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金利が上がるとどうなるの?どうなると上がるの?

イールドカーブコントロールとは?

昨日の報道であったように、国債10年物の利回りが一時0.575%に上昇しました。
この金利上昇の要因は、日銀の「とある」発表があったのに合わせて、日銀と投機筋とのせめぎ合いが起こったことだそうです。
その「とある」発表とは、長期金利の上限を、これまでの0.5%から事実上1.0%まで認めるというものです。

国債が発行されると、当然ながらその借金を返すことになります。
その借金が返し終わるまでの期間は、2年、5年、10年など様々あります。

通常は、長短金利を描くグラフは、返済期間に応じて左から右へと、短期から長期へとそれぞれの国債の表面利率、つまり利回りが弧を描くような綺麗なカーブが描かれます。
返済期間が長く(右方向)なればなるほど利率は高くなるのが普通です。

私たちに置き換えてみると、例えばお金を人に貸したとしましょう。
返済してもらう際、もし金利をつけて返済を求めるのであれば、2年で返すよりも10年で返す方が、金利を多くつけたいですよね。

この金利を示すカーブのことをイールドカーブといいます。
例えば、10年物の金利を市場に任せてしまうと、例えば長期より短期の金利の方が高くなってしまうと、世の中の金利も不安定になってしまうので、今は日銀がこれをゼロにキープする(コントロール)ことが求められています。
イールドカーブをコントロールするので、イールドカーブコントロール、略してYCCと言います。

日銀、利上げ幅の許容範囲広げる

このイールドカーブの誤差をそれまでは±0.25%(-0.25〜+0.25%)としていたものを、昨年12月、黒田前総裁の時に±0.25%から±0.5%に広げました。
そして今回、日銀では運用の柔軟化という言葉を使って、今まで守らなければならなかった0.5%の許容範囲を、±1.0%にしたわけです。

この措置は、今の状況と将来起こりうる状況を両方勘案した結果によるものだと言われています。
つまり、今現在の金利の許容範囲は0.5%で良いのですが、今後物価が上がり、来年以降物価目標2.0%が達成できるとなってきた場合、この過程で長期金利が上がります。
その金利を強引に押さえつけてしまうと、昨年12月に起こった市場機能の悪化、つまりイールドカーブが歪(いびつ)になる現象が再び起こってしまう可能性が出てきます。

いびつになるというのは、通常であれば10年物の金利は、短いものよりも高くなるはずのものが、逆に低くなってしまうことを言います。

現時点の金利は、1.0%にしようというものではなく、あくまでも将来に備えて、万が一、1.0%になってもいいように予め設定を高くしておこうという処置なのです。

また今回日銀は、金利は市場に任せるとはいうものの、金利が急に上がるなど市場が間違った動きをとった時は、介入もあり得るということを示唆しています。

金利上昇で受ける日常生活への影響

金利は私たちの日常生活と無関係ではありません。
例えば、物価上昇とも関係してきます。
目先の物価では、6月の消費者物価指数が生鮮食品およびエネルギーを除く総合(コアコアCPI)が4.2%、生鮮食品除く総合(コアCPI)が3.3%の上昇と、米国を上回る物価上昇の伸びを示しています。

ただ、日銀が注視しているのは、足元の物価ではなく、将来の物価です。
事実、展望レポートでは、今年度は2.5%と物価目標の2.0%を上回るものの、2024年度は1.9%、2025年度は1.6%と、今年度よりも伸びは鈍化すると見ています。

「持続的、安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離がある」
という発言を植田総裁はしていることからも、まだ物価上昇の波は低いのです。

しかしながら確かに2%の物価上昇は続かないのですが、この展望レポートの中で、下振れリスクが大きいという文言は無くなりました。
以前よりはインフレ目標達成への自信ものぞかせてきており、長期金利も自然に高まるのではないかという予想から、今回許容範囲を広げたと専門家は分析しています。

また、もう一点私たちに関係してくるのは、住宅ローンです。
ここ最近、住宅ローンの金利が上がるのでは?という懸念があるようです。
住宅ローンを利用している多くの人が、金利が低い変動金利を選択しています。
これを固定金利に見直すかどうかの問い合わせが多くなっているようなのです。
しかし、日銀では、影響はない、つまり、すぐに住宅金利が大幅に上昇するような動きにはならないという予測を立てています。

金利の動きは日常生活とも連動してきますので、ニュースに耳を傾けて見ておきましょう。

参考
日経ニュース プラス9
日本経済新聞 7/29「長期金利上限、事実上1%」
#経済 #日本経済#日銀#金利

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