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”底辺職業”の1位に驚いた

最近、”底辺職業”の話題で盛り上がっているようですが、”下っ端教員”の私にとっては、”底辺”という言葉は見過ごせません^^。

ある就活雑誌で、”底辺職業”が取り上げられたそうです。その中での”底辺職業”として、12の職業がピップアップされていたそうです。①土木・建設作業員、②警備スタッフ、③工場作業員、④倉庫作業員、⑤コンビニ店員、⑥清掃スタッフ、⑦トラック運転手、⑧ゴミ収集スタッフ、⑨飲食店スタッフ、⑩介護士、⑪保育士、⑫コールセンタースタッフ。

この数字はランキングではないのかもしれませんが、①に挙げられた職業に驚きました。ホームレスを除けば、家に住んでいない人はいません。その家は、100%、土木・建設作業員の仕事によって作られています。『職業に貴賎なし』という諺があるように、職業自体に上下関係はありません。例えが悪いかもしれませんが、医師のほうが土木・建設作業員よりエライということは無いのです。

過去にこんな悩みを読んだことがあります。「職場でヘルメットをかぶって現場監督をしていると、工事現場を横切る子供連れの母親が小さな声で、”勉強しないとあんな仕事にしかつけないのよ”と言いました。でも、俺は大学院まで出てるんだけどなぁ・・・」。東大を出て土木・建築関係の職業に就く人もいますし、私が勤めている大学の工学部には土木工学科という立派な学科があります。

いまだにこんな認識の人たちが多いことに、逆に驚きました。”底辺職業”の特徴として、”肉体労働”、”誰にでもできる仕事”、”同じことの繰り返しであることが多い”などが挙げられています。また、そのデメリットとして”年収が低い”、”結婚のときに苦労する”、”体力を消耗する”などが挙げられています。さらにご丁寧に、『底辺職に就かない方法/抜け出す方法4つ』を教えてくれているそうです。

別に「一言物申す」つもりはありませんが、この認識には「トホホ・・・」という感想しかありません。”肉体労働”や”誰にでもできる仕事”は、マックジョブなどと揶揄やゆされることもありますが、世の中はこのような多くの仕事によって支えられています。リスペクトされることはあっても、見下されてよい仕事ではありません。自分の仕事に誇りを持つことは良いことだと思いますが、他人の職業をおとしめてまで、自己肯定感を保つのは問題だと思います。

ひょっとすると大学教員は、”頂点職業(?)”と思われているかもしれませんが、そんなことはありません。大学の重要な仕事である教育・研究は、ある意味で”肉体労働”です。特に、物理探査を研究している私は、野外でのフィールド調査も多く、このよう研究は”肉体労働”そのものです。過去には、重い荷物を担いで山に登ったことも何度もありました。この時の大変さが強く記憶に刻まれたので、このペインを克服するため、いまは”小型で軽量な探査装置の開発”を目指しています。

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