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人事・経営支援関連

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私の経営・人事支援関連の記事です。
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#フィードバック

「人事課題を解決したい」企業の方に対し、私がお尋ねする観点

 私は、地方企業様の人事課題の解決支援の活動をしています。その際、経営者の方、担当の方とも多くのコミュニケーションをさせていただいています。その際、話題として、人事関係(制度等)の話はもちろんですが、基本的な経営の状況の話もさせていただいています。  最近でこそ、「人事は経営の根幹の一つ」という経営者の方も多くなってきました。総論としては理解されているものの、なかなか深く突っ込んで議論をするのは苦労します。とはいえ、最初から「サーベイシート」のような、こと細かい資料を使って

人事評価と目標管理ーMBOやOKRの本来の目的を再考する

 MBOやOKRなどの制度は、その本来の目的や意義が曖昧になっているケースが多く見られます。これら2つの手法が人事評価制度と結びつけられ、本来の意図とは異なる形で運用されていることが少なくありません。 MBO(Management by Objectives)  MBOは、1950年代にピーター・ドラッカーが提唱したマネジメント手法で、組織の目標と個人の目標を整合させ、社員一人ひとりが自律的に目標を設定し、その達成に向けて努力することを促すものです。  ドラッカーは、M

【書籍】フィードバックの力ー部下のモチベーションを引き出す方法ー『フィードバック入門』(中原淳氏)

 中原淳著『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』(2017年、PHP研究所)を取り上げます。特に忙しいマネジャーを対象に、部下育成にとっても重要なプロセスでもあるフィードバックの技術を詳細に解説しています。以下に、本書の内容を確認・考察してみます。  フィードバックとは、部下の成長を促すために行うもので、問題行動の改善と成長を目的とした「情報通知」と「立て直し」の2つの要素から成り立ちます。  日本ではこのフィードバックが軽視されてきた背景に

退職者フィードバックの力ー持続可能な発展への道

 退職者へのインタビューを実施することは、人事管理の実践において非常に価値のあるプロセスです。組織が退職者からのフィードバックを真摯に受け止め、それを成長と改善の機会として活用することは非常に重要です。このプロセスは、組織文化、リーダーシップ、報酬制度、キャリア開発プログラムなど、多岐にわたる領域での洞察を提供し、組織の持続可能な発展に寄与します。 退職者インタビューの重要性組織の「鏡」としての退職者フィードバック  退職者からのフィードバックは、組織が自己の現状を「鏡」

中高年社員が直面する逆パワハラの現実と人事としてどう対応するのか?ー日経ビジネス記事より

 日経ビジネス2024/04/15の記事に『逆パワハラに怯える中高年社員 部下にもの言えず無気力状態 』が掲載されていました。この記事は、中高年社員が職場で直面する逆パワハラや複雑な人事評価制度によるストレスについて深く掘り下げています。40〜50代の社員が特に強いストレスにさらされており、これが彼らの働く意欲や精神的健康にどのような影響を与えているかが詳述されています。人事の立場として、これにどのように向き合って行くべきなのか、検討してみたいと思います。 逆パワハラストレ

目標達成の戦略ー組織成長と個人発展のための具体的アプローチ

 目標設定は、組織の成長と個人のキャリア発展の両方において、非常に重要なプロセスです。ビジネスにおける目標設定の質を高めるためには、戦略的なアプローチと具体的な行動計画が必要不可欠です。質の高い目標設定を実現するには、いくつかの重要なポイントがあり、それらを適切に実践することが求められます。 透明性と共有の促進  目標を設定する際は、透明性を保ち、すべての関係者が目標について明確に理解していることが重要です。透明性を確保することで、チームメンバー間での信頼関係を築くことが

フィードバックのアートとサイエンスー組織のエンゲージメントとイノベーションを高めるために

 フィードバックを適切に実施することは、組織内でのコミュニケーションとパフォーマンスの向上において中心的な役割を果たします。私が長年にわたり、人事領域で経験してきた中で、フィードバックの本質とその効果的な提供方法は、個人の成長、チームの協力、そして組織の成功に直結する重要な要素であることを繰り返し見てきました。こフィードバックの重要性とその提供方法について、人事の立場から詳細に考察してみます。 フィードバックの重要性  フィードバックは、相手の自己認識を高め、行動の改善に

被評価者としての最低限の「あり方」を伝えるのもよい

 特に中小企業に多いのですが、人事制度が存在していて、評価制度もある程度ある、しかし、運用はまだまだというパターンです。評価者に対しては研修も実施され、ある程度の理解度はあるのですが、被評価者がに対しては特に何もしていないケース。被評価者の研修をある程度やるべきではあります。しかし、人事制度全体の成熟度が今一つの段階で実施をしてしまうと、全体のバランスが崩れる可能性があります。以下の記事で記載しました。  しかし、それでも被評価者に対して最低限のガイド・メッセージを出したい

人事制度:評価者のみならず、「被評価者の理解度を高める」こともまた重要

被評価者の理解度を高める  人事制度において、評価される側(被評価者)の理解度を高めることは重要です。評価者研修で評価者の力量を高めるということは、多くの企業が行っていますが、被評価者についてはまだ足りない会社も多い印象がします。実際に、評価者研修は7割の企業で実施されているのに対し、被評価者研修は2割に止まっているというデータもあります。  被評価者研修は、被評価者が、仕事の目的や目標、評価基準などをより明確に理解し、仕事の品質を改善するのに役立ちます。さらに、評価者と

人事考課の標準的な流れ・機能・メリット

 人事考課は「目標設定~期中指導~評価~フィードバック」が大きな流れです。どれも重要なステップになります。基本的な流れ・機能・メリットを理解し、適切に実施することで、大きな効果を得ることができます。  これらをバランス良く実施することは大切です。一方、多くの企業は、いずれかのステップが弱かったり、事実上存在していないこともあります。その場合も、最初から多くを求めず、一つ一つ確実に実践していくだけでも、効果は上がってきます。 目標設定  目標設定は、従業員が期間中に達成す