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少女漂泊~Monologue by HARUKA μ

ニーチェさんとの会話・・ 「神は死んだ」


「神の裁きにあったあとの来世ってさ・・・。なんかな?」

いつものようにニーチェさんのつぶやきが始まった。
確実にあたしに振ってきてるんだよ。

「よくわからないけど、あたしたちって、
創造主の道具として予定されててさ、
それがうまく神の意に沿って全うできたかどうか、
っていう勤務評定みたいなものかな?」

ニーチェさんは、ケラケラ笑った
ホントにこの子の笑顔は可愛い。
だけど、絶対次にきついことをいうと思う。

「じゃあ、カルバンの予定説に依れば、
現世は神の意志における隷属活動という位置づけになるね。
神のしもべというわけや」

あたしも応酬する
「神の意に適うことが試され、天国の門で評価されるって事になるよね。」

ニーチェさんは、いつもの哲学モードに入り込む。

「はるかちゃん、キリスト者は、
アガペーに徹して罪を懺悔したり、
エヴァンゲリオンを希望したり、
神のしもべたらんと労働にいそしむ。
これを是として生きている。」

「うん・・。」
「で、その生前の勤務評定が、死後くだるっちゅう事やな。」

ちょっと乱暴だけど、間違ってはいないか・・。

「だから、神は人々に予定を与え、
おのおのがそれを全うすることで神の国に近づく。」

おじいちゃんの受け売り・・。

「近づくって事は、煉獄を認めてる?」

煉獄というのは、「天国にも地獄にも行きようがない」ことだ。
どっちつかずなので、
カトリックでは「魂の浄化」を行う場所といっている。

「自分の罪、わざわざほじくり出して、どないすんの?」

挑戦的な問いかけをするんで、
あたしも負けないよって言うことで

「あたしだったら黙秘権使うかな。」

ニーチェさんはまた「反則の笑み」
「あはは、はるかちゃん、ほな、誰に向かって黙秘するんか?」

あたしは、ちょっと困ったが、優等生な答え

「うん、神。」
「つまり、神に相対するわけやね。」

ニーチェさんは、また、ニッと、「反則の笑み」を浮かべる。

あたしはこれに弱い・・・
もしかしたらあたしはバイセクシャルなんじゃないのかと
思うこともあるのだ。

なんだか、「きゅん」とするのが不思議だ。

・・まてまてあたし、何を考えてる。

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「それってさ・・。」
彼女はつぶやいた。

「うん?」
「煉獄っていうのは、いわば西方浄土であるとも、とれるわなぁ・・。」

意外なことをいう・・。

「極楽浄土って、どない思う?」
「いわゆる神の国Heavenではないの?」
「ちゃうがな、そもそも西方浄土は、阿弥陀如来の仏国土や。」

ニーチェさんの「どや顔」が始まった。

「煉獄ちゅうのが、浄土と同じようにかんじるわな。
まぁ、共通していえることは、そこがゴールやないって事や。」
「・・あたし、またなんか壊されてるような気がするよ・・。」

「はるかちゃん、死んでからも修行せにゃいかんのに、
死後の世界を希求するなんて、アホなことやと思わない?」

ニーチェさんは、今のこの一瞬の
「自分が生きる意味」を模索しているみたいだ。
あたしも同じ・・・。

形はわからないけれど。

でも、言えることは、
「相対する神はいない・・。その対象の神は死んだ。」

少なくとも、「誰かのお利口さん 」にだけはならないと。
それだけは思った。


TO BE CONTINUE


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