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屋久杉に学ぶ、世界の法則②

 さて、前回の続きとなります。
 今回の話は「次の時代につなぐ」ことをテーマにします。


次の時代の土台に「二代杉」

 屋久島では、杉の伐採が江戸時代から始まっていました。しかし、当時は現代のようなチェーンソーもなく、切るのが大変だったのです。だから、根本付近の太いところではなく、ある程度高いところで切ります。そして、その切ったところから、新たな杉の木が育ち、まるで一本の木のようになるのです。これを二代杉といいます。
 この現象がもう一度重なった場合は「三代杉」となります。

 切られてしまった木というのは、人間で言えば、死んでしまった、その業界で終わったなどと言い換えることができるのかもしれません。しかし、自然というのは循環している。だから、切られてしまった木、倒れてしまった木も全体の一部で、それぞれ意味を成している。
 しかし、人間の世界では、そこがうまくいっていない。よくある話としては、お年を召した経営者が次の時代を考えずに、自分のポケットに余計に入れてしまう。次の時代の設計(引継ぎやアイディアなど)をせずに死んでしまったり、ボケてしまうことがあります。こういう方たちに欠けている視点が「組織を生かすこと」です。

 屋久島の自然というのは、縄文杉がもちろん有名ではありますが、縄文杉が屋久島の自然のすべてを支えているわけではありません。縄文杉が枯れて、倒れてしまっても、屋久島の自然は続いていきます。
 本来であれば、人間社会や組織もそうあるべきです。有名で力のある創業者が死んだ後も、社会に貢献し続ける、社員たちが生き生きと働ける場所であるべきです。
 だからこそ経営者は、二代杉のように次の時代の土台となることを目指すべきだと思うのです。また、屋久島では倒れそうなった木を保護しないと聞きました。大きな木が倒れると悲しい気もしますが、大きな木が倒れることによって、それまで日の目を見ることのできなかった木々に陽があたるのです。


死んでも生き続ける

 僕がガイドさんから聞いた話で、感慨深かったのが、屋久島の杉は、倒れて地面に還るまで、樹齢と同じくらい時間がかかるということです。
 もしも縄文杉が倒れてしまったら、縄文杉が地面に還るまで2,170年~7,200年かかるということです。
 人間の社会にも歴史に名を残す偉人がいます。それこそ、紀元前に生きていた偉人の考え方が今も踏襲されているなんてこともあります。

 また、有名な言葉で「簡単に手に入るものは、簡単に役に立たなくなる」というものがあります。
 なかなか自分の求めている結果が出ないとつらいこともありますが、そんな時でも一歩ずつ進んでいくことが大事なんだ。屋久島の杉からそんなことが学べます。

 ほとんどの人が歴史に名を残す(有名人レベルになること)はできないでしょうが、自分が死んだ後に「お前のじいちゃんはすごかったんだぞ」と身近な人たちの記憶で生き続けられるといいかなと思いました。

最後に、下の写真はウィルソン株という有名な切り株です。周りにたくさんの命が宿っていることが分かりますよね。こんな風に周りの命を支えながら生きていけたらと思う次第であります。

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