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「Demiちゃんが行く!」#10 写真家 緒方秀美 私小説 "前に進むしかなかった修行時代"

おはようございます。私小説も第10話になりました。
前回はやっと憧れの華やかなコマーシャル フォトの世界に入ったと思いきや、その世界はデミにとって、とても過酷な所だったのです。だけど辞める訳にわいかなかったのです。

第10話 ”前に進むしかなかった修行時代"

そんな毎日で3ヶ月も絶つと私と同期のスタジオマンはどんどん辞めていく、彼らは「僕はクリエイティブな世界だと思ってこのスタジオに入った、でもここでやっている仕事はただの肉体労働じゃない。僕はクリエイティブな会社に再就職するよ。」それは正論、ほんとうに毎日肉体労働だ。しかし彼らはスタジオエビスを辞めてもどこか他のスタジオか写真関係の仕事につくことできるだろうけど、だけど私は女性は入れない世界に無理やり入れてもらった身だからここを辞めたらカメラマンの道が途絶えてしまう、私にはここしかない他に逃げ場はなかった。
毎日毎日がハードワーク、言われる前に察して動け~~ちょっとのミスで鬼の様な顔で怒る先輩やカメラマン、ひとり優しい先輩が私の事を思っていつもかばってくれた「女の子にはスタジオマンは無理だよ、カメラマンなんて到底無理。あんな大山千賀子みたになるのは星を掴む様な事だよ。僕は来月スタジオ辞めて故郷の鹿児島に帰るけど一緒に鹿児島来ない?」プロポーズされた、優しくてイケメンの先輩、だけどデミは田舎が大嫌いなんだ。せっかく熊本から出て来たのに隣の県の鹿児島に行くわけにはいかない、カメラマンとして生きると決めているからそのプロポーズには応えられなかった。
ある日、大山千賀子さんがスタジオエビスに撮影に来た、彼女がスタジオに入るだけで、その場の雰囲気が明るくなる、モデル達がのってくる、撮影前にもう出来上がった雰囲気になる。彼女のライティングはカメラの周りの上下 両サイドに6台のストロボをおくリングライトだそうする事でモデルの顔に影が出なくて綺麗に映る。大山さんが撮るとモデル達は瞬く間に美しさを増していく、その場が魔法の空間に変わって撮られるモデルがイキイキ輝きだす。
撮影が終わりお見送りする時に大山さんは「デミちゃん頑張ってる?」と話しかけてくれた「デミが重たい物もてなから、いつも怒られながらやってるのです」とデミ「そんなの持てる人に持ってもらったらいいのよ!! カメラマンは感性を活かす仕事よ!スタジオにいながらそれを磨くのよ、がんばって!ここで一年スタジオ勤めたらアシスタントにしてあげるわよ」といってくれた。「そうだここでプロの仕事に触れて感性磨くだけだ。よし!スタジオマンを一生やるわけではない、このスタジオでハイスピードで覚えるだけ覚えて一年後は次のステージだ!!」肉体労働は男の子達に任せて、ここはカメラマンで生きる通過点として感性磨く場所だと思った。毎日いろいろなカメラマンがスタジオに撮影に来る、大御所のカメラマンや雑誌のカメラマン、音楽関係のカメラマン、ファッション カメラマン、物撮りカメラマン、同じカメラマンだけどカテゴリーによって雰囲気が違う。
大御所カメラマンはポルシェでスタジオに入り苦みばしった顔つきでいつも偉そうにしている、そのアシスタント達はゴキブリの様に素早く動いて撮影が進む、ちょっとのミスでも殴るくらいのピリピリした雰囲気のスタジオも経験した。ファッションカメラマンはノリがよくモデルを乗せて綺麗な表情引き出す楽しい雰囲気で進んでいくデミはファッション撮影とミュージシャンの撮影が好きだった、物撮りカメラマンは物がよく見える様に一ミリの角度にこだわり小さなゴミでもついてないか細かく気を回し撮っていく、大雑把なデミには物撮りを手伝うのは苦痛だったりした。
男性しかいないスタジオだと思われているせいかデミはよくロン毛のイケメンに間違われてた、いちど大女優の大原礼子の撮影でストロボのチャージオッケーですと声を出すと大原礼子に
「あら女の子だったの?かわいい坊やがいると思ってたわ」と男の間違われても大女優の大原麗子にそう言われるのは嬉しかった。


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