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多様性が大事です!!

 多様性(diversity)という言葉は、最近様々な場所で使われています。2021年の今年は、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されましたが、多くのスポーツ種目で異なる人種・民族・宗教のアスリートが競い合いました。また、パラリンピックでは、視覚・聴覚・身体などの機能障害を持つ選手たちが熱戦を繰り広げました。今回のオリンピック・パラリンピックのテーマの一つが多様性です。

 それでは、どうして多様性が重要なのでしょうか?。例えば”生物の多様性”について考えてみましょう。生物は進化の過程で様々な属・種・亜種に変化していきました。その中の一部は環境に適応して、大繁栄を遂げた場合もありました。しかし、一つの環境にだけ適応し過ぎると、環境が変わった場合には適応ができません。生物は過去に何度も劇的な環境変化に遭遇し、何度も大量絶滅してきましたが、現在我々が生きているということは、これらの環境変化を何とか凌いだご先祖がいたお陰です。また、環境適応だけが全てではありません。残念ながら、絶滅するかしないかには、運の要素が大きく関係しています。

 ロッキートビバッタはアメリカ合衆国西部の全域およびカナダ西部の一部にかつて生息していた、20世紀初頭に絶滅したワタリバッタ の一種です。このバッタは、想像を絶する大群をなして移動することで知られ、特に1875年の大発生時は、広さにして51万平方km (日本の国土全体の1.3倍以上) にわたる群れを成していました。この群れは、個体数にして12兆5千億匹と推定されていて、史上最大の動物の群集としてギネス世界記録に登録されています。

 しかし、このバッタは、大発生から30年も経たずに完全に絶滅してしまいました。絶滅の原因は諸説があるものの、いまだに断定されていない「北アメリカ大陸における生態学の謎」と評されています。NHKで放映されていた『大草原の小さな家』で知られる作家ローラ・インガルス・ワイルダーの実家も、1874年夏から1875年夏にかけてロッキートビバッタによる壊滅的な被害を受けています。

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 もう一つの絶滅の例は、リョコウバトです。リョコウバトは、北アメリカ大陸東岸に棲息していたハト科の渡り鳥です。その名の通り渡りを行う鳩で、夏の営巣地はニューヨークから五大湖周辺にかけて、越冬地はメキシコ湾岸が主だったそうです。巨大な群れをつくるのが特徴で、ウィスコンシン州の営巣地で約2200平方kmに1億3600万羽が確認された例もあります。また、1810年のケンタッキー州の営巣地の群れでは、22億3000万羽以上と推計がされた記録もあります。

 リョコウバトは、18世紀には北アメリカ全土で約50億羽が棲息したと推定されています。このような鳥類史上最も数が多いリョコウバトでしたが、人間による乱獲によって20世紀初頭に絶滅しました。一つの環境に適応しすぎると、その環境バランスが崩れた時には、一気に絶滅への道を進んで行く可能性があります。そのリスクを小さくするためにも多様性は必要なのです。

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 しかし、環境バランスを崩している大きな要因は、紛れもなく人類です。

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