なんちゃってエリートのアート思考(書道)
外コンで働いたことはあるけどすぐ首になっちゃった、なんちゃってエリートのぼやきです。
アート思考とは?
現代社会はVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)と称され、従来のロジカルシンキングでは対応しきれない問題が増えています。ロジカルシンキングは明確なゴールが設定された問題解決(目指す姿-現状=GAPという解析が可能な問題)に有効ですが、VUCA時代の問題はしばしば目標が不明瞭で答えが存在しないため、異なるアプローチが必要です。
アート思考は、このような状況下で創造的かつ柔軟なアプローチを促す思考法です。プロセス自体に重点を置き、物事の観察方法を変えることで、未踏の領域への探求や新たな価値創造を可能にします。アート思考は、たとえば、芸術界での答えのない「絵」からインスピレーションを得ています。印象派の画家たちは従来の芸術規範にとらわれず、光と影を独自の視点で捉え直しました。また、シュルレアリズムは現実と夢の境界を曖昧にし、全く新しい視覚的言語を生み出しました。これらの動きは、ビジネスや他の分野で新しい問題解決の方法を模索する際にも応用されてきており、未知の問題に対する革新的な解決策を生み出す源泉となっています。アート思考は、これらの芸術運動が示すように、既成概念を超えて新しいフロンティアを探る創造的な思考法です。
芸術を表現する「観る」×「描く」
芸術の世界では、「観る」と「描く」の二つの行為が非常に重要です。これらはアート思考を理解し、活用する上で中心的な要素となります。
観る:洞察力と視野の拡大
「観る」という行為は、単に目で見ること以上の意味を持ちます。これは、芸術作品を通じて深い観察眼を養うプロセスです。芸術家がキャンバスに描いた一つ一つのストロークには、その背後に意図や感情、文化的背景が反映されています。これを理解することで、観る者は自身の視野を広げ、固定化された解釈の枠を超えて新しい洞察を得ることができます。例えば、クロード・モネの「睡蓮」シリーズは、ただの池の風景を超えて、光と色の無限の可能性を探求しています。光の表現がどのように強調されているのか?なぜか?という視点で作品を観ることで、私たちは環境への感受性を高め、さまざまな角度から物事を見る訓練とすることができます。
描く:創造性と技術の融合
一方、「描く」は、具体的な創造行為です。ここではアイデアが形となり、視覚的表現を通じて具現化されます。このプロセスでは、技術とクラフトマンシップが必要とされ、アイデアを現実のものとして表現するためのさまざまな技法が用いられます。たとえば、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画で見せた神話的な場面の描写は、彼の深い宗教的理解と卓越した画技が融合して生まれたものです。このように「描く」行為は、創造者の内面と技術が一体となって新しい価値を生み出す瞬間を提供します。内面(主観)とセットとなった表現であるため、必然的に答えは1つではなくなります。
主観が大切であるならば、日本人なら、日本人らしい芸術で「観る」力を育ものよいのではないでしょうか?書道を例に見てみましょう
書道で体験する「観る」
書道は、「観る」と「描く」を体現するアートの一つです。ただ文字を書くというシンプルな行為でありながらも、墨の濃淡表現される白〜黒と筆のかすれの表現などがあり全く同じ文字はかけない、全く同じ作品はつくれないという芸術の側面があります。
以下は、書道のお手本です。ここでお手本を描いた人の意図や、何が表現をされていると読み取りますか?
粗密(白黒の密度)に気づきました?
間(空間の取り方)に気づきましたか?
こういった観点に気づいていないと、何度「マネして」描いても、ちっともお手本に近づかないのです。そりゃそうですよね、、、見えてないんですから
まずは見て自分で描いてみて、何を観るべきか?指導を受けて修正し、描いた作品です
正直、今回は、かなり不満のある「作品」となってしまいました。限られた時間の中で、ちゃんと「観て」、できる限りの技法を駆使して「描く」ことで作品として「まとめる」ことができませんでした
自分の引き出しから作品を生み出すには、やはり「描く」力が大切です。これも実際に筆を動かさずして身につくことはないと思うので、習得に時間がかかります。
書道を通じて、なんちゃってエリートのワタシはアート思考を深め、自己表現の幅を広げる「観察眼」を磨き、「見れているようで見れていない」気づきをえることができるのです。これはまさに創造的探求の旅と言えるでしょう。短期的にこの「観察眼」が売上につながることはないでしょうが、答えのない時代の問題にアプローチする上で非常に大切な思考プロセスを書道というアートの実践を通じてアート思考を身につけられることは間違いなさそうです。
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