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トンガの海底火山噴火で思うこと

 日本時間の2022年1月15日13時10分頃、トンガの首都ヌクアロファの北約65kmに位置する海底火山フンガトンガ・フンガハアパイで大規模な噴火が発生しました。まだ詳しいことは分かっていませんが、噴火に伴う地震・津波により、建物の浸水被害が発生しているようです。また、海底ケーブルが破損したのか、国際電話やインターネットの通信障害などが発生しています。

 噴火した海底火山の海域には、海面上に285haの陸地があったのですが、日本時間17日午前6時53分に撮影された写真では、陸地がほぼ全て消滅しています。この事実からも、噴火の威力の大きさがわかります。

 トンガからおよそ1,800km離れたバヌアツに住む日本人は、沿岸部の家屋に浸水被害があったほか、噴火の際のものと思われる衝撃音が聞こえたと話しています。テレビのニュースで伝えられた通り、トンガから遠く離れた日本でも、急激な潮位変化による船舶などの被害がでています。

 気象庁の会見を見ましたが、気象庁は”津波”とは認めていませんでした。記者会見では何度も津波と言いそうになり、その都度「潮位変化」と言い換えていました。たぶん気象庁の津波の定義は、”地震による潮位変化”なので、今回のような”海底火山の爆発による潮位変化”は、津波のカテゴリーには入っていないようです。今回の潮位変化は、それほど珍しい現象みたいです。

 今回はトンガでの海底火山噴火でしたが、日本でも過去に同じような大規模災害がありました。それが、鬼界カルデラの噴火です。鬼界カルデラは、薩摩半島から約50km南の大隅海峡にあるカルデラで、直径は約20kmです。このカルデラの外縁には、薩摩硫黄島や竹島が存在します。

 このカルデラは、先史時代以前に複数回の超巨大噴火を起こしています。約7300年前の大規模カルデラ噴火は、過去1万年の内では世界最大規模です。この時の火砕流は九州南部にも到達し、九州南部の縄文人を絶滅させたと推測されています。この地域の縄文文化には断絶があり、縄文人が再び生活できるようになるのに1000年ほどかかったと考えられています。

 今回のトンガの噴火は他人事ではありません。日本の周辺にも、大噴火の可能性がある海底火山が存在していることを認識しておくべきです。

 

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