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ムダに教養がつくかも知れない不定期な雑学講座の連載(講義中は寝ないこと)~世界宗教の基礎知識3「キリスト教」をひもとく 第1講「聖書」の世界

世界一のベストセラー&ロングセラー  「聖書」

さて、今回からの講義は「キリスト教」がテーマです。
キリスト教には、カトリック、プロテスタント、東方正教会
大きな3つの系統がありますが、
その中での教義の依り代となるのが
「聖書(Bible)」とよばれる聖典です。

この聖書には「旧約聖書」「新約聖書」の二つのパートがあります。
このうち「旧約」の方は、紀元前4世紀ころまでにまとめられたもので、
キリスト教での「教祖」にあたるイエス・キリストが生まれる前に、
すでに書物として成立していました。

この内容は39巻の書物からなっていて、
世界の始まりおよび人類の誕生からユダヤ民族の歴史、
預言者のエピソードからなっています。
したがってこれはユダヤ教と共通の聖典となっています。

 「旧約」や「新約」の「約」は、「神との契約」を意味します。
この場合の旧約とはキリスト以前の、
ユダヤ人にとっての「神との契約」であることになります。

キリスト教のもとになった「ユダヤ教」においては、
これが唯一の「聖書」であることになり、
キリスト教においての「旧約」とは、
キリストが神の預言者である「前提」としての意味となります。

ですから旧約において神が救済するのは
ユダヤ民族のみということになるのです。

 ここで契約を結んだ「神=ヤハウェ」は、
創造主としての唯一神であるとされています。
その唯一神であるヤハウェは、
ユダヤの民が神を敬い、律法(戒律)を守って生活するならば、
ユダヤ民族を繁栄させ、そして加護すると約束をします。、

「旧約」の中身とは

このように、「旧約」はキリスト教にとっては、
前提条件となったのですが、それはどのようなことかというと、
このように神と契約を交わしたにもかかわらず、
人々は幾度となくこの契約を破るからです。
ですから神はその度に人々に厳しい裁きを下したと記されています。

 旧約聖書は大きく四つの内容構成で描かれています。
最初は「創世記」をはじめとした五つの書による「モーセ五書」
これは最初の預言者(神の言葉を預かるもの)
といわれるモーセによって書かれたものであるとされています。

天地が創造され、アダム、エヴァという最初の人間の誕生から、
ノアの方舟やバベルの塔のエピソード。
そしてユダヤ人のエジブト脱出。そしてシナイ山での十戒、
モーセの説話、そしてモーセの死でもって章が結ばれています。

 そして次が「歴史書。」ヨシュア記など12の書があり、
モーセの後継者であるヨシュアによる
約束の地カナン(現パレスチナ)の征服。
そしてユダ王国の滅亡までのユダヤ民族の歴史が書かれています。

そして、次が「文学書。」ヨブ記など五つの書があります。
ヨブという敬虔な信者に神が様々な試練を与えてその信仰を試す話や、
神への感謝の詩歌などが収められています。
そして、「預言書。」イザヤ記やエミリヤ記など17の書があり、
ヤーウェの言葉を伝える、
預言者たちの言行録が主な内容になっています。

キリスト

「新約」の中身とは

「新約聖書」はキリスト教のみの聖典ですが、実はイスラム教においても、
旧約と共に「信仰すべきもの」の対象となっています。

それは信仰するのが「唯一神ヤーウェ」であるからです。
そのメカニズムは、たとえば「ムハンマド」が
預言者であるという前提条件になっているので、
キリスト教における旧約と同じ意味合いなのでしょう。

さて、新約聖書においては、神が新しい契約を結ぶため、
過ちを繰り返す人たちを目覚めさせるために、
イエスを派遣したという設定になっています。

そして、その契約とはイエスが十字架にかけられて死ぬことで、
愚かな人間の罪をあがない、
そして復活することによって神との契約が果たされる。

というのが大きな流れとして柱になっています。
 ですから、最大の奇跡は「イエスの復活」といえるのかも知れません。

ですから、キリスト教においてはイエスも信仰の対象となるわけです。
律法を重視する旧約とは違い、
神への信仰が重視されている内容になっています。

すなわち、神の子(キリスト)であるイエスは神が遣わした
「救世主=メシア」であるという信仰です。

新約聖書の内容は、全部で27巻の章立てで、
「福音書(4巻)」
「使徒言行録(歴史書)」
「パウロ書簡(13巻)」
「公同書簡(8巻)」
「預言書(ヨハネの黙示録)」


という内容になっています。

福音書=エヴァンゲリオン

 「福音」とは”よい知らせ”という意味の
「エヴァンゲリオン」というギリシャ語に由来します。

 すなわち、救世主であるイエス・キリストによって
もたらされたよい知らせ=「神による救い」について書かれたものです。

  この福音書は書いた人によって
「マルコによる福音書」、
「マタイによる福音書」
「ルカによる福音書」
「ヨハネによる福音書」


の四つがあります。
これらは紀元後70年から100年くらいの頃に完成したといわれています。
その中で、マタイ、マルコ、ルカによるものは、
内容や表現が共通しているため
この三つは「共観福音書」とよばれています。

キリスト教は「大乗仏教」と通じる?

 ヨハネによる福音書は、これらに比べるとより
「神学的」な独自の視点で書かれており、
内容表現に、独特なものが見受けられます。

これらの人々のうち、
マタイとヨハネは、キリストの十二使徒の二人であり、
マルコはペトロの通訳を務めた人だといわれています。

このように考えてみますと、
ユダヤ教を母体としたキリスト教という宗教は、

「旧約聖書」の世界を母体に展開したうえでの
「新約聖書」の内容に対する解釈がその信仰の
「教学」であるとも考えられます。

仏教でいえば、上座部仏教と大乗仏教の違いが、
ユダヤ教とキリスト教の違いに
どことなく共通して観じられるのは、
あくまでもあたし自身の「私見」ですが、
その観点で考えると、「キリスト教」の信仰の変遷が、
時系列的に理解できるような気がいたします。


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