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ぶったん箸休め

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物理探査のことを略して、物探(ぶったん)と呼びます。ここでは、物探とチョッとだけ関係ある話題を集めました。智の箸休めです。楽しんで下さい。
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2021年12月の記事一覧

箱崎キャンパス内の元寇防塁跡

 鎌倉時代の中頃、1274年(文永11年)と1281年(弘安4年)の2回にわたり、蒙古/元が北部九州を攻めてきました。これが後に言う文永の役と弘安の役で、蒙古襲来ともいいます。当時は蒙古合戦、異国合戦と称され、『元寇』という語は近世以後に定着したと考えられています。  当時の鎌倉幕府(主に九州の御家人)は、文永の役を教訓として、博多の海岸線に蒙古襲来に備えた石組みの防御壁を急遽こしらえました。これが元寇防塁です。元寇防塁は福岡市西区の今津から東区の地蔵松原まで10ヶ所で発見

『篠栗九大の森』と物理探査

 篠栗九大の森は、九州大学の敷地(九州大学福岡演習林)の西端にあり、篠栗町と九州大学が共同で整備・管理を行なっています。約17 haの森には、約50種の常緑広葉樹と約40種の落葉広葉樹が生育しています。特に、湿地の上に木が立つ水辺の森は絶景なので必見です。この水辺の森がSNSで紹介された後、ジブリ映画の『もののけ姫』に出てきそうな幻想的な風景が話題となって、観光バスなどで観光客が来るようになりました。現在は、コ〇ナのせいで最近は訪れる人が少ないので、今が水辺の森をゆっくり観察

月と重力探査

 割と朝早く出勤しますが、自宅を出る時にはまだ月が煌々と輝いていました。月は地球の衛星ですが、本星である地球との大きさが他の星々の衛星とは大きく異なります。月は衛星としては、異常に大きいのです。月の大きさは長い間ナゾでしたが、ジャイアントインパクト説で説明ができそうな状況です。大昔、原始地球に火星大の星が衝突しました。この時に、地球とこの星がいったん壊れて再構成されました。それが、今の地球と月です。  コンピュータを使ったシミュレーションでも、天体の衝突+破壊+再構成が再現

『地球』のことをもっと知ろう!

 我々は地球という天体に住んでいますが、地球のことを意外と知りません。地球のことは、空気と同じように当たり前すぎて関心が薄いように感じます。しかし、地球で起きる様々な物理的/科学的な現象が、影響し合って地球の環境を作り上げています。  地球が「ほぼ球体」であることは当り前の常識だと思っていたら、そうでもないようです。アメリカで地球の形に関するアンケートを取ったら、少なくない人が「地球は平面である」と答えたそうです。日本でアンケートをしたらどうなるのかも、興味深いのですが、”

物理探査に関する古い新聞記事『地底を拓く科学の夢』

 神戸大学の新聞記事のサイトで、色々と検索していたら、物理探査に関する古い新聞記事を見つけました。記事は、中外商業新報の1939.5.24 (昭和14)の日付で、タイトルは『地底を拓く科学の夢 : 時局下の総動員 弾性波探鉱法で五班に分れ内地大陸に資源調査』です。以下は記事の引用です。 『地底の奥深く埋蔵されている金属、石炭、石油その他の地下資源を発見して不足物資の潤沢な供給を図るべく昨年四月日本学術振興会が、その附属機関として設置した物理探鉱試験所ではその後愈々金原信泰所

ぶったん偉人伝#3 シュルンベルジェ兄弟

 石油の探査を実施して、油田の有望地が決まれば試掘井を掘削します。この試掘井が掘り終わると、シュルンベルジェ社の出番です。  シュルンベルジェは、石油井を詳しく調べる検層サービスの世界ナンバーワンの企業です。この会社は、技術担当の兄・コンラッドと、経営担当の弟・マーシャルが設立した、油田探査および各種油田探査用計測機器の開発・製造をコアビジネスとする、最大級の多国籍企業です。現在、シュルンベルジェ社は、フランス・パリとアメリカ合衆国・ヒューストンに本社を構えています。以前