見出し画像

シリコンアイランド今昔

かつて九州はシリコンアイランドと呼ばれていました。およそ40年前の話です。シリコンアイランドは和製英語で、”シリコンで出来た”コンピュータの部品(集積回路)をつくる工場がたくさんある島(アイランド)」という意味です。九州は、かつて世界のコンピュータ部品の1割ほどを製造する地域でした。その当時は、「九州だけでも日本から独立できるんじゃないの?」と言われるくらい、半導体産業で儲かっていました。

ただし、その当時作っていた集積回路(IC)の大部分はパソコンのメモリでした。パソコンの普及に伴って、メモリはどんどん売れましたが、やがてその売れ行きも頭打ちになりました。また、メモリがコモディティ化したことで、値段がどんどん安くなっていきました。結局、日本の半導体産業は一気に衰退することになりました。

しかし、シリコンアイランド・九州が復活するかもしれません。といっても、日本独自の力ではなく台湾の半導体メーカであるTSMCに頼ることになりますが・・・。半導体は現代の生活には欠かせませんが、その使われ方が一昔前までとは違っています。大きく分けるとコンピュータの心臓部であるCPU、記憶のためのメモリIC、周辺機器を制御する制御IC、画像処理に使われるグラフィックICなど、様々な種類のICが使われています。

日本の半導体産業が衰退したのは、メモリICに注力し過ぎたためでした。メモリICの技術は日本によって上がりましたが、ある程度技術が上がってしまえば、そこまでの性能は必要なくなります。例えは悪いですが、特急品でなくても一級品で問題ないのです。日本は同じ失敗を、液晶パネルでも繰り返しています。日本は職人気質なのか、ひとつのモノへの拘りが強いようです。

ビートたけしさんのネタで「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と言うのがありましたが、日本の場合は『みんなで渡って大惨事』になっています。海外で生き残っている半導体の大手メーカーは、どこも独自色を出しています。エヌビディア(NVIDIA)はグラフックICに特化していますし、ソフトバンクが大株主のArmは組み込みICに特化しています。

九州、いや日本には頑張って欲しいと思いますが、”そこでしか作れない”独自色が出せなければ、結局いつかは衰退してしまいます。昔のことを反省して、オリジナリティを重視した半導体会社の台頭に期待しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?