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科学・非科学・未科学

 ある程度の科学的な知識が無いと、すぐに騙されてしまいます。例えば「絶対に儲かる投資」などは『確率』を知っていれば在り得ないことが理解できますし、「幸運を呼ぶ壺」も”霊的なものは今のところ証明されていない”ことを知っていれば買うことはありません。もちろん、デザインが気に入って”高価な壺”を自分の意思で買うことは構わないのですが・・・。原理や効果が明確なものは判断しやすいのですが、中には曖昧なものもあります。科学はまだまだ発展途上なので、全ての現象が解明されているわけではありません。そこが、科学と非科学の境界を曖昧にしています。

 昔から一定層の支持があるスピリチュアルな現象は、100%科学的ではないと思われるかもしれませんが、科学では説明できない例もありそうです。また、昔流行はやった超能力の中にも、解明できないものがあるかもしれません。誤解の無いように書きますが、スピリチュアルなものや超能力を肯定しているわけではありません。

 現代の科学技術も、非科学的なものから科学的なものへと変化していきました。その昔、『錬金術(alchemy)』というのが流行しました。狭義には化学的手段を用いて卑金属から貴金属を精錬しようとする試みのことで、簡単に言うと、”金でない物から金を作り出す技術”のことです。また広義では、金属に限らず様々な物質や人間の肉体や魂をも対象として、それらをより完全な存在に錬成する試みのことを指します。マンガやアニメで出てくる”錬金術”はこちらの方です。

 錬金術の起源は古く、古代エジプトや古代ギリシアの時代からあるそうです。12世紀にイスラム圏から伝わった錬金術が、その後ラテン語訳されてヨーロッパで盛んに研究されるようになりました。この錬金術の試行の過程で、硫酸・硝酸・塩酸など、現在の化学薬品の多くが発見されました。錬金術は500年を経て、17世紀に化学(chemistry)として結実しました。大科学者ニュートンも、一時期、錬金術に嵌まったと言われています。

 科学ではないものは非科学ですが、まだ未解明の現象は未科学に分類されることもあります。ところで、”地震予知”は科学でしょうか、非科学でしょうか?。その人の経験・能力・立場によって、考え方は色々あるでしょう。「地震予知は不可能だ」と言う人もいますし、「地震予知は可能だ」と考える人たちもいます。ギリシャにはVAN法と呼ばれる”地震予知法”があります。この方法も賛否両論あって、いまだにその有効性は決着していません。科学には再現性が重要だと前の記事で書きましたが、地震予知などの研究では、その再現性を確認することが難しいのです。

 地震の本格的な研究は、高々100年程度です。近年、地震のメカニズムの研究が進んで、かなり地震のことがわかってきました。しかし、まだまだ予知できる段階ではありません。前半に出てきた錬金術は、500年かけて化学へと変わって行きました。ひょっとすると、あと400年ほど時間をかければ地震予知はできるかもしれません。

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