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保育者に贈るこの1冊#3「ゴゴスマ石井のなぜか得する話し方」(石井亮次)

我々教員もフリーアナウンサーの著者も「話す商売」。保育者も商売道具はなんと言っても「ことば」です。
今回はCBCテレビ(TBS系)午後の情報番組でお馴染みの筆者が書いた著書から、保育者あるいは社会人としての処世術について学びたいと思います。

「挨拶はひとりごと」「挨拶は自己満足」

職場の人間関係に悩んだり、実習で悩む学生が「(先輩・指導)保育士が挨拶を返してくれない」という悩みを聞くことがあります。職場で気持ちよく挨拶を交わせるかどうかは、健全な組織を見極める指標と私は考えています。
著者も挨拶の大切さを述べた上で、挨拶が返ってこなかった時の心の持ち方を述べています。それは、「挨拶はひとりごと。挨拶は自己満足。」であり、「自分が気持ち良かったらそれでOK」というものです。
私も挨拶を心がけていて、特にもお掃除の方、出入りの業者の方、そして何より学生にはしっかり挨拶するようにしています。しかし、返事が返ってこないこともあるわけです。ちょっと(いや、だいぶ)腹が立ちます。しかし、挨拶は「コスト0だけでなく、リスクも0」と著者は言います。
保育現場で子どもや保護者にしっかり(心を込めて)挨拶するように、職員間の挨拶も大事であることを痛感しました。
そして、学生諸君!挨拶は実習や就職試験であなたの印象を大きく左右します。「挨拶ぐらいできる!」と見くびらないで、日頃からしっかり挨拶することをお腹の底にしっかり身につけましょうね。

自分を大きく見せようとするのはカッコ悪い

どの世界にも自分を大きく見せたい、「私って知識が豊富なのよ」ということを前面に出したい自己承認欲求が超絶青天井の人がいるものです。読者の周辺にもいるのではないでしょうか?そう、あの人です(笑)
著者はそういう人を「傍から見ているとカッコ悪い。」と断じます。
そして、「易しさ」こそが「優しさ」とも。
確かに(少なくとも私は)いたずらにカタカナ語を使う人は正直、尊敬どころか心の中で常に突っ込んでいます(アホなのか?…と)。
私(40代後半)はこの点に関して慎重にしているつもりですが、一層の注意が必要だなぁと思いました。

会話はバレーボール「レシーブ」「トス」、時々「アタック」

よく会話はキャッチーボールに例えられますが、著者はバレーボールになぞらえて会話を盛り上げる工夫を紹介しています。これは保育の現場で子どもとの会話にも役に立ちますし、職員間など大人同士の会話にも大いに参考になります。

最初に言葉をちゃんと拾う「レシーブ」(子:昨日、キリンさん見たよ→保:え〜キリンさん見たの〜すご〜い。どこで?)

次に、次の展開を考えて「トス」(子:動物園で→保:そうなんだぁ。キリンさんどんなだったぁ?)

そして「アタック(ふんわり相手に返す)」(子:おっきかったぁ。首が長くてねぇ、お顔が高くてねぇ、お口でむしゃむしゃしててねぇ、それでねぇ…。→保:よかったねぇ。またどんな動物に会ったか教えてね)

丁寧な応答は単に応答的な関わりだけではなく、「トス」が必要なんですね。勉強になりました。

「心配」や「心遣い」は、思っているだけでは伝わらない

心の中は残念ながら見えません。感謝していても言葉にしなければ伝わりませんね。同僚、後輩、どんな関係であろうとも感謝は言葉で伝えたいものです。
ちょっと自慢なのですが、私の中1になる息子はとても「感謝上手」です。
何かしてあげるとためらいなく「ありがとう」と言ってくれます。
親である私は…。息子に見習いしっかりと感謝は言葉で伝えたいと改めて思わされました。
やはり、感謝の言葉と気持ちの良い挨拶が飛び交う職場はどんな組織であれ最強の組織と言えるのではないでしょうか。

まとめ

「ことば」のプロはアナウンサー、声優だけではありません。我々教師や保育者も「ことば」のプロでありたいと感じる一冊でした。
著者をご存じの方も多いと思いますが、あのテレビで見ているお人柄はよくよく勉強され、自分を客観視して分析された結果であることがよくわかりました。
非常に軽妙なタッチで書かれた良書です。
ぜひご一読ください。
今回も読んでくださってありがとうございました。

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