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暮らしはもっと、多様でいい。人々の暮らしをめぐる8ヶ月間の旅を通して知ったこと (前編)

「やりたくないことをやっているわけではないけど、これがベストな毎日とも思えない。何かを変えないといけない⋯⋯。」

生活はできていても、ゆるやかに心が縮んでゆく感覚を僕はたしかに感じていた。

服のサイズやデザインが自分の身体や感覚に合わないと心地悪さを感じるのと同じで、僕は暮らしと自分が合っていないと直感した。

それまでの暮らし方に期限がやってきたのだと思う。

心から豊かだと感じられる暮らしとは?

そんな問いをぼんやり心に抱きながら、それまでいただいていた僕にとって大きな仕事や大好きだった鎌倉の家を手放した。
はっきりした計画も持たずに(今振り返ると、よくやったなそんなこと⋯と思う🤣)。

いわゆる、「失うものは何もない状態」になった僕は、解約手続きの済んだ部屋の中で自分の本心が何を求めているのかに毎日耳を澄ませた。

  • 何を食べたいのか?

  • どこに行きたいのか?

  • 何を観たいのか?

  • 何を読みたいのか?

  • 誰といたいのか?

  • 何を話したいのか?

身体が表現したがっていることは絵に描いたり、言葉にしたりして、なるべく表現した。

そのときに書いた謎の長老の絵(玉澤は友人の名前)
群馬に住む友人に会いに行って自然と戯れている様子
謎の絵 (2)
畑つきのシェアマンションプロジェクトを友人たちと立ち上げた
廃材や山の材料で作られた風変わりなレストランがある村にも行った

ピンときたドキュメンタリー映画も観まくった(『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』『美しき緑の星』『フード・インク』『100億人―私達は何を食べるのか?』『The Taste of Nature 世界で一番おいしいチョコレートの作り方』『365日のシンプルライフ』『地球にやさしい生活』『スーパーサイズ・ミー1&2』『1/4の奇跡~本当のことだから』『「SWITCH」~遺伝子が目覚める瞬間~』『スライヴ』『ヴァンダナ・シヴァのいのちの種を抱きしめて』『ジャック・フレスコ「Paradise or Oblivion(楽園か忘却か)」』『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』など。すべて心からおすすめ!)。

僕のルーツの香川まで足を運んだり、鎌倉に人を呼んで死生観を見つめ直すイベントを開いたり、実はちょっとだけ就職活動もした(うまくいかなかったけど、今思うとそれでよかった)。

僕の本心が小さな声で叫んでいたこと

1週間ほど経ったら、僕の本心は「五感が活きる暮らし」「自然との調和」「シンプルライフ」にあると気づいた。

そのときのメモ書きに、こんな詩も残している。
鎌倉のオーガニック商店で偶然見つけた言葉だった。

むかしに帰る。自然に還る。暮らしを変える。

かえる印のハーブ・プロテクト

そして、僕は一本の動画と運命的に出会う。

千葉県いすみ市にある築150年の古民家で農的暮らしをしてみませんか?」という古民家に2ヶ月間滞在してくれるボランティアスタッフを募集する動画だった。

東京アーバンパーマカルチャー創始者のソーヤー海くんとgreenz.jp 代表・編集長の鈴木菜央さんが始めた『パーマカルチャーと平和道場』という場所だ。

考えるよりも先に、応募していた。
そして、偶然友人がその古民家を運営する女の子と知り合いであることがわかり、とんとん拍子でコトが進んだ。

風土に根ざした暮らし、自分に根ざした暮らし

そこで体験したことは、すべてが、文字通りすべてが新しかった。
感動の連続だった。

薪を使って火を起こしたり、竹ナタを使って箸や器を作ったり(2日でカビた🦠)、苛性ソーダとエッセンシャルオイルを使って石鹸を作ったり、瓦と炭を使って墨汁をつくったり、1週間断食したり(最後らへん耳の脂肪が痩せて聞こえなくなった👂🙅)、うんちやおしっこを発酵させて堆肥にするコンポストトイレを日常的に使ったり、人生で初めて野グソをした。

ほぼ廃材で作ったロケットストーブ(上に鍋やフライパンを置いてコンロとして使う)
排泄物を1〜2年かけて発酵させるためのトイレステーション
なるべく土に帰る素材で作ったマンダラガーデン
NVC(非暴力コミュニケーション)の先生でもある海くんから実践的にNVCやパーマカルチャーのことを学べたのは大きな収穫だった
  • ゴミを極力出さない(自然界にゴミという概念はない)

  • 食材は自分たちでつくる(「身土不二」の精神)

  • モノが壊れたら修理する(消費者から創造者へ)

  • 雨や太陽のエネルギーを活かす(地球や宇宙の恵みに気づく)

そんな日本人が古来から受け継いできた自然と調和した暮らしの知恵を実践するだけでなく、あえてコミュニティで暮らすことで他者や自分自身とつながることを設計された場所だった。

僕は、なるべく身近で採れた旬のものをいただく豊かさ、そして、自分や相手の中にあるニーズや感情に意識を向けて暮らすことで見えてくる、より深い人間のあり様を知ったんだ。

・・・

「人間の暮らしって本来、田舎か都会かとかいう二元論では分けられなくて、多様であってしかるべきやんなぁ」とふと思い立って書き始めたこの記事も、結論づかないままに、なんだか前菜でお腹いっぱいになってきた感じがしている🥗(笑)

この記事は前編として、後編でそんな話ができたら嬉しいな。
また次回、お会いしましょう〜!(後編はこちらから)

P.S.noteでサークルを始めたよ🐓

僕たちが移住先と出会うまでの旅のプロセスをほぼリアルタイムで、一緒に愉しめるコンテンツをつくっているので、ご興味があったら見てみてね👋


noteを読んでくれてありがとう! 僕らしく、優しさのリレーをつなぐよ。