アジアの大学ランキング
人間は、何にでも順位を付けたがる動物のようです。昔は音楽業界でも、テレビやラジオでのランキング番組は当り前でした。しかし最近は、ランキング番組はあまり知りません。御多分に漏れず、大学にもランキングがつけられています。別にこちらからお願いした訳ではないようですが・・・。
イギリスの教育誌、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(略称THE)が、6月22日に、今年の『アジアの大学ランキング』を発表しました。トップ3は4年連続変化がなく、1位は清華大(中国)、2位は北京大(中国)、3位はシンガポール国立大と続いています。
「東大が1位じゃないの?」と思った人も多いかと思いますが、アジアの大学の中でも東大は1位ではありません。東大は8位で、京大は18位です。もちろん、評価基準を恣意的に変えればランキングは、どのようにも変えることができます。例えば、「日本語で教育を行なっているか?」という評価項目があれば、日本の大学は軒並み順位を上げることができます。しかし、”多くの人が認める客観的な評価基準”を使えば、このような結果になります。
東大は1桁台のランキングの崖っぷちにいます。全体的に日本の大学のランキングは凋落傾向にあります。参考までに、私が努めている九大のランキングと共に、ここ3年間のランキングの推移をみると次のようになっています。
2021年 2022年 2023年
東京大学 6位 6位 8位
京都大学 10位 12位 18位
九州大学 74位 101位 108位
このランキングの推移を見ると、東京大学はむしろ検討しているのではないかと思います。日本の大学のランキングが下がっているのは、大学の教育・研究レベルが下がったのではなく、日本以外の大学のレベルが相対的に上昇していると考えた方が良さそうです。というか、日本の大学に勤める教員としては”そう思いたい”という気持ちがあります。
ただし、大学の教員はランキングを高めるために教育・研究をしているのではありません。結果としてこうなっただけです。このようなランキングでは、目に見える比較しやすい評価基準、例えば論文数やその引用数、獲得した外部研究費の額などが評価に使われますが、目に見えない(数値にし難い)評価基準もあるはずです。この評価基準が、大学の良し悪しを決めるわけではありません。
大学ランキングとは全く関係ありませんが、タイトル画は『王様ランキング』というマンガのひとコマです。王様にもランキングがあるみたいで、大変ですね。
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