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パワースポットは、ただの場所。

パワースポットは、パワー(力)とスポット(場所)を合成した和製英語です。諸説ありますが、この言葉を初めて使ったのは、スプーン曲げで有名になった超能力者(?)の清田益章さんだそうです。彼が自身の著者のなかで「大地のエネルギーを取り入れる場所」として、パワースポットを紹介しているそうです。小説家の荒俣宏さんは、「パワースポットは大地の力(気)がみなぎる場所と考えればよい」と述べています。

パワースポットという言葉自体は新しいものですが、昔から”大地の力”を得ようとする試みはあったようです。現在、パワースポットと呼ばれている場所の多くは、霊場とか聖地と呼ばれ、本来は信仰の場であって自然崇拝が行われていた場所です。”大地のエネルギー”や”大地の力”の正体はよくわかりませんが、その場所に行くことで精神的な安らぎが得られたり、肉体的な疲労が回復するのであれば、きっと良い場所なのでしょう。

科学者の端くれである私としては、”大地のエネルギー”の正体に疑問を持っていますが、娯楽の範囲で考えているのなら、真っ向から否定するつもりはありません。パワースポットに出かけて行って、気分がリフレッシュできるのであれば、それに越したことはありません。いわゆるプラセボ(偽薬)効果というやつです。

バブル経済の崩壊やリーマンショックなど、それまでの物質(モノやカネ)中心の時代から、心や精神を大切にする時代へ変わってきたのは、何となくわかります。世の中は目に見えるものだけではありませんから、目に見えない精神世界であるパワースポットに興味を持つのはわかります。いまやブームを通り越して、旅行に欠かせないジャンルのひとつにもなっているそうです。

しかし、あそこに行けば病気が治るとか、あそこに行けば恋が叶うなどと、パワースポットを妄信してはいけません。そんな都合の良い場所があれば、○○ランドよりも大人気の場所になっているはずです。

パワースポットのアイテムには、”人を癒やすとされる水”があったり、”人に語りかけるとされる岩”があったり、あるいは”磁力を発する断層”などがあります。美味しい清水なら心を癒すでしょうが、”話しかける岩”を経験したと感じた人は、心が疲れているのかもしれません。精神科のクリニックを受診することをお勧めします。最後の”磁力を発する断層”は有り得ます。ただし、磁力が身体にもたらす影響については疑問が残ります。

『パワースポットは、ただの場所』です。くれぐれも、娯楽の範囲内で楽しんで下さい。


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