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ロボットは「ちょい足し」で作ろう

はじめに

以前のnoteで、ロボットを作るために必要なのは「プログラミング」だけじゃない!という話を書きました。

はっきり言ってしまうと、プログラミングを含む様々なスキル・知識は一朝一夕につくものではありません。

じゃあ、それまで電子ガジェット工作はできないのか?

「そんなことはない。楽しめる範囲で『ちょい足しロボット』を作ろう」というのが今回のお話です。

完璧主義が意欲を削ぐ

有識者をサポーターにつけると起こりがちな問題。それは、有識者が初心者に「持てる知識の全て」を注ぎ込もうとして、結果的に意欲を削いでしまうことです。これは仕事でも、本当によく起こる問題ですね。

有識者は、問題点がよく見えるがゆえに、先回りして問題点を潰そうとしますし、よりかっこいいガジェットを作ってもらいたいという気持ちから「アドバイス」を矢継ぎ早に繰り出しがちです。

この「完璧主義」によって、初心者は手出しができなくなります。言われたことを、言われたとおりにしかできなくなるのです。違ったことをすると、怒られてしまうのですから。

最初に環境を完璧に作り、あとは放置する

有識者が口を出したくなる状況としては色々あるのですが、大きく分けて
・身体への危険の可能性(感電、火災、裂傷、…)
・ガジェットが思った通り動かない、不格好になる
の二つに分類したとすると、前者は口を出さなければいけませんが、後者は口を出してはいけません

すなわち、前者が起こらないような環境を作ってしまえば、それで口を出すことはなくなるので、結果的に「ずっと口を出さなくて済む」ということができようになります。

危険が起こらないような状況を作ったら、放置しましょう。なんなら、スマホを見てるくらいがちょうどよいかもしれません。

ただし、何か聞いてきたらすぐに答えてあげてください。本当に、それだけでよいと思います。

「市販品」を使うのが早くて、安心

安全を手に入れたかったら、まずは市販品を入手しましょう。初心者のうちは、つまり「口を出さないようにすませるために」市販品を使うのです。

市販品が良いのは、品質テストなどを経て出荷されているため、機能性や安全性が最初から担保されていることです。万が一問題があったら、サポートに問い合わせれば、ほとんどのことは解決します。

たとえば、アーテックでは、レゴのようなブロックと、そこに簡単に組付けられるモータなどが売っています。Amazonの他、楽天でも、どこでも買えます。

極端に言うと、これだけで一番簡単なロボットは作れます。見守る必要すらありません。あとは、スマホでゲームなどをしておきましょう。要領の良い子ならすぐに作れるし、要領があまり良くなくても、マニュアルを使って丁寧に作業させてあげてください。

やってあげてはいけません。きっちりとマニュアル通りにさせてあげてください。そして、できたら褒めてください。

「ちょい足し」する

市販品は簡単にガジェットづくりができますが、そのままではカタログ通りのものができて面白くありません。

ここで、別の機能を「ちょい足し」します。ちょい足しの方法は
・輪ゴムやセロテープ、ホッチキスで取り付ける
・レゴブロックなどで挟む
・別のおもちゃの人形や車を使う
などです。あまり凝ったことをする必要はないのです。

たとえば、ソニーの「MESH」をちょい足しします。

MESHは色々ありますが、たとえば「振動センサ」を使って、スマホで音を鳴らすことができます。

ちょい足しで「オリジナルロボット」完成!

以下は、アーテックの「きょうりゅう」ロボに、MESHタグを輪ゴムで括りつけただけのものです。MESHには「センサが上を向いたら、音を鳴らす」だけのプログラムを実装します。

何も難しいことはしていません。しかし、二つの機能を組み合わせると…


「吼える恐竜」っぽくなりました! なんか、一気に本格的になったような気がしませんか?

単機能同士の「ちょい足し」がポイント

ちょい足しを成功させるポイントは、とにかく「一つ一つのアイテムを単機能で使うこと」です。いわゆる「モジュール化」です。

「これくらいのこと、Arduinoと電子部品買って来たらすぐできるじゃん」
って思った有識者のあなた。

それがダメなのです。

いっぺんに複雑なことをやってしまうと、確かに実現はできるのでしょうが、本人の理解は一向に進みません。いかに、シンプルな機能の組合せを本人に「工夫」させるかが大事なのです。

「なんか不格好だね」と言われたら

最初のうちはあまりないかもしれませんが、そのうち「もっとかっこよくなるように改造したい」と言ってくるかもしれません。

もし、そうなったら…大チャンスです! 初めて「Arduinoと電子部品買って来たらできる」という会話ができるようになったことを喜びましょう!

要は、不格好であることは本人がそう思わないと意味がないのです。「ホラ、不格好でしょ?」とこちらから言うことは押し付けにしかなりませんし、第一「不格好と思っていない」かもしれませんし、そもそも興味がないのかもしれません。

まずは、単機能の「ちょい足し」で、市販のものにはたいてい何でも足せるということを理解してもらう必要があります。不格好かどうか、効率的かどうかは、それよりもっと先の話なのです。

おわりに

ちょい足しのアイテムを使うと、それ自体で遊ぶことがあります。
たとえば、ロボットのちょい足しにプラレールを使うと、いつの間にか「プラレール」で遊び始めていることがあります。

でも、それでいいのです。

大事なのは、彼ら/彼女らが自分でやりたいことをやることなのです。プラレールで遊ぶのがメインになったようなら、「ロボットのお片付け」だけを命じて、プラレールで遊べばいいのです。

ロボットはいつでも作れるのですから。

(おわり)

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