どもども "VP of Engineering" です。

どもども。

昔はブログで文章を書く機会があったのですが、閉じてしまってから仕事以外で文章を書く機会がめっきり減ってしまい、文章構成力の著しい低下を感じたので note でも始めてみようかなぁ、と思って書き始めます。

と言いつつ、ぶっちゃけ会社の広報から

「リモートワークでコミュニケーションが疎になる中で、hidek さんはもっと社外発信しないんですか?どうなんですか?やるんですか?やらないんですか?」

という圧をかけられたのがきっかけなのですが… まぁ冒頭の課題も感じていたので、ゆるゆると徒然なるままに書いていきたいと思います。

お決まりなのですが、個人としての発信なので所属する会社や団体とは関係ないということで、よろしくです。

で、初回は僕が担っている VP of Engineering という役割について書いてみたいと思います。すでにあちこちで語られていることなのですが、初稿ということでウォーミングアップね。社内からも 「hidek さんって全社会で DJ やってるのは知っているけど普段は何をやってる人なんですか?」という心無い質問をされることが増えてきたのでいい機会かなと。

さてさて、そもそも VP of Engineering (以下 VPoE) の定義とは何でしょう?有名なのは  Fred Wilson さんの記事である "VP Engineering Vs CTO" ですが、その中で VPoE の定義として

A VP Engineering is ideally a great manager and a great team builder. He or she will be an excellent recruiter, a great communicator, and a great issue resolver. The VP Eng's job is to make everyone in the engineering organization successful and he or she needs to fix the issues that are getting in the way of success.

とあります。

「偉大なマネージャーであり、チームビルダー。素晴らしい採用担当者であり、めっちゃコミュニケーション能力があり、すごい課題解決力を持っている人」と、無駄にハードルが高そうですが、「VPoE はエンジニアリング組織の全ての人を成功させることであり、成功に妨げるものを解決すること」とあるので、一言でいうと

「エンジニアリングチームを組織として成功させる人

ってことですね。

一方 CTO との関係性については

When a company has a strong CTO and a strong VP Engineering that trust, respect, and like each other, you have a winning formula. The CTO makes sure the technical approach is correct and the VP Engineering makes sure the team is correct. They are yin and yang.

とあります。「CTO は技術的アプローチが正しい状態にあることに責任を持ち、VPoE はチームが正しい状態にあることに責任を持つ。両者は陰と陽である。」どっちが陰でどっちが陽やねん、という疑問はさておき、端的に役割分担を定義していると思います。そしてその二者が信頼しあっている会社は強いということを説いています。これは経験的に真で、VPoE にとって CTO との相性というのはとっても大事です。この辺もいつか書きたいと思います。

では「組織としての成功」のために VPoE や Engineering Manager が求められる役割は何でしょう?色々な定義があると思うのですが、

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良い人を採用して → 成長を促して → 正しく評価して → 組織に愛着を持ってもらって→ その結果を外にPR → 良い人を採用する

というサイクルを回すことと定義しました。この中で一つ言及するとすると外への PR です。これは人の流出につながるということで嫌がる組織も多いのですが、個々の結果が広く認められて承認欲求が満たされることによりリテンションが向上したり、優秀な人と働きたいという欲求に対して訴求することにより採用母集団形成を大きくすることができて、前後のフェーズに好影響を与えることができるのでオススメです。あ、あくまでもゴールは事業、プロダクトの成功、ミッションの達成だったりするので、組織マネジメントはメソッドであることを忘れずに。

もう一つ CTO と VPoE の役割分担について書かれている記事を紹介します。Mark Suster さんの "Want to Know the Difference Between a CTO and a VP Engineering?" では、より大きな規模なエンジニア組織での役割分担の説明がなされていて、CTO、VPoE に加えて Program Manager というエンジニアリングプロセスを整備をする人の役割が定義されています。

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この役割の定義はさておき、この図から読み取れることは VPoE に求められるのが組織的なことだけではなく、技術的な知見とプロセス的知見の両方が求められていることがわかります。事実、組織的にエンジニアをうまくアサインして、成長させて、事業を成功させるためには求められる技術要件を理解する力とプロセスを健全に回す力が要求されます。経験的にも Program Manager が必要になるのは組織的にもプロダクト的にもかなり大くなったフェーズになるのですが、多くのケースで VPoE が負うことが多いです。

で、よくスタートアップ企業の人に「VPoE ってどのくらいの組織規模で必要ですか?」というアドバイスを求められるのですが、CTO に組織的解決力があるのであれば、余計なポジションを増やしてコミュニケーションコストを増やす必要がないです。また、そのキャパシティは人それぞれで、CTO が組織的課題に対して対処できなくなったら、と答えています。というと元も子もないので、経験的には CTO のスケジュールが 1on1 と面接で埋まってきたら役割分担を考えた方が良いと思います。CTO のケイパビリティにも依りますがエンジニア規模が50人くらいから更に規模を増やしたい時にそのフェーズを迎える経験が多いです。

逆説的には、VPoE は組織規模に比例して求められるものなので、組織規模がかなり大きくなったり、組織意思決定を迅速にしたいというのであれば、考え方によっては VPoE が2人以上いても良いと思いますし、メルペイでも最近はそのような体制になっています。この辺の話もいずれできたらいいですね。

というわけで、一人でできることは限界があったり得手不得手があるので、業務が溢れて死にそうな CTO の方や、エンジニアの採用などで困っている人事の方が、課題解決に経営に説明するのに使ってもらえればと思います。

まとめ
- CTO は技術として成功させる人
- VPoE は組織として成功させる人
- VPoE は組織的知見だけではなく、それを支える技術的知見、プロセスマネジメント的知見も求められる
- VPoE は CTO の仕事が溢れて初めて必要になる役割
- 大きな組織では得手不得手で役割分担するのは一手になる

ほいじゃー!

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