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フォロワーシップの大切さ

拙著「ニッポンIT株式会社」ではリーダーシップについて諸々記したのですが、リーダーの成長の鍵を握っているのが、一緒に働く「フォロワー」だと言われています。

フォロワーとは「役割」であって、「役職」や「立場では」ありません。
ですから複数人いてもいいのです。
 
そして必ずしも「ナンバー2」などと称されている人に限定されるものではありません。
 
10人のチームが一人のリーダーと9人の優秀なフォロワーで構成されていたら、チームパフォーマンスやチームのエネルギーは相当高いレベルになっているでしょう。
 
フォロワーシップの定義も諸説あって、リーダーシップの一部に分類している説もあります。
書籍も沢山出ているので、ここでフォロワーシップの全てを網羅する
わけにはいきませんが、拙著に書いた「アサーティブなコミュニケーション」と、「アカウンタブル(主体的)であること」の考えを
下敷きにして、フォロワーシップ醸造の一手段をお話してみたいと思います。
 
これは私の定義・・・、というかチームメンバーに向けて
「こういう発想や振る舞いをフォロワーシップというのだよ」
と説いて行動規範としてもらった内容です。それは・・

  • あなたはチームメンバーとして、上司/リーダーに対してより良い方法や
    考え方を求めて意見を述べる「義務」がある。

  • その意見は組織への貢献と、自らの主体性に基づいたものである。

  • 意見は必ずしも受け入れられないことは理解しておく。

  • 最終的な意思決定は上司/リーダーに委ね、それに従う。

というものです。
 
端的に言えば、「チームや組織全体に貢献すると思ったら
遠慮なくモノを言うこと」と説き、
 そしてリーダーは「それらに耳を傾け、言ってきた者の勇気を尊重する」ということを約束することです。
 
たとえ狭い意味であっても、これを「フォロワーシップ」の典型例とし、
「チームが成長するために不可欠なものである」ということを全員が理解することは第一歩になると考えます。
 
例えば:
「○○リーダー、今朝発表された今月の勤務シフトですが、あの内容だと繁忙期への対応とはいえ、メンバーにかなりの無理を強いることになります。他チームからの応援を依頼するなどの方法は考えられませんか?」
というのはフォロワーシップに基づく意見です。
 
それでも結果として、「この勤務シフトで行くのだ」の命が下されれば、それに従うとして、例えば次の上申は
「わかりました。では今月の目標を達成したら、慰労のイベントやりませんか?」になるかもしれませんね。
 
チームに課せられた厳しいミッションは遂行するが、一方でチームのモチベーション維持も考える ⇒ 組織への貢献の発想の一例です。 

そしてこの上申を受けたリーダーは、他チームの応援案やら慰労イベントの予算申請やら、そして他のアイデアやら、頭を使い始めなければならないわけです。
 
これは結果としてリーダー自身の成長機会ともなります。
言った以上、言われた以上、なんとかしなくちゃ・・・
という気持ちで動くわけですよね。
 
簡単にリクエストや上申が通るはずもありません。
しかし優秀なフォロワーはその限界も理解しています。
そして何はともあれ、意見を聞いて、上申に動いてくれたリーダーにリスペクトの思いを持つでしょう。
 
建設的な意見を上げ続けるということは、自分自身がリーダーになった時のための学びとなっているはずです。
 
こうした一連の「前向きの連鎖反応」を起こすのが、フォロワーシップの役割です。
 
「今月の勤務シフト、大変そうだな。」
「でも上からの命令だ。黙ってやるしかないか。」
という発想だけでは、組織にとって有益なものは生まれてきません。
 
もちろん、ごく当たり前の指示や、無理なく達成できるミッションに対して
いちいちアサーティブに応じる必要はありませんが。
 
さて、少しの時間をとって、以下の様な質問に対して、チームで話し合ってみてはいかがでしょう?
(リーダーの立場にいる人だけの話ではないですよ。チームメンバーだったら、どの様なフォロワーシップでリーダーとチームに貢献できるか?という発想です。)
 
【質問1】
リーダーシップは大切ですが、それにのみ依存した組織と、
フォロワーシップが育っている組織とでは、
具体的にどの様な差が生じてくるでしょう?

  • 人材育成において

  • お客様への対応において

  • トラブル時の対応において

  • 製品開発、戦略立案、イノベーションにおいて。

等々・・・・
 
【質問2】
リーダーは、チームメンバーを自分の良きフォロワーに育てるために、
どの様な声掛けをしていきますか?
どの様な行為や発言を承認し、褒めていきますか?
(メンバーからは、リーダーがどうあって欲しいですか?)

リーダーシップ同様、フォロワーシップも一朝一夕には育ちません。
折に触れて、チームでその考え方を共有したり、上記の様な質問をネタに会話をすることは、とても有益だと考えます。

安藤秀樹
株式会社ドリームパイプライン代表
公式ホームページ: https://dreampipeline.com

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