エンジニア採用が難しいので、エンジニアの転職市場について考えてみた(前編)
私自身、スタートアップを経営している中でエンジニア採用を行っていますが、知人の人事や経営者からも「とにかくエンジニアが採用できない」「エンジニアってどうやって採用している?」という声が多いです。ただやみくもに募集していても採用できないことも多いので、エンジニアの転職市場について定量的に考えてみました。
DeNA時代に一緒に人事をやっていたKota Fukudaさんのnoteがすごーくいいこと書かれていたので触発されて私も採用について書いてみることにしました。
Kota Fukudaさんが書いたすごーくいいnoteはこちら
私はスタートアップを経営しており採用も担当しています。知人や友人にWebサービス系の経営者や人事の方が多く情報交換させていただくのですが、採用の話になるといつも「エンジニア採用ってどうやってる?」「エンジニア採用できないよね...」という話が出ます。
エンジニア採用は難しい・・・それはそうですが、実際にどのくらいのエンジニアが市場にいるのか、とかどういう競争になっているのかをしっかり理解したことがなかったな、と思ったので「エンジニアの転職市場について定量的に理解」しようと思います。(今回のnoteは前編で市場の状況を定量的にざっくりですが調べています。後編はみなさまの需要があったら書きます。)
では、いきましょう
今回は私も周囲の方もWebやアプリでサービス提供している企業の人事や経営者の方ばかりなので、
いったんここではWebやアプリなどのサービスを提供してる会社(以下、Webサービス会社)の採用を前提に考えていきます。
またインフラやセキュリティ、PMなどの人材もニーズはあると思いますが、
シンプルにするためにWebサービスなどを作る人(=プログラマ)の採用のみで考えています。
まず日本全体のエンジニアの数をちょろっと推定してみます。
IT人材白書によると、
841,000人というのがIT人材の総数。
業種別にわけると
・受託開発ソフトウェア業:566,613
・パッケージソフトウェア業:22,923
・組込みソフトウェア業:31,377
・情報処理サービス業:115,652
・電子計算機製造業:37,322
・情報記録物製造業:5,298
・電気機械器具卸売業:62,367
といった状況。情報処理サービス=Webサービス企業、と考えるとそこで働いているIT人材は
115,652人。
IT人材を職種別に見てみると、
・自社の事業企画:3.2%
・コンサルタントなど:12.2%
・プロジェクトマネージャ:13.7%
・システムアーキテクト:6.4%
・インフラ系技術者:8.7%
・アプリ系技術者:40.4%
・運用系サービス技術者:8.1%
・データ分析技術者、コンテンツサービス系技術者など:0.7%
・教育、その他:6.6%
Webサービス企業が必要なのは、
実際にものづくりできる人であることがほとんどなので、ここでいう「アプリ系技術者」が該当しそうです。
なので
115,652人×40.4%=46,723人
実態としてWebサービス企業だと70%くらいはコード書いてモノを作っていそうなので
115,652人×70%=80,956人
全国でWebサービス業に従事し、
Webサービス企業でエンジニアとして働いている人は「80,956人」
その中でどのくらいが転職するのか
厚生労働省が出している「雇用動向調査の概要」によると
・情報通信業の入職(新しい仕事を始める率)率:11.4%
・情報通信業の離職(既存の仕事を辞める率)率:9.4%
なので、
80,956人×11.4%=9,228人
これは1年以内に別の職から新しい職に就いた人もしくは今までの職を辞めた人/年代別労働人口で計算されたもので、職種別のデータではないので実際は多少上下しそうです。
もうちょっと高いかもしれませんが、職場で11人のエンジニアのうち1人は辞めると
考えると、そんなものかもしれません。
転職活動をしても良い転職先が決まらず、転職できない人もいますが、
今の売り手市場を考えるとエンジニアだったら90%は転職できそう。
10人中9人は転職が決まるとして、
9,228人÷0.9=10,253人
1年間で転職活動をするエンジニアさんは10,253人!
もちろん繁閑はありますが、ならすと854人/月!
転職活動はだいたい3ヶ月くらい平均で行うとしてもアプローチ可能なのが2,562人です。
現在、Webサービス企業のエンジニアで転職活動している人は2,562人しかおらず
受託開発(Slerなど)、パッケージソフト開発などに従事している人が全員Webサービス提供会社に
転職することを考えても9,423人。
実際には受託開発(Slerなど)、パッケージソフト開発などに従事している人が
Webサービス提供企業に転職するのは見積もっても30%くらいだと思うので、
(9,423名-2,562名)×30%=2058人
とすると、
Webサービス企業が採用ターゲットとする人数はおおよそ「4,620人」
では、4620名に対してどのくらいの求人数が現状あるのか
スタートアップやベンチャーのエンジニア採用といえば、Wantedly!
ということでWantedlyの求人数を調べてみました。
職種フィルタで「エンジニア」を選択(インフラエンジニアを除く)、
採用形態で「中途採用&社会人バイト・契約・委託」を選択すると・・・2864件!
※ちなみにGreenだと3535件ありました。
Wantedlyでは同じ職種募集でも1社が複数の求人を公開するので、重複などを考えても約2000社くらいは掲載していそう。(管理画面見る限り、1件でも求人を掲載しているのは3872社あるので2000社くらいはエンジニア募集しているといってもよさそう)
約2000社の企業がだいたい1社あたり何名位採用したいのかによりますが、1人ってことはなさそうですね。肌感ですが、2〜3名くらいでしょうか。
いったん平均を2.5人とおいてもWantedlyに掲載している企業だけでも5000人分の採用枠が存在しています。
次に、日本最大の求人が集まっているであろうリクルートエージェントで募集件数を調べてみます。
複数ある職種で「アプリエンジニア」だけを検索しても
・公開求人数:3,238件
・非公開求人数:14,177件
合計で17,415件の募集が出てきます。
非公開求人の中には募集がアクティブでないもの(今すぐ応募なくてもよいや一応出している、など)やSlerや受託開発会社の案件などを除いたり、Wantedlyの重複している求人を除くと感覚値ですがアクティブかつWebサービス企業の案件は25%くらいと想定。
※アクティブ=求職者に紹介されている案件
※ここの数字は感覚値なので、人材紹介をやっているみなさま、実際のところを教えてください。
ということでWebサービス企業の求人数は
17,415×25%=4,353件!
同じく1求人につき採用したい人数を2.5人とおくと、10,884人分の採用枠が存在しています。
ざっくりWantedlyとリクルートエージェントの求人だけでも
5,000枠+10,884枠=15,884枠
4,620名を15,884枠で争っていることになります。
採用倍率で3.43倍!
※インテリジェンスさんが運営しているDODAが毎月出している有効求人倍率でも職種別で
技術系(IT/通信)で3.29倍なのでなんとなく合っていそうな気がする...
数値で考えてみてもエンジニア募集は大変...
普通に募集出すだけだとなかなか採用が難しそうなことはわかりました。
次回は、
この状況でどうやったらエンジニアを採用できるのかを私なりに考えてみたいと思いますが、結構数字を調査したりなど手間もかかるので、
スキの人数が多いようであればニーズありと考えて、続編を書こうと思います!
みなさま、ぜひ「スキ」お願いします!笑