故なぜこの都市まちなんだ?おれあいするシカゴの都市まちでハイパーインフレをこそうとしてんだ…?ブルガントだんは?」

ドミノ「……この都市まち復讐ふくしゅうするためだとさ…」

竜賀りゅうが復讐ふくしゅう?…なんため復讐ふくしゅうなんだ?」

ドミノ「差別さべつだよ……無適能者アンチステージによる迫害はくがい…そして……適能者デュナミストほこりをけた、これは“聖戦せいせん”だ…」


To Be Continued

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