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車で1時間かけて珈琲を飲みに行く

信じられないと思うだろうか。
普通だと思うだろうか。
最近よく行く喫茶店は、車で1時間ちょっとかかる。遠出した帰り道に初めて寄り、それからはそのためだけに行くようになった。

たぶん都会に暮らしていると、車を長時間運転してまでと思うだろう。私がそうだった。鹿児島に来てしばらくは、15分ぐらいで行けるような場所がないか探しまわった。が、都会ほど選択肢があるわけでもなく、どこもピンとこなかった。
そしてやっと見つけたのが、車で1時間ちょっとの店。
そこは珈琲が美味しいのはもちろん、ケーキも美味しく、なにより空間が好きだ。明るさ、音楽、距離感。
そこで過ごす時間が好きで、本を読んだり、考えごとをしたり、ゆったりした時間を過ごすことができる。田舎でそういう店に1時間で行けることは、珍しいことかもしれない。

思えば、東京で暮らしていた頃もわざわざ電車を乗り継いで、好きなカフェに行っていた。最寄り駅にもカフェはあるし、そこまでの道中にたくさんカフェはある。でも、ときどきどうしてもその店で過ごしたくて、電車に揺られて店へ行く。

それって、すごいこと。時間をかけてまで行きたくなるような店を作り上げているのだから。

では、自分の店はどうだろうか。

遠くから来てくださる方も少なからずいる。
1時間やそれ以上も。
すごくありがたいことだが、今はパンを買って終わり。滞在時間は数分。
品薄だったり売り切れていることもあるので、その数分のために片道1時間かける人は、かなり少ないはず。だからついでにどこかの店に行ったり、他の用事がある方のが多いと思われる。
よく行くカフェのように、その店が目的になるほどの店にはなれてない。たぶん。

カフェでは往復2時間かけて、その半分ぐらいの時間を過ごす。
でも、自分にとってはそれ以上の価値がある。往復の2時間と、帰ってからの時間と、また行きたいと思う時間と。滞在時間は少なくても、それ以上の時間と価値を与えてくれる。

うちもそういう店にしたい。
パンを買うためだけに行くのではない。
行くと思うだけで少し嬉しくなるような、行ったというだけで少し嬉しくなるような。
パンがあるにせよないにせよ、そう思ってもらえるような店。
そういう店づくり、空間づくりに、今年は重きを置いていこうと思う。

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