リスキリングの力:競争力を高める新しいスキル習得の重要性ー柿内秀賢氏ー伊藤洋一のRound Up World Now!
「伊藤洋一のRound Up World Now!」2024/08/30は、「パーソルイノベーション・スペシャル」でした。今回は、リスキリング(再スキル習得)の重要性について、ゲストの柿内秀賢さんを迎えてのインタビューでした。
柿内氏は、リスキリングが企業の競争力を維持し、さらに向上させるために不可欠な要素であると強調しています。リスキリングとは、既存のスキルに新しいスキルを追加し、変化するビジネス環境に適応するための能力を養うことを指します。特にリーダーシップの役割が重要であり、リーダーが率先してリスキリングを推進することで、組織全体がその変革を受け入れ、成功に導くことができると述べていました。
柿内氏は、自身の著書『リスキリングが最強チームを作る』でも、リスキリングの必要性とその効果について詳しく解説しています。現代の企業環境では、技術革新や市場の変化が非常に速く、企業が生き残り、成長するためには、常に新しいスキルを習得し続けることが求められています。
たとえば、かつては手作業で行っていた業務が、今では最新のテクノロジーを使った自動化システムに取って代わられているといった状況です。これにより、企業は新しい技術を積極的に取り入れ、それに対応するためのスキルを持った人材を育成することが不可欠となっています。
また、リスキリングは単なる一時的な研修にとどまらず、日常の業務に直結した実践的な取り組みであるべきだとされています。社員一人ひとりが新しいスキルをどのように自分の仕事に適用し、それを実際に活用するかが重要です。これを実現するためには、リーダーシップが欠かせません。
特に、上層部の強い支持と積極的な関与が必要であり、リーダーが率先してリスキリングの重要性を訴えることで、社員全体がその取り組みに積極的に参加することが期待されます。こうしたリーダーシップの力が、組織の文化を変革し、全体の生産性を向上させる原動力となります。
リスキリングが求められる背景には、企業が直面する様々な課題があります。たとえば、日本の企業文化では、長年の成功体験や過去のやり方に固執する傾向が強く、新しい技術や方法を取り入れることに対する抵抗感が根強いことが指摘されています。このような状況下で、リスキリングを効果的に進めるためには、企業内の各部門が協力し合い、新しい知識やスキルを積極的に共有し、活用することが重要です。このような協力体制が整った企業こそが、急速に変化する市場で競争力を維持し、さらに成長することができるのです。
具体的なリスキリングの効果として、個人の成長だけでなく、組織全体の生産性向上が挙げられます。例えば、営業職であれば、AIを活用して顧客のニーズを迅速かつ的確に把握し、それに応じた提案を行うことで、業務効率が大幅に向上することが可能です。同様に、生産現場においても、AIを用いたデータ分析により、品質管理の精度が向上し、不良品の発生を減少させることが期待されます。こうした取り組みを通じて、企業は新しい価値を創造し、競争力を強化していくことができます。
また、企業のリーダーがリスキリングに積極的に取り組むことが、組織全体の変革を促進するための最も重要な要素であると述べられています。リーダーが率先して新しい技術や方法を学び、それを実践することで、他の社員にもリスキリングの重要性が浸透しやすくなります。リスキリングは、単なるスキルアップにとどまらず、組織の文化を変える大きなチャンスであり、それを成功させるためには、企業の全体的なビジョンと戦略が必要です。リーダーが自ら学び続け、変化に適応する姿勢を見せることで、社員もその姿勢に共感し、リスキリングの取り組みに積極的に参加することが期待されます。
さらに、リスキリングの推進には、企業の評価制度や報酬体系も重要な要素として挙げられます。多くの日本企業では、これまでの成功体験に基づいた評価制度が根付いており、新しいスキルの習得や革新的な取り組みに対する評価が十分に行われていないケースが多いとされています。これに対し、リスキリングを推進するためには、従業員の新しいスキル習得やチャレンジを積極的に評価し、それに応じた報酬を提供することが求められます。このような評価制度の見直しが行われることで、社員のモチベーションが向上し、リスキリングの取り組みがさらに進展することが期待されます。
リスキリングの重要性は、企業の内部にとどまらず、外部との連携にも関わってきます。リスキリングが企業間のコラボレーションやオープンイノベーションを促進するための鍵となります。異なる企業や業界が持つ知識やスキルを共有し、それぞれの強みを活かして新しい価値を創造することが、現代のビジネス環境ではますます重要になってきています。
たとえば、ある企業がAI技術に強みを持っている一方で、別の企業がマーケティングのノウハウを持っている場合、両者が協力することで、より効果的なAIマーケティング戦略を構築することができるでしょう。このようなコラボレーションが進むことで、企業は単独でのリスキリング以上の成果を上げることができ、さらに大きな競争優位を築くことが可能になります。
リスキリングを進めるためには、単なる技術習得にとどまらず、リベラルアーツの学びも重要であるという話題もありました。リベラルアーツとは、物事を多角的に考え、広い視野で問題を解決するための基礎的な教養や技術を指します。これには、哲学や歴史、文学、科学といったさまざまな分野の知識が含まれます。リベラルアーツを学ぶことで、社員は単に新しい技術を使いこなすだけでなく、その技術がもたらす影響や社会的な意義を深く理解し、より良い意思決定を行うことができるようになります。これにより、企業全体としても、よりバランスの取れた、持続可能な成長を目指すことができるのでしょう。
このように、リスキリングは企業の競争力を維持・向上させるための重要な手段であり、特にリーダーシップの役割が強調されています。企業がこれからの時代に求められる変革を遂げるためには、リスキリングを通じて新しい知識と技術を積極的に取り入れ、それを日常の業務にどう生かしていくかが問われています。そして、その変革の原動力となるのは、他でもないリーダーたちの行動と決断力であるということがあります。リスキリングを通じて、企業とその社員が共に成長し、未来に向けて新しい価値を創造していくことが期待されているのです。
私自身も、人事、人材育成に長く従事する者として、多くの気づきを得られたところもありました。
企業のリスキリングトレーニングセッションです。現代的で明るい会議室の中、多様なバックグラウンドを持つ社員が小さな円卓を囲んで座り、近くに立つトレーナーが新しい技術やスキルに関する情報を表示したノートパソコンの画面を指差しています。社員たちはメモを取ったり質問をしたりしており、協力的で対話的な学習環境が伝わってきます。自然光が差し込む部屋には植物やモダンな装飾が施され、集中、革新、そしてプロフェッショナルな成長の雰囲気が漂っています。
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