第十一話 冬休み

冬は朝から雪が降り続く。でも雪が音を吸収するので、とっても静寂に包まれるから眠りやすい。

小学校では、クロスカントリーのスキー授業が始まる。僕はクロスカントリースキーは、長距離を一人で滑るので得意ではなかった。毎朝お父さん方が、スノーモービルでコース作りをしてくれた。僕も、後ろのカッターに重し代わりに座って引っ張られるのが楽しかった。

放課後になるとスキー練習がある。同じコースを延々と滑るので、疲れるし鼻水が凍るし僕は嫌いだった。でも練習が終わると、温かくて甘い紅茶が飲めるのでそれだけは好きだった。

冬休みの前に、雪上運動会が毎年開催される。
雪上運動会は、カルタ取りをしたり雪玉合戦や雪だるま競争などを行っていた。カルタは生徒がそれぞれ絵を書いて作った。それに合わせて読み札を作るので、変わったカルタが出来上がり楽しかった。雪玉合戦もチームで作戦を立てたり、雪玉の形を工夫したりするのがとても楽しかった。

そんな雪上運動会が終わると、冬休みに入りお正月を迎える。

僕の家では、お正月に向けてのお餅の準備にお味噌と納豆づくりも始まる。秋に収穫した食材をふんだんに使っていく。納豆に使うために藁も欠かせない。藁に大豆を詰めてこたつに入れていく。こたつの中は、足なのか納豆なのかわからない匂いがしていたものだった。

お味噌も発酵が必要なので、とても丁寧におばあちゃんと作った。そして、玄関の土間では藁の上に大きな臼を置き、蒸かしたもち米を杵でみんなでついた。出来上がったお餅を手早く、鏡餅にしていく。出来上がると半紙の上に鏡餅をのせ、松の葉とみかんを置いて家の中の大事な場所や車庫、倉庫、小屋などいろんなところに置いた。この鏡餅を各所に置くのは、長男の僕だけがする仕事だった。それ以外にも、僕の家の氏神様である山神様の神社にお参りに行くのも僕の役割だった。重箱に煮物などのお供え物を詰めてもらい、御神酒を持ち大晦日の夕方にお参りにいく。
お参りが終わると、近所の人たちもそれぞれ来るのでみんなで神様のおすそ分けをそこで頂いた。

そして、お参りが終わるとたくさんのご馳走をならべて夜通しテレビを見ながら楽しく過ごした。

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