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「Demiちゃんが行く!」#9 写真家 緒方秀美 私小説 "憧れの華やかな世界”

こんにちは。
あらゆる意味で歴史的な東京オリンピックも終わり、依然コロナは蔓延して今は世界的歴史的大変化の時ですね。
そんな時だからこそ人生振り返り私小説書き出したのかもしれません。前回はデミがカメラマンに憧れて上京しどうしたらその職業につけるのか模索しながら、動いた結果スタジオマンというアシスタント業まで辿り着いた事まで書きました。
今では女性のフォトグラファーは多いのですが、あの頃は女性というだけでアシスタントにもなれない様な時代にアグレシッブにアプローチしてやっと憧れの写真の世界に入れたお話しです。

第9話 ”憧れの華やかな世界”

スタジオマン初日、憧れのクリエイティブな世界、プロのカメラマンがモデルや芸能人やミュージシャンを撮影する華やかな場所、スタジオエビス
そこでのスタジオマンとはいえワクワクする、私もやっとクリエイティブな世界に入ったんだ~~~希望に燃えた。

しかし予想に反してスタジオエビスでの仕事はトイレ掃除から始まり、なかなかスタジオには入れてくれない、トイレ掃除が終わると撮影が終わって次のお客様が来るまでのインターバルの一時間に急いでスタジオの掃除とストロボ準備しなきゃいけない。掃除 掃除 掃除 重たいストロボをエレベターも使わず、4階の倉庫から8階のスタジオに運ぶ、一日中掃除とストロボ運び、掃除も厳しい先輩に隅々まで綺麗にしたか厳しくチャックされる、夜ご飯はひとり300円の予算でスタジオマンとマネージャー全員約37人分を作る、それまでの人生で37人分の食事なんて作った事がない、それもひとり300円の超節約料理、最初はどんな分量を買えばいいか全く検討もつかず料理を失敗して怒られたり、その予算だとどうしてもカレーになってしまうけど、いつもそれでは飽きてしまうとまた先輩に怒れる。スタジオの近くのスーパーや市場で安くお肉や野菜を仕入れて調理する毎日。徐々に大量に料理する事になれて、どれだけ安い食材でボリューム出すかと考えて料理も基点がきくようになり早くうまくなった。その中で薄切りの豚肉のトンカツは安い薄切り肉を重ねてパン粉を付けて揚げるげることでボリュームたっぷりになるから、スタジオマン達にはとても受けていた。
デミは華やかなクリエイティブの世界にやっと入れたと思いきや、ここは自衛隊だったのかと思わずにはいられないくらい毎日が肉体労働の日々を過ごしてた、だけど自衛隊と違うのはプロのカメラマンが撮影するスタジオに入って撮影の様子やライティングを観れる事、誰も教えてくれないスタジオワークだからプロの仕事ぷりを見て盗み覚えるしか技術を学ぶ方法はない。どんなに自衛隊みたいに厳しく肉体労働だろうが、ここでしかプロの技を観る事ができない、ましてや女を雇わないと断れたのにタンカきって雇ってもらったのだから弱音をはくわけにはいかないデミだった。


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