巨大な切り株の中へ 400年前の命の内部
皆さまコンニチハ、ひでみです。
今日は屋久島旅語り・第7話をお届けします。
巨大な切り株の内部はどうなっているのでしょうか!?
どうぞ最後までお楽しみください。
往復10時間をかけて、屋久島のちょうど中心部にある推定樹齢2000〜7200年の縄文杉に会いに行くトレッキングツアー。
とにかく歩き続けます。
私は普段、全くと言っていいほどスポーツもしなければ、歩きもしない、究極の運動不足人間なのですが、屋久島の森ではへこたれず、気持ちよく前に進むことができました。
途中、湧水のポイントが何箇所かあるのでそこで給水したり、私はこっそり苔の先に溜まった露を指ですくって飲んだりもしました。朝露には植物から発せられるエネルギーが転写されていると聞いたことがあります。
身体の内側から、普段とは違う潤いと細胞の躍動を感じるようで、何時間歩いても、もう嫌だ、疲れた、なんていうネガティブな想いは0.1ミリも湧いてこなかったのです。
10時間の森歩きは平坦なトロッコ道から始まりましたが、時間が経つにつれてどんどんと斜面が多くなってきます。地球の重力を身をもって体感。
登山家達は荷物を1グラム単位で計測して準備をすると聞いたことがあります。その1グラムが長く険しい登山には命取りとなるんですよね。その理由が少しわかった気がします。
歩き始めて3時間半が経った頃、大きな切り株が姿を現しました。まるで映画「ロード・オブ・ザ・リング」に登場するホビットの家のようです。
この「ウィルソン株」と呼ばれる切り株は、現存していれば屋久島最大級の木に育っていたと予測されています。
このとてつもない魅力を持つ大木は、今から約400年前、豊臣秀吉の命令によって大阪城築城のために伐採されたと伝えられています。(※京都の方広寺建立の説あり)
皆さんは、屋久島を含め世界史上には地球の様々な場所で大木が伐採された歴史が残っているのをご存知でしょうか?
それも現代人では想像もつかないほど大きな、天まで届くかのような高さの木です。
このことについて、私は個人的にこのような考察を持っています。歴史のある時点において、神木を伐採することが豪族や貴族のステイタスであったのではないか・・・
人間の欲や権力というのは、豊さのシンボルであると同時に、非常に残酷なものでもあります。それはどうしても狩るか狩られるかのゼロサムゲームの世界になってしまうからです。
私の個人的見解の真偽は未だ研究中ですが、権力的な争いの中には、人間同士の戦いだけではなく、言葉を発さない動物や自然の存在をも巻き添えにした奇妙な争いが起こり続けていることは確かです。
ウィルソン株の内部はがらんとした空洞のようになっており、ガイドさんとツアー参加者の計8名が同時に入ってもまだ余裕があるほどです。
そこには湧水が清らかな小川をつくっていました。祠も鎮座し、神聖な雰囲気。切り倒され400年経った今でも、まだまだこの木は生き続けているんだ!と木の魂のようなものを感じます。
見上げると大きな切り口から空が見えます。
角度を変えて見ると、ハートのかたちに。
この光景は、思い出すだけでも泣きそうになります。
人間の手によって切り倒された大きな命。そんな過去があっても、今なお人間を自らの内部に迎え入れ、美しい体験をさせてくれているのです・・・自然からの大きな愛としか表現のしようがありません。
ハートから降り注がれる光を浴びながら、祠の前で静かに手を合わせて感謝しました・・・
✳︎✳︎今日はここまで✳︎✳︎
次回、いよいよ森の主が登場!
引き続きお楽しみ下さい。
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