見出し画像

焼酎の飲み方 九州と関東の違い

本格的な夏が来れば、お酒はビールが飲みたくなりますが、今日の様に肌寒い日になると、焼酎のお湯割りが恋しくなります。自宅で飲むときはもっぱら、ビール・ワイン・泡盛を飲みますが、外のお店で飲み時は焼酎も結構飲みます。

最近でこそ、焼酎は一般的なお酒として認知されていますが、私が大学生だった40年前は、まだまだ一般的なお酒ではありませんでした。コンパなどで飲む酒は、最初がビールで、その後は日本酒というのが一般的でした。その頃は、焼酎はまだまだ認知度が低く、多くの人に”安酒”としか認知されていました。しかし、それから数年して東京あたりで「酎ハイ」が出現すると、第一次焼酎ブームが起こりました。それから、焼酎の認知度は一気に高まり、現在に至っています。

焼酎は日本酒に比べてアルコールの度数が高いので、基本的には何かで割って飲みます。先程の酎ハイは、焼酎を炭酸で割った”オシャレな”飲み物です。九州では、夏はロックまたは水割り、冬はお湯割りが定番の飲み方です。ただし、この水割りやお湯割りの飲み方が、九州と関東では全く違います。

関東では、焼酎のお湯割りをお店で注文すると、必ず「梅干しは入れますか?」と聞かれます。おそらくこの記事を読んでいる関東在住の方は、それがどうしたの?と思っているはずです。しかし九州では、”梅干しを入れた焼酎”は飲みません。もちろん、梅干しが大好きで”必ず入れる”人は、九州にも居るでしょうが、それは極々少数派です。まず、梅干しを入れるかどうかを店で聞かれることにカルチャーショックを受けるはずです。

私も東京の居酒屋で、初めて”梅干しの有無”を聞かれた時にはビックリしました。ひょっとしたら、その店の”特別なサービス”なのかとも思いましたが、そのほかの店でも同じでした。再度言いますが、九州の居酒屋では”梅干し”のことを聞かれることはありません。それから、東京の別の店では”レモンの輪切り”を入れるかどうか聞かれたこともありましたが、これも九州では邪道と考えられています。

しかし、お酒の飲み方は本人が好きなように飲めばいいので、何で割っても、何を入れても自由です。この記事で書いたのは、あくまでも九州での一般的な焼酎の飲み方を書いただけです。これを強制するつもりは、サラサラありません。

それから、九州の人はお湯割りの作法にも厳しい人たちがいます。とくに年配のオジサンたちですが・・・。オジサンたちのお湯割りの作法は、次の通りです。まず、厚手のコップまたは湯呑に適温のお湯を注ぎます。ここで間違うと大目玉を食らいます。間違っても焼酎から入れてはいけません。お湯の次に、ゆっくりと焼酎を注ぎます。これが”正しいお湯割りの作り方”とされています。これは都市伝説のようなもので、このようにすれば美味しくなる科学的な根拠はありません。なかには実しやかに「対流が・・・」などと講釈を垂れる人がいますが、混ぜれば同じですから、”お湯が先か焼酎が先か”は科学的にはナンセンスな議論です。

ただし、お湯と焼酎の割合は、味に大きな影響を与えます。テレビCMの影響などもあって、焼酎のお湯割りの黄金比率は『焼酎6に対してお湯4』のいわゆる『ロクヨン』であると言われています。しかし、これも個人の嗜好の問題で、お酒好きの人なら”ナナサン”が良いでしょうし、私などは”ゴーゴー”が好みです。

地域性の違いによって、お酒の飲み方は変わります。地酒は、その土地で飲んでこそ最高の味になります。以前、アメリカに住んでいた時にナパバレーで飲んだワインが美味しかったので、帰国の際にお土産として買って帰りました。しかし、帰国後に飲んだワインはそれほど美味しく感じませんでした。乾燥したカリフォルニアで飲むワインと、湿潤な日本で飲むワインは、同じワインでも感じる味は異なるのです。

私はウィークデイはお酒を飲まないウィークエンドドリンカーです。いまから週末が楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?