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ガラスケースの”民主主義”


数ヶ月前の
オリンピックが開催される
というニュース。


山の中で
意図的に
情報に触れない暮らしをしてたから


多くの人よりも
かなり遅く知ったけど


その時から改めて考えるようになった
この国の民主主義のこと。



<民主主義の本>


改めて、読み返した本がある。
民主主義について書かれた本は
たくさんあるけれど
個人的にはこれが気に入っている。


この本のすごいところは
書かれたのが昭和23年。
文科省教科書として書かれた本だということ。


1945年、日本は敗戦を認め、終戦。
そこから3年後に発刊された本。


この本からは
当時、本気で民主主義国家を目指そうとしていた
情熱を感じる。


読みやすい本ではないけれど
読む価値はある。



焼け野原になり
何もかも失った日本が
進もうとした道は
決して間違ってなかったと思わせてくれる。


あれから70年以上が過ぎた今。


このコロナ禍で行われたオリンピックは
この国が、
どのくらい民主主義を構築できたのかを
はかる指標になったと思う。



<民主主義のはじまり>

民主主義は
Democracyが訳された言葉。


ギリシャ語が語源になっていて

”人民”を意味するDemosと
”支配”を意味するKratosからつくられた


つまり、Democracyとは
人民による支配ということ。


”全ての道はローマに通ず”
という言葉があるように

世界で初めて民主主義を取り入れたのは
古代ローマの時代。


世界最先端の高度なインフラ技術が
開発される過程で
民衆による話し合いが行われ
そこから民主的な仕組みが生まれた。



しかし、当時はまだ
奴隷制度があり
全ての人が
人として対等に扱われていたわけではない



そのため、正統な民主主義が取り入れられたのは
そのずっと後の
イギリス、アメリカ、続いてフランスと言われている。



<ismではない>

民主主義と比較に出されるものに
社会主義と共産主義がある。


英語にすると
SocialismとCommunism

どちらもismになるが
Democracyは違う。


ismとは、「主義」を意味し
人や集団が主張や行動の指針に示す原則や思想のことを指す。


つまり、Democracyを「民主主義」と訳すのは
誤訳とされている。

Democracyとは、
「民主政治」や「民主制」と訳されることが正しい。



ただ、私が上で紹介した本は
Democracyの民主政治ではなく
民主主義を語っている。



そして、私が考えたいのも
DemocracyではなくDemocratism
民主主義のこと。


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<民主主義とは何か?>

民主主義とは
政治の仕組みや多数決などの手法を
意味することではない。



全ての人の尊厳が公平で
誰もが幸せに生きる権利を行使できる社会をつくる一人一人の根本姿勢のこと。


そのための
同じ民主主義といえども
それを達成するための方法は国によって違いがある。



そして、民主主義とは
一度作って完成するものではなく、

作っては、見直し、やり直し、またつくる。
その繰り返し。


民主主義をつくるには
たくさんの時間と労力とコストがかかる。

かなりめんどくさいものだ。

それが民主主義のデメリットでもある。



<ガラスケースの民主主義>

私は、
日本の民主主義は
ガラスケースの中に入ってるように感じる。


触れることはできないけど
見ることはできて
何かキラキラした
美しそうなもの
ただ眺めているだけ。

その存在は知っていて
魅了されるものの、


ガラスケースを
どう開けていいのかわからない
どう触れていいのかわからない
どう扱っていいのかわからない

そのもどかしさが
時々、たまらなく気持ち悪い。



ガラスケースをこじ開けようと頑張る人もいれば
我関せずと背を向ける人もいる。


日本の投票率から考えれば
多いのは、おそらく後者。


右向け右の全体主義から逃れ
みんながバラバラの方を向くことで始まった
個人主義。


多様性は広がっているけれど
ガラスケースをこじ開けない限り
その多様性への尊厳はないまま
社会は動いていく。


対処療法は
あらゆるもののつながりを断ち切ることで
個人の安堵を確保する日々。


有限である地球環境を
資本主義が破壊し尽くしているという
最大の課題を抱える今。


多少の破壊で耐えられるのは
富裕層のみで
一般人の暮らしは
あと何年、守られるかわからないという。



CO 2の排出量が世界第5位の日本が
民主主義をガラスケースに入れておいたままで
いいのだろうか。


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<オランダでの経験>

オランダにいたときに

これが「民主主義社会」かと
感じることがあった。


選挙は、当たり前のように
高い投票率で


自分の考えを即答できる
大人や子どもがいて


多くの人が
社会は変えられるという希望を持っている。



自分の意見には価値があることを
知っていて、

自分の意見で社会を変えられるという前提で
物事を考える。


政治の仕組みは同じでも
そこにいる人々のマインドが
まるで違う。


そこから繰り出される生き方も
まるで違う。



滞在中、何度も聞いた言葉。

「what do you want?」
あなたはどうしたい?


相手の気持ちを尊重しようとする
最もわかりやすい言葉。


そして、
誰もがその答えを持っていた。


自分がどうしたいか知っていて
他者がどうしたいかに耳を傾ける。


でもそれは、別に楽なことではない。


自己選択と自己責任を
常に抱えながら
「自分を生きる」ことが
求められるから。


それでも、心地よいと感じたのは

人の声が聞こえることで

何が求められ
何が足りなくて
何をすればいいのかが

わかりやすいから。


言葉と態度が
一致していて

人やモノ、コトが
明るくて
見えやすいから。


見えることが多い分
見たくないことも増えるけど


何もかもが見えにくい
ぼやっとした道を歩くことの方が
私には、気持ち悪い。



<ガラスケースから出すこと>

日本の民主主義は
まだまだ未熟だと思う。



民主主義という
得体の知れない
よくわからない美しそうなものを


ガラスケースから出して
回してみたり、転がしたり
投げてみたりしてみたい。


そこから
足りないと思うものを加えて
形を変えて、色をつけて

いろんな人の手垢をつけながら
つくっていく。


ああでもない
こうでもない
そんな話がもっとオープンにできたら
良いなと思う。


そのためにも、民主主義を
作業テーブルに乗せる必要がある。



<私の作業テーブル>

私にできることは
私のもっている作業テーブルに
のせること。


だから、次の”教室のえんがわ”のテーマは
「民主主義」にした。


日にちは、あえて
終戦記念日の8月15日。


民主主義の知識はなくても大丈夫。
持ち物は
自分の言葉だけ。


2021/8/15
10:00-11:30
zoom
参加費:無料
申し込みフォーム↓


世界の課題は山積みだけど
今の自分にできること
コツコツやっていこうと思う。












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