アンディ(安藤英明)

1957年生 牡牛座 東海大学工学部卒。トラック運転手~米国半導体関連会社~キリンビ…

アンディ(安藤英明)

1957年生 牡牛座 東海大学工学部卒。トラック運転手~米国半導体関連会社~キリンビールを経て起業。PQB japan株式会社代表取締役 https://www.pqb-japan.co.jp/ 好きなこと…アマチュア無線、作詞作曲、小説書き、少林寺拳法、バイク

最近の記事

真珠のピアス

かたい友情で結ばれたオートバイが大好きな少年ふたり。 親友の恋人に恋こがれながらも、最後まで思いを告げずに守る愛。 あなたにもきっといるはず、   命がけで守りたいと思っているひとが。 そしてあなたは知らない、   あなたを命がけで守りたいと思っているひとがいることを。  半世紀前の町田、湘南の海、そして六本木で展開する青春小説。                       (2024年4月〜 小田急線町田駅南口 久美堂本店でのみ発売中)

    • 短笑物語”究極の歯の磨き方”

      ”究極の歯の磨き方”  プッツン・バイオ株式会社の開発部長A氏は、夕食後いつものようにウィスキーのビール割を飲みながらテレビを見ていた。 「そっか、この番組のテーマは『探求心』ということだな」  呟いた瞬間、ビールの宣伝になった。 「それにしても、ビールの種類は多い。第2のビール? 第3のビール? 第4のビールはあったっけ? のどごし? キレ? ドライ? …私は今も昔もラガーいっぽんだ。それも太るから1日1本にしたい」  A氏はジョッキグラス1杯目を飲み切った。  空に

      • 日常の切り取り”仕事帰り”

        仕 事 帰 り 仕事を終え、自宅の最寄駅に着いたのは午後7時半。 改札を出て、右側の階段へ向かう途中、小さな女の子らしき声を聞いた。 「待ってぇ…ぇぇぇ」 涙の色に染まった声が彼女の透き通る力強さも含んでいる。 我が子の幼かった頃の声と重なり、その響きだけで抱きしめていた頃の感触がよみがえる。 階段を見上げた。 小学校低学年と思われる女の子がふたり、階段を勢いよく駆け降りてくる。 彼女たちはあっと言う間に階段下のぼくの脇をすり抜けてゆく。 ふたりの背中を目で追った

        • 日常の切り取り”心のビブラート”

          心 の ビ ブ ラ ー ト 人生を変える一言はそこら中に転がっている。 それは通りすがりの誰かが発した何気ないセリフかもしれない、 汚ない電柱に貼られたビラに書かれた宣伝文句かもしれない、 雨上がりの水溜まりに映った月の光の揺らぎかもしれない、 ふと鼻腔をくすぐった花のかぐわしさかもしれない。 遠い記憶、パリの地下鉄の駅。 天使のような女性が奏でるバイオリン。 哀しげな旋律のオペラ座の怪人。 心を持っていかれ、その場に凍りついた。 ぼくの時間はその時なくなった。 気

          短笑物語”不審な人物”

          不審な人物 週末C氏の上司の壮行会が、東京銀座で行われた。 普段は生麦駅周辺で飲むことの多いC氏にとって、久しぶりの気晴らしになったようだ。 ビールから始まり、彼の好きなバーボン、その後取締役のD氏の提案で老酒のロック、これがまた妙にいけるのだった。C氏の最大の好物「ウイスキーのビール割り」に勝るとも劣るほどの酔い心地なのだった。そのおかげでC氏は、普段のアルコール摂取許容量を遥かに越えてしまっていた。 二次会のカラオケではC氏とD氏のマイクの奪い合い。会社一の美女、森

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          短笑物語”究極のバイオテクノロジー ドジョウの蒲焼”

          究極のバイオテクノロジー 「ドジョウの蒲焼」  プッツン・バイオ株式会社の開発部長A氏は、夕食後ウィスキーのビール割りを飲みながら、テレビを見ていた。連続テレビ番組「あなたも尻過ぎた世界」でこわい思いをした後、気象情報を見ているうちにある戦略を思いついた。 翌朝A氏は、部下のB氏を会議室へ呼び出した。 「B君、突然なんだが、ドジョウをウナギにしてくれないか」 「A部長、お言葉ではございますが、ドジョウはドジョウでありまして、ウナギではありません。その逆もまた真なりでありま

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          ファンタジーショートストーリー”伝説の薬”

          伝 説 の 薬 ハーピスとは、「彼方にある永遠の幸せ」という意味である。 昔、もっともっと星が近くに見えた頃、ハーピスと呼ばれる小さな村に、マリオという名の若者がいた。 ある日、重たい雲が村に流れ着いた。 雲は動かず、村を覆った。 太陽の光を遮り、そして細い雨を降らせた。 雨はひと月の間降り続け、村人たちの身体を蝕んだ。 雨が上がると村の一割の人々が亡くなった。 マリオには家族はなかったが、ひとりの恋人がいた。 マーレという名の美しい娘。 ハーピスに恐ろしい病

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          ファンタジーショートストーリー ”ネージュ”

          ネージュ 「見てごらん、この下の世界を…わたしたちには何の苦しみもないの」 「母上、苦しみとは何ですか?」 「ごらん、彼らの動きを」 「母上、分かりません」 「彼らは戦っているいるのよ。とても苦しんでいるの。武器と呼ばれる道具を使って命の奪い合いをしているの」 「そして、彼らはどうなるのですか?」 「彼らは死んでしまうの。でもわたしたちには死は来ない。永遠の命があるから」 「彼らは死んでしまった後、どうなるのですか?」 「わたしにも分からないわ。でも、わたしが幼い頃に聞いた

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