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明日になれば晴れるのに

7月7日
今日も雨
雨音さえ聞こえない窓のない部屋
きみはベッドでシーツに包まれている

「願い事はしないの。
雨の七夕は予定調和でしょう?
雨は叶わない予防線をくれるから好き」

「雨が好きよ。
静かで騒がしくて、湿気を纏った身体に気怠さが心地いい。
様々を気圧のせいにして眠るのっていいじゃない?
ずっとよ、一日中。
シーツに包まって猫みたいにね」

こんな風にきみはそこにいた
たくさんの人に囲まれて
笑っているのに
まるでひとりぼっちみたいに

「雨の日ってひとりでいるのが好き。
センチメンタルに浸るのっていいものよ。
でも、あなたと寝るのは悪くない。
いちばんは、匂いね。
あなたって、雨の匂いがする。」

雨の街
傘に隠れて
相合傘の繋ぐ手は
誰にも気取られずに
僕たちをすっかり恋人みたいに受け入れて
大丈夫って強がるのもやめて
傘に隠れて 
雨に紛れて




明日になれば晴れるのに
雨の中でずっと
僕たちは目を閉じて
きっと何もかもを忘れようとしている

「止まないで、止まないでって思うの。
これって願い事なのかしら?
この雨がずっと降り続いているようにって、いつもいつも思ってる。
こうやって握りしめた掌。
ねえ?
たとえ離れても
繋がっていられるのかしら?」

だけどどうか叶うなら

ひそやかに願う


どうかきみを
忘れさせておくれ
どうか僕を
この日々を

「 ねぇ      」

明日になれば晴れるのに
明日になれば



今はもう青に目が眩む日々で
あの日最後にきみが笑いながら言った言葉を
僕はどうしても思い出せないから
願ってしまいそうになるんだ
雨を
きみを
あの日々を

©JUNKO*

#詩 #歌 #うた #恋愛 #短篇

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