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そこに○○があるからだ。

そこに山があるからだ」と言ったのは、イギリスの伝説的登山家であるジョージ・マロリーです。彼は確かにそのようなことを言ったみたいですが、実はその意味が誤解されています。

なぜ山にのぼるのか。そこに山があるからだ』とは、イギリスの登山家ジョージ・マロリーが口にしたという、余りにも有名な言葉です。この言葉は、含蓄のある非常に哲学的な意味で捉えられて、こんな具合に解釈されています。「山は、人生に似ている。目先の小さな目的に捉われず、その山の頂上を目指し、ただ一生懸命のぼればいい。それが、充実した人生を過ごす秘訣なのだ」。しかし、これは後世の人達がマロリーをリスペクトし過ぎて、”勝手な思い込みで”このような解釈を生んだようです。

しかし、当のマロリーにはそんな気持ちは無かったようです。この言葉は、1923年3月18日付のニューヨーク・タイムズの記事の中で語られています。「なぜあなたはエベレストに登りたいのですか?」との質問に、マロリーは「そこに(その山、つまりエベレストが)あるからさ」と答えています。原文では"Because it's there."と答えているんです。マロリーが言う”山”とは、観念的な意味ではなく、具体的に実在する山(エベレスト)のことだったのです。本当のことはマロリーにしか分かりませんが、彼には哲学的な意図は無かったようなのです。

もし私が「なぜ研究をするのですか?」と聞かれれば、カッコつけて「そこに未解明な謎(疑問)があるからだ」と答えるかもしれません。確かに”謎の解明”には興味がありますが、やっぱり「そこに、その研究があるからだ」というのがシックリ来るかもしれません。ある研究の結果が出て疑問が解明されると、また新しい疑問が出てきます。研究はエンドレスで、終わることはありません。

地球上にはエベレスト以上に高い山はありませんが、もしそんな山があったなら、マロリーは次にはその山を目指していたでしょう。

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