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序章 金融教育待ったなし!


序章 

1.親の年収を知らなかった少年時代

今から40年以上前、時代でいうと昭和40〜50年代の頃、私はまだ小学生でした。
私は3人兄弟の長男で、両親は子供服専門のブティックを2店舗営む自営業者でした。
当時は、子供の数も多く、両親のお店もそれなりに繁盛していたように思えます。
ただ、両親の年収はどのくらいあったのかというと、よく分かりませんし、聞いたこともありませんでした。

覚えていることは、父は常に大きなバッグにお金を入れて持ち歩いており、それを仕事のために使っていたことでした。
というのも、私はよく父の仕入れに連れて行ってくれたのですが、服を仕入れた際、そのバッグから札束を出して、服代を仕入れ元に支払っていたことを何となく覚えていたからでした。
「一体、このバッグにはお金がいくら入っているのだろう。きっと札束がたくさん入っているに違いない」
小学生の僕は、よくそのバッグの中身を想像していました。
でも、そのバッグの中身を見たことは一度もありませんでした。
父は、そのバッグを決して手放すことがなかったからです。
手から離す時は、家にいても、店に出ていても、金庫のようなものにそのバッグを入れて保管していました。
今にして思うと、やはり気になります。
両親の年収は一体いくらだったのだろう。
実際、私達3人の子供達は、奨学金の助けも要らずに、大学や専門学校に進学させてもらっていたので、それなりの収入があったのではないかということは、想像ができます。

やがて、お店の近くに大型ショッピングモールができたことを機に、両親の子どもブティックがあった商店街も徐々に廃れ、私が大学を卒業して数年後の平成5年か6年頃、両親のお店も閉店を余儀なくされました。

2.英国に学ぶ金融教育

読者の皆様こんにちは。

まずは、数ある記事の中から、私の書いた記事を選んでいただきましたことに感謝します。
この記事にご関心があるということは、良きにつけ悪きにつけ、お金というものに関心がおありなのではないかと思います。
もしかすると、今のあなたにとってお金に何かしらの解決すべき課題がおありなのかもしれません。

さて、この記事は「親子が学ぶお金の寺子屋」というタイトルが示している通り、単にお金のことについて書いているだけではなく、子育てにも通じる内容となっています。
つまり、お金と子育てを融合した記事です。

ご存知とは思いますが、日本は金融教育が欧米に比べて圧倒的に不足しているということは、よく言われていることです。
それを象徴しているかのような数値が新聞記事にも掲載されていました。
『金融広報中央委員会の調査によると、「金融知識に自信がある人」の割合は米国が71%なのに対し、日本は12%に過ぎない』
どの年代に対してか、男女比や地域も分からないのですが、日本人は総合的に金融リテラシーが低いということだけは分かります。
例えば、英国では、9~10歳で、すでにクレジットカードや経費、控除、損失、リスク、リターンなどを学ぶそうです。日本だと中学・高校などで学ぶような内容です。(もしかしたら中学高校はおろか、大人でも学んでいないかもしれませんが)

しかも
『英国は、社会人になっても、政府機関がサイト上で「情報」「ガイダンス」「アドバイス」を無料で提供する体制を整える』(日本経済新聞より)
と、子どもに対しても社会人に対しても、学ぶ環境が政府も教育機関一体となってサポートしています。

とても良いなと思ったのは、英国としての目標は
『「ファイナンシャル・ウェルビーイング」と呼ぶ将来のお金に心配のない状態を創り出すことができるように、個人の金融リテラシーを高めること』
なんだそうです。

だから、でしょうか。
昨年、長短命のトラス新政権が出した政策に対しても、多くの英国民が「No!」と明確に判断することができたのはないでしょうか。
もちろん、結果としては金融市場での数値が出たからではありますが、その結果に対して判断するだけの金融知識が国民にあったということも言えるのだと私は思います。

3.周回遅れの日本金融教育

さて翻って日本の教育機関では、中学や高校でも金融教育がすでにスタートしていますが、
『「投資は危ない」といった紋切り型のイメージを持つ教員も少なくない』
のだとか。
これは、教育側の人手不足があると同時に、教える側に金融リテラシーが十分に備わっていないということもあるでしょう。
また金融機関でも、
『個人の資産形成に役にたつようなアドバイザーがいないことが投資の視野が広がらない一因だ』
ということもあるようです。
もしかすると専門家は、知識が豊富でも話が専門的過ぎたり、「売り」に走り過ぎたりするのかもしれません。

人それぞれが、そして各家庭で豊かで幸せな未来を送る為に、ファイナンシャル・リテラシーを身に着けていきたいものです。

ところで「ファイナンシャル・ウェルビーイング」という言葉をご存知でしょうか。
これは、ザクっと言ってしまうと「経済的幸福感」という意味になります。
英国の金融関連の目標も、この「ファイナンシャル・ウェルビーイング」を掲げています。
『将来のお金に心配のない状態を創り出すことができるように、個人の金融リテラシーを高めること』を国策としているのです。
英国は、『社会人になっても、政府機関がサイト上で「情報」「ガイダンス」「アドバイス」を無料で提供する体制を整える』
と、子どもに対しても社会人に対しても、お金を学ぶ環境を政府も教育機関も一体となってサポートしています。

日本でも、国民が普く(あまねく)ファイナンシャル・ウェルビーイングを享受するために、金融経済教育の場を提供することが急務です。
社会人は特に待ったなしで、まさに今金融の知識を持ち、生活を守るための経済的な自己管理能力と、「すぐここに来る将来」のための資産形成術をスキルとして持つ必要があります。

学校教育でも、すでに中学と高校では金融経済教育が必須になっています。
が、教員側の専門的知識が不足していると言われているようです。

政府は「資産所得倍増計画」を掲げ、少額投資非課税制度(NISA)の拡充と恒久化などを計画しています。
また、企業側には物価上昇率以上の賃上げを求めています。
大手企業はこれに応じ、賃上げを実現しつつありますが、中小企業に広がるかが課題です。
ともかく外堀はじわりじわりと埋められつつあり、形としてはできつつあります。
が、本丸は家計、つまり私達一人ひとりです。

金融と経済、ここをしっかり勉強することで柱を太くし、ちょっとやそっとでは倒れない頑強な天守閣が出来上がります。
一国一城の主人として、私達は城を守る任務があります。

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