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人事・経営支援関連

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私の経営・人事支援関連の記事です。
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「人事課題を解決したい」企業の方に対し、私がお尋ねする観点

 私は、地方企業様の人事課題の解決支援の活動をしています。その際、経営者の方、担当の方とも多くのコミュニケーションをさせていただいています。その際、話題として、人事関係(制度等)の話はもちろんですが、基本的な経営の状況の話もさせていただいています。  最近でこそ、「人事は経営の根幹の一つ」という経営者の方も多くなってきました。総論としては理解されているものの、なかなか深く突っ込んで議論をするのは苦労します。とはいえ、最初から「サーベイシート」のような、こと細かい資料を使って

経験学習によるポテンシャルの解放ー部下の強みを育てるマネージャーのガイド(松尾睦氏)

 Aoba-BBTの番組で、松尾睦氏による『部下の強みを引き出す育成力養成講座』というテーマ。部下の強みを引き出し、その成長を後押しすることは、マネジャーにとって最も重要な役割の一つです。組織の持続的な発展のためには、一人ひとりの部下が持つ独自の才能や強みを見出し、それを最大限に活かしていくことが欠かせません。しかし、現実には、部下育成に悩むマネジャーが少なくありません。「どのように部下と向き合えばよいのか」「部下のやる気を引き出すにはどうすればよいのか」といった疑問や不安を

持続的な成功のための組織文化の強化ー9の着眼点

 組織文化の強化は、組織全体における重要な課題であり、成功するためには総合的なアプローチが求められます。組織文化は、組織の価値観、信念、行動規範、慣習などを包含する複雑な概念であり、組織の全てのメンバーに浸透し、組織の方向性と意思決定に影響を与えます。強い組織文化は、組織の一体感と結束力を高め、メンバーのモチベーションと生産性を向上させ、組織の目標達成を促進します。一方、弱い組織文化や不健全な文化は、組織の効率性と成果を阻害し、メンバーの士気を低下させる可能性があります。その

人事戦略によるポジティブな職場文化の創造

 いつも良い空気が流れるチームや組織は、単に業績を上げるためだけではなく、メンバー一人ひとりが働きやすく、互いを尊重し合う文化を持っています。このような環境は、組織の持続可能性と成長のために不可欠です。以下に、提供された情報を基に、これらの特徴がどのようにして人事の立場から支えられ、育てられるかについて詳細に考えてみましょう。 1. 明るく前向きな雰囲気 価値観の共有  人事は職場の文化を形成する上で重要な役割を果たします。ポジティブな職場文化を築くために、人事は価値観を

職場文化の活性化ー報酬とパフォーマンス評価の課題への対応

 「どうせ給料上がらないし、評価もされないから適当に」という従業員の発言が、組織における報酬マネジメントとパフォーマンスマネジメントシステムの不備を示しています。これは従業員のモチベーション低下、職務満足度の低下、そして組織全体の生産性への悪影響に繋がりかねない深刻な問題です。以下では、これに対する包括的な改善策を考察します。 1. パフォーマンスマネジメントの見直し  パフォーマンスマネジメントシステムは、従業員の業績評価とモチベーション向上のための核となる要素です。従

成長に不可欠な要素ー負荷と挑戦の価値

 「負荷のない環境で成長は難しい」ということについて考えてみたいと思います。人事として様々な業務を経験してきた中で、この真理は個人のキャリア開発だけでなく、組織の成長や変革おいても非常に関連が深いと思います。 個人のキャリア開発において  従業員が常に快適な範囲内で仕事をしていると、成長は鈍化します。新しいプロジェクト、異なる部署での勤務、あるいは新しい技術の習得など、従業員にとって未知の領域への挑戦を促すことは、その人のスキルセットを広げ、キャリアの可能性を拡大します。

石井遼介氏『心理的安全性のつくりかた』ー心理的安全性が導く組織変革の道標

 「心理的安全性」が言われて久しいです。本書は、近年ますます重要性が高まっている組織やチームにおける心理的安全性をいかにして構築するかについて、理論的背景から具体的な実践方法まで幅広く解説した書籍です。もう1回講読してみました。 第1章 チームの心理的安全性  チームの心理的安全性とは何かという基本的な定義から始まり、それがチームのパフォーマンスや学習、成長にどのようなポジティブな影響を与えるのかを様々な研究結果を引用しながら説明しています。また、日本版の心理的安全性を測

川上真史氏ーパブロフの理論からビジネス戦略へー条件付けとマインドセットの理解

川上真史ビジネス・ブレークスルー大学教授の「企業と心理学 トピックス #7 条件付けとマインドセット」というテーマは、マインドセットが条件付けによって変わっていくという興味深い視点を示しています。人事の立場においても非常に重要な示唆を得られるものでした。考察してみたいと思います。 条件付けとマインドセットの理解 条件付けとは、ある特定の刺激(条件刺激)に対して一定の反応(無条件反応)が習慣化される心理学のプロセスです。この概念は、イワン・パブロフの古典的条件付けの実験から広

賃上げ戦略の全方位的アプローチー企業成長と従業員満足度を高めるには

 「賃上げ」の議論は、単に経済的な要素だけでなく、社会的、心理的、そして組織文化に関わる多面的な側面を含みます。人事の立場から、この複雑な課題にアプローチするには、さまざまな角度からの検討が必要です。以下では、賃上げに関する議論をさらに深掘りし、組織にとって最適な賃上げ戦略を考察します。 企業財務状況の深掘り  企業の財務状況を考慮する際、単年度の利益だけでなく、長期的な財務戦略も重要です。投資、研究開発、社員教育などへの再投資の余地を確保しつつ、賃上げを行うバランスが求

企業文化とパフォーマンスー良い姿勢を持つ従業員が生む影響

「良い仕事は、良い姿勢の人に集まる」といいますが、やはり組織の成功への道を照らす重要な原則です。人事の立場で、この言葉がいかにして組織の文化、パフォーマンス、そして最終的な成功に影響を与えるかについて考えてみたいと思います。 良い姿勢の本質とその重要性  まず、「良い姿勢」とは、仕事に対する熱意、プロフェッショナリズム、倫理観、そして困難に直面しても諦めない粘り強さを含む、多面的な特性を意味します。これらの特性を持つ従業員は、単に業務をこなすだけではなく、革新的なアイデア

学び方革命ー人的資本経営と自律的キャリア形成ー高橋俊介氏

 BBTの番組・高橋俊介氏による「組織人事ライブ#701 人的資本経営と学び方改革」を視聴しました。その内容から考えること、人事企画にどのように活かすかを考えてみたいと思います。 人的資本経営における学び  人的資本経営において、人は単なる資産ではなく、むしろ資本として捉えられるべきです。さらに、人は知的資本の投資家としての役割も担っています。従業員は自らの知識や能力に投資することで、企業の成長に貢献し、同時に自身のキャリアも向上させることができます。  しかし、日本の

目標達成の戦略ー組織成長と個人発展のための具体的アプローチ

 目標設定は、組織の成長と個人のキャリア発展の両方において、非常に重要なプロセスです。ビジネスにおける目標設定の質を高めるためには、戦略的なアプローチと具体的な行動計画が必要不可欠です。質の高い目標設定を実現するには、いくつかの重要なポイントがあり、それらを適切に実践することが求められます。 透明性と共有の促進  目標を設定する際は、透明性を保ち、すべての関係者が目標について明確に理解していることが重要です。透明性を確保することで、チームメンバー間での信頼関係を築くことが

効果的なリスキリング戦略ー「3つの罠」を避けるためにはどうするか

 日経ビジネス2024/4/19の記事に『「リスキリング」の課題 効果が出ない3つの罠』が掲載されていました。  この記事では、企業が従業員のスキルアップを目指して実施している「リスキリング」についての取り組みとその際に直面する課題に焦点を当てています。リスキリングとは、急速に変化する業界や技術環境に対応するために、従業員に新しいスキルや知識を身につけさせることです。日本政府や経済産業省も、個人のスキル再構築を支援する施策を進めており、この分野に多額の投資が行われています。

長所と短所のバランスー効果的な人事管理の秘訣

 誰にでも「長所」と「短所」はあるものです。周りの人の長所に注目することの重要性と、そして、短所も含めた適切なバランスについて考え、具体的な人事戦略とその実践方法について考察してみます。 長所に注目することの重要性  長所に焦点を当てることで、ポジティブな職場環境を構築し、従業員の自己効力感を高めることに寄与します。従業員が自分の能力や才能が認識され、評価されると、仕事への情熱、創造性、そして責任感が高まります。このような環境では、従業員は自発的に自己超越の機会を求め、自