KabuK Styleの社内デジタル庁「Digital Service Unit」創設について

KabuK StyleのCOO兼CTOの後藤です。2022年5月に就任と同時に、CTO直轄の組織「Digital Service Unit」を創設しました。このnoteでは、ユニットのミッションや、そこに込める思いを紹介します。

私の考える最強のエンジニアチームとしてのDigital Service Unit

タイトルで「社内デジタル庁」と格好良い書き方をしてみましたが、ぶっちゃけた言い方をすると「自分の考える最強のエンジニアチーム」を作ったということなんです。私は、ビジネスに対して必要と考えられることを実施する責任と権限がチームにあり、それを実行する能力もある、そういうチームが理想で最強だと考えています。スキルがあっても決める権限がなかったり、逆に権限があるのに実行部隊は別のチームだったりするのは、とても不自由ですよね。現場の誰もが「やらなきゃいけない」「やれば良いのに」と思っているのに、自分たちではそれを決定できなかったり、また組織全体でもその実施を決定できない、なんてことには絶対にしたくないんですね。

Digital Service Unitというユニット名は、日本のデジタル庁や、アメリカのDigital Serviceからのインスパイアとリスペクトでつけています。このユニットのミッションは以下のようにとても広くとっています。

社内外すべてに対して、技術、デジタル化の恩恵を広めること

このミッションによって、Digital Service Unitがどのような目線で仕事をするのかと、何に価値を置くのかということを語ろうとしています。

まず目線は、お客様だけでもないし、プロダクトだけでもない。社内外のすべての人や物事を対象としています。KabuK Styleで構築しようとしているのは「世の中のインフラ」であり、それは決して一部の限られた人だけが使っていればよいものではありません。インフラというのは多くの人に使われなければなりませんし、また多くの人に使われることでより価値を発揮するものです。同時に、多様な使われ方をするのがインフラだとも考えており、限られたユースケースのみではなく、ユーザーの数だけ使い方があるようなものを目指してもいます。このようなインフラを創り出すマインドセットとして、Digital Service Unitのメンバーにはあらゆる人に価値を届ける意識を持って欲しいと考えています。
次に、ユニットが届ける価値を「技術、デジタルの恩恵を広める」こととしています。ここに込めているのは、何かを作ることがゴールではなく、人に影響を及ぼしてこそ価値があるということです。作られたモノなどによって、利用する人の仕事や生活が便利になっている、豊かになっている。そういった結果に価値を置くということです。

究極的なオーナーシップ=自分がやらなければ誰がやるマインドを持ち、必要なことは何でもやる

これまで、技術やデジタル化ということをしきりに書いてきましたが、実際にそれらを活用して問題を解決するという活動は、技術とデジタルの世界に閉じこもっていては成し得ないことばかりです。むしろ個々の現実の世界の問題へしっかりと足を踏み入れ、そこで起こっていることを自分のこととして感じられるくらいに浸かることで初めて、真に問題解決のスタート地点に立てるのです。それはエンジニアの仕事ではない、それは自分たちのユニットの仕事ではない、と線を引くことはNGです。「そこにある問題」を解決することが私たちの仕事であり、その問題を解決しなければ、私たちには何の存在意義もありません。そのためには、境界を作らず、縦横無尽に越境し、問題解決に必要なことを柔軟に学び、下手でも何かを前に進めることにこだわり抜く。それがDigital Service Unitのメンバーに期待する行動です。

チームの責任範囲を明確にしないのは、アンチパターンではないか?

チームデザインにおいては、チームの責任を明確にすること、コミュニケーションパスを減らして認知負荷を下げることがセオリーです。Digital Service Unitは、これと真っ向から対立するようなチームデザインになっています。
正直なところ、このチームデザインがサステナブルなのかどうか今の時点で明確な答えを持ってはおらず、これからチームを運用していくことで明らかになっていくものだと考えています。

Digital Service Unitで何をやっているか

Digital Service Unitは、私を含めて現在は5名のチームです。私以外は、ざっくりと以下のようなメンバーが所属しています。

  • PdMを軸足に、多数のプロジェクトの進行、チームマネジメント、さらには営業までこなすメンバー

  • PdMとエンジニアの二刀流で、超速かつ正確にモノを作り上げるメンバー

  • EMとして多くのメンバー(エンジニア、デザイナー)の成果と成長にコミットしているメンバー

  • シニアエンジニアとしてRailsの知見を軸に、幅広い領域の開発にオーナーシップを発揮しているメンバー

Digital Service Unit創設時に、以下の5つを「対象となる活動エリア」として定めています。

  • Digital Strategy and Organizational Development

  • Digital Platform

  • Product Engineering Guild

  • In-house Digital Service

  • New Product Incubation

この5つのエリアに紐付けて、現在は以下のようなことを実施しています。

  • データ基盤整備とデータ活用力向上

    • HafHやGoogle Analyticsのデータを分析用に抽出・加工する(dbt→BigQuery)

    • 分析用ダッシュボードの整備(Metabase、Tableau)

    • SQL勉強会の開催

  • HafHの宿泊施設向けや交通事業者向け機能の開発とメンテナンス

    • Channel Manager系機能の開発とメンテナンス。今後国内・海外含めてあらたなChannel Managerとの連携開発も計画中です。

    • 航空券予約機能の実装。今後各社のシステムまたはGDSと連携する部分の開発も計画中です。

  • HafHプロダクト開発の支援

    • プランや決済、予約管理などコアな機能について設計レビュー

    • 開発の規模が大きな際の、計画・全体設計・ファシリテーションなど

    • システムの信頼性向上のための開発

    • 障害対応、ポストモーテム等活動の整備

  • コイン数設定アルゴリズムの改善

    • 仕入れ価格や利用実績、各種トレンドなどからプライシングするアルゴリズムの開発と運用

  • 新収益認識基準ベースの会計処理

    • サービス提供時点での、コイン数を元にした会計方法(仕訳方法)の定義と、定義に基づくシステム化

  • 事業オペレーションの効率化

    • 施設営業チームの管理業務の効率化

    • データドリブン営業のための支援

  • 新規事業のための開発

    • PMSのプロトタイプ開発、他

このように多岐に渡る仕事を、都度優先順位の組み換えをしながら進めています。
特に面白いであろう点が、KabuK Styleの現在のビジネスの中心にある「コイン」に関係する、プライシング側と会計的な計上の両面の責任を負っているところでしょうか。これらがシステム化されつつあることで、プロダクト側の打ち手に対しても、また施設向けの営業戦略についても、データに基づいて仮説を立てPDCAを回すアプローチが可能になってきています。

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チームの設計について

チームのPdM Bucciのインタビュー


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KabuK Styleは、「多様な価値観を多様なまま許容する社会のインフラを創る」をミッションにしています。現在は旅行・観光産業を対象としてミッションの実現を模索しており、旅のサブスクリプションサービス HafHを開発・運営しています。


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