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【書籍】『55歳から やりたいことを全部やる!時間術』ー自分が主役になるにはどうすればよいのかを考える

 臼井由妃さんの『55歳から やりたいことを全部やる!時間術』を拝読しました。人生後半の時間をどう考えるのか、多くのヒントが得られる書籍です。


「これまで」の時間術と 「人生後半」 の時間術でまず意識すること

 まず冒頭に、「これまで」の時間術と 「人生後半」 の時間術について重視すべき視点の言及があります。この書籍で述べられていることはおよそここに集約されます。55歳という年齢は、それぞれの方にとっていろいろな背景があり、プロセスも異なり、アウトプット(出口)も異なると思いますが、まずはこの点は共通のものとして常に認識する必要があるでしょう。

(これまで)→(人生後半)
・「効率」重視→「質」重視
・「ゴール」を目指す→「ゴール」から考える
・詰め込む→余白をつくる
・「いつか」→ やる「今」やる
・「仕事」が中心→「自分」が中心

臼井由妃著『55歳から やりたいことを全部やる!時間術』 (日経BP、2023年) p5

自分の豊かな人生を歩むために

 老後を見据え、色々な活動をやるということを示した書籍は色々ありますが、これだけ多くのことを教えてくれる本はなかなかないのではないかと思います。「55歳」という年齢にかかわらず、早めにチャレンジすることが大事かなと思います。

「勤め人人生」には必ず終わりが来ます。
「終わり」という言葉に、ネガティブな印象を持つ方がいるかもしれませんが、逆です。「自分が主役の人生」を歩む時期がやってきたのです。

臼井由妃著『55歳から やりたいことを全部やる!時間術』 (日経BP、2023年) p6

 「人生100年時代」という言葉もある通り、一方で「ずっと働かなければいけない」という思いは誰にでもあるのかもしれません。しかし、言及しているように、「勤め人人生」は必ず終わりがきます。現状では、定年、定年継続再雇用である65歳というのが目処でしょう。

 さらに、65歳までずっと「同じように働き続けること」だけを考えるというのはなかなか難しいものです。物理的にも体力的にもです。仮に働いてとしても、それだけを考えていたのでは、「自分が主役の人生を歩む」ことは難しいのだと思います。それには準備が必要です。そして、その選択肢は多々あります。

 人生後半は、「コスパ・タイパ」ではなく、時間の「質」。大変多くの気づきが得られ、この記事だけですべて収まるものではないですが、特に気になったところを数カ所取り出してみます。

仕事時間を減らし、自分時間を楽しむ

60 代でも70 代になっても若手と同様の仕事をこなせる人もいるでしょう。
それでも「仕事時間は60 歳で5時間、70 歳で3時間」 と決めることで、人生は仕事だけではないことがわかり、「これから○○を始めよう!」「やりたいことをやり尽くそう」と、自分時間を楽しむことの大切さが、理解できるものです。

臼井由妃著『55歳から やりたいことを全部やる!時間術』 (日経BP、2023年) p19

 具体的な時間は出ているので、非常にわかりやすいのですが、60歳で5時間 、70歳で3時間ということを決めると、随分楽な気持ちになります。そして、これからの目標を定めやすくなるのではないかと思います。今後の私にとってもターゲットとなりやすいものでした。

経験を活かした「学び直し」をする

単にムダを省いたことで時間が増えた、時流に乗って「学び直し」をしようというのではなく、50 代はこれまでのキャリアや実務経験、人生経験を客観的に棚卸しした上で、「学び直し」によって、これから必要とされるスキルや知識を獲得、アップデートするときです。

臼井由妃著『55歳から やりたいことを全部やる!時間術』 (日経BP、2023年) p109

 「学び直し」というと、「全く新しい学び」をすることが連想されます。しかし、50代になると、多くの経験をしているはずなので、まずは実務経験、人生経験を棚卸し、それを活かすということも非常に大事になります。その上で必要なスキルを補完していけば、これ以上強いものはありません。

読書は「生き方の投影」

55 歳からの読書は、「知識吸収」から「生き方の投影」と軸足を変化させる ことを考えましょう。ビジネス書や自己啓発書、歴史書、小説……本には著者の考え方や行動、生き方が投影されています。ゆっくり丁寧に読むという行為を通じて、書き手の「人生を読み取る」。 それが読書の新たな目的になります。

臼井由妃著『55歳から やりたいことを全部やる!時間術』 (日経BP、2023年) p122

 読書は種々の目的があり、仕事のために役立てる、あるいは知識を吸収するというのは非常に大事なことです。しかし、長い人生を生きてきたからこその読書というのは、「自分の人生に当てて」考える必要があります。そうしていくことによって、より豊かな人生を歩むことができるのではないかと思います。いずれにしても読書は外せないものと思っています。

アウトプット重視で学びを深める

 人生後半の時間術では「ゴール(最期)から逆算して、今やるべきことを最優先に行動」するのが大事。その「今やるべきこと」で、「自分の知識や知恵を誰かに伝えたい」「教えたい」 を挙げる人は多いものです。

臼井由妃著『55歳から やりたいことを全部やる!時間術』 (日経BP、2023年) p133

 人生後半では、それ相当の経験をたくさんしているはずです。その経験、そして、上記にも挙げた、「経験を活かした学び直し」をさらにアウトプットをすることで、相手にも役に立つし、自身にとっても新たな学びにもなります。人生後半の学びの方法として、非常に重要と思います。人生後半でしかできない、学びの方法です。「教える」(アウトプット)ということは一つの手段として大変有効です。

頼み事をされる、それは関係の中で生きる上で重要

人生後半の仕事を左右するのは、実は会社や組織を離れた確かな人とのご縁です。
ここでいう「会社や組織を離れた確かな人」とは、あなたの魅力や能力を理解して心から応援してくれる人 を意味します。
「○○社の○○部長」から降りても、変わらず仕事であなたと接してくれるのはそういう人たちなのです。
10 年後のあなたの仕事の大事なパートナー、サポート役と言い換えてもいいかもしれません。
では、そのご縁をつくるにはどうすればいいのか。
ヒントは、「頼み事をされる人になる」ということです。

臼井由妃著『55歳から やりたいことを全部やる!時間術』 (日経BP、2023年) p168

 人との関係で大切な何かというと、やはり「頼りにされる」ということだと思います。もちろん、仕事という意味ではお金いただくということになります。一方、それ以前の問題として頼みことをされなければ、どうしようもないわけです。そして頼まれるということ自体、豊かな人生を送るのに非常に重要なことだと思います。

複数の本業で自分の人生を豊かにする

 でも、一度しかない人生を「やるべきこと=本業」だけに費やすのはもったいない と思います。
 本業以外に「やりたいこと」が複数あったならば、もっとも実現可能性の高いことから始める。そこで自信をつけ、次の「やりたいこと」に進む。

臼井由妃著『55歳から やりたいことを全部やる!時間術』 (日経BP、2023年) p195

 一つのことだけで集中してやっていく、というのも素晴らしいことです。ただし、「豊かな人生を送る」ためには自分の可能性をもう少し広げるということが必要だと思います。「やりたいことを少しずつ始めていく」というのも、その可能性を広げていくということになります。もしかしたら、その行動が時間をかけて、「複利」で効いてくるかもしれません。早く始めることで、自身の人生が豊かになる可能性が高まってくるわけです。

 紹介した部分は一部ですが、大変学びの多い書籍でした。55歳にという年齢に関わらず、人生のヒントが得られる素晴らしい書籍です。
 また、自身も人事として、シニア人材のキャリア開発を検討していますが、その意味でも材料が多くあり、大変参考になりました。

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