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世界遺産登録記念・この際大人として知っておきたい「縄文時代」の文化価値について、ざっくりと教養を深める特別講座 その2

「縄文文化時代」にも時代区分がある

さて、最近の発掘調査の結果によると、
いわゆる「縄文時代」の始まりは、
今から1万6千年くらい前であるという結果が報告されています。

ところで、どうしてこういった出土品から「年代がわかる」のだろうか、
不思議に思う人も多いと思います。

その年代の測定のしかたには、考古学においては二つの方法があります。
一つには「相対年代」と呼ばれるもので、
一般的には「編年」と呼ばれる方法です。
大学で考古学を専攻した学生が、
卒業論文によくテーマとして挙げる内容でもあります。

「編年」・・って?

 具体的にはどういうことかというと、
たとえばあたしたちの身の回りにも、
服装とか、使っている道具のデザインとか、自動車の形みたいに、
それぞれの時代の「流行」というものがありますよね。

縄文時代にも当然のことながら「道具の流行」があったわけで、
それを端的に現しているのが「土器のデザイン」なのです。
むろん、石器などにも、生産方式の変化とか、様々な要因で
その「流行」の違いが生まれます。
 これらの出土した土器や石器などの特徴や作り方で、細かく分類して、
新旧を比較しながら年代を表す方法です。

 日本において、土器の作り方やデザインなどから、
学者によって諸説ありますが、
一般的には「草創期」「早期」「前期」「中期」「後期」「晩期」
六つの時代に区分しています。
この分け方は、土器や石器をはじめとした「出土品」や
遺跡のタイプによるグループ分けをメインに「編年」した時代区分です。

 今から何年前?はどうやって測定するのか

 この編年とあわせて、「今から何年くらい前」というように
数値で現すのが「絶対年代」と呼ばれるものです。
歴史で「年号」を暗記しましたが、
あれは「西暦」という基準を元にした、
「紀元(メシア生誕)から何年」という「絶対年代」という概念です。

 縄文文化の時代のような、「前史」の時代には、
そういった基準はありませんし、
ましてや文書や金石文ななどもありませんから、
「今から何年前」というように、
「現在」を基準とした絶対数値で具体化する事になります。

これを可能にする方法が、
放射性炭素年代測定法=C14カーボンフォーティーン
と呼ばれる科学的な方法です。

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炭素(カーボン)14ってなんだや

具体的にはどんな方法かと言いますと。
ざっくり言えば自然界の中には
必ず「炭素」という元素が存在するのですが、
この元素も一つの種類ではなく
重さが異なるC12、C13、C14という
三つの炭素が混ざって存在しています。
このうち空気や生物にはC14という放射性の炭素の元素が、
炭素元素1兆個に1つという割合で含まれているのです。

 実は生物が死んだあと、呼吸が止まると、
体内に残留した炭素が、5730年で半減する。

という一定の割合で減少する性質を持ちます。
これを応用して、生物の遺体や炭化物に残っているC14の濃度を調べ、
その生物が死んでから何年経ったったのかを計測する事ができます。
最近の技術では「AMS法」など、より精密に測定が可能になり、
なんと土器についた「お焦げ」からも
その土器が実際に使われた年代が測定できるようになっています。

 これらの様々な調査から、
「縄文土器に象徴される」文化の時代は、
およそ1万年以上は継続していたと考えられるのです。

では、次回からは「縄文文化の基幹的な思想」を
いくつかの発掘調査結果から考えていく事にしましょう。

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