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卒業論文の思い出

 大学では、文系の学部では卒業論文(卒論)が必須ではないところもありますが、理系の学部では卒論は必須です。卒論を書くためには、卒業研究が必要です。研究分野によってその研究内容は異なりますが、多くは実験やシミュレーションなどを実施して、新たな知見を求めます。実験と一口に言っても、その種類は様々で、生物・化学・物理などを基礎とした実験を実施します。

 私の卒業研究は、電気探査データの解析精度に関する研究だったので、当時まだ一般的ではなかった大型コンピュータを使って、データ解析の数値実験を実施しました。今の人は想像できないでしょうが、数値kうぃさんを実行するためには、1)プログラムの開発/改良、2)カードへの穿孔、3)カードの読み込み、を経てやっと計算が実行されます。

 カードの穿孔や読み込みは、今では消滅した作業ですが、当時は1行のプログラムを専用の穿孔機でカードに穿孔します。例えばプログラムが500行あると、500枚のカードが必要になります。このカードの持ち運びには専用のケース(アルミ製?)があって、これにカードの束を入れて持ち運んでいました。もちろん、計算するためには計算機センターまで人間が行く必要がありました。私は九大の電算機センターで計算をしていましたが、熊大に行った友達にセンターでバッタリ会ったこともありました。

 卒業研究が一段落したら、次は論文を書き始めます。いまなら、ワープロソフトを使ってきれいに書けますが、私の学生時代はまだ手書きの時代でした。ワープロ専用機やワープロソフトが普及し始めたのは、もう少し後になります。手書きなので、下書きして間違いないように書こうとしますが、結構間違います。軽微な修正なら、白い修正インクで塗った後で修正できますが、大きな修正になると書き直しになりました。

 卒論に使う図表も全て手書きです。図面は、ロットリングペンと言って、図面専用のペンでトレーシングペーパーに描きました。これが中々大変で、きれいに描くには職人技が必要でした。いまならエクセルやグラフ用ソフトでチョチョイと描けるのですが・・・。

 多くの理系の学生にとっては、今からが最も忙しい時期になります。最近はあまり見ませんが、昔は泊まり込んで実験したり、卒論を書いたりする学生が少なくありませんでした。箱崎キャンパスにいた頃は、寝袋やキャンプ用品を持って来て、キャンパス内で自炊している猛者もいました。

 感染性の病気の蔓延で、ここ2年は卒業研究にとっては、大変な時期でした。そんな大変な時期にもかかわらず、今この時間でも研究している学生さんたちがたくさんいると思います。頑張れ、4年生。

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