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2021年ヒット曲から薦めたいヴィジュアル系 -feat. Ado & YOASOBI-

私はV系を拠点としながら人並みに、いや人並み以上にJ-popを愛してます。

ふと2021年のヒット曲って結局なんだったろう?と思って
レコチョクを覗いてみました。

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ふむ、なるほど。これなら書けそうかな?

というわけでこちらの記事の第2弾。

「ヴィジュアル系が好き」というフィルターを通して聴いた2021J-POP
から連想するV系ソングをお届けします。


Adoの「うっせぇわ」に見る未成年の主張

一応楽曲としては2020年のものですが
後期に発表されてるのでネズミ算式に昨年も大ヒットを伸ばした、
といった感じなのかしら?

この動画は己龍というバンドのボーカルさんの歌ってみた。
すげぇ、まったく違和感ないや。


私のこの楽曲の印象は
令和版:黒夢の『少年』です。

若者の大人へ対する不信感、鬱憤。
そういったものを身近な理不尽から紐解きその精神性を問う内容は
当時黒夢が抱いていた、
音楽が爆発的に消費される業界への批判とよく似ています。

「ヴィジュアル系」と自ら発言するアーティストへの疑問、
借り物の知識でファッションリーダーを名乗る欺瞞、
本来芸術作品であるはずの楽曲が
カラオケという大衆娯楽へ成り下がったことへの不満、
その背景を惜しみもなく楽曲へ反映していたのがこの頃の黒夢の特徴。

それを目の前に敷かれた大人のレールから逸脱したい少年と重ねて
凶悪なシャウトとともに吐き捨てています。


その未成熟ゆえの危うさみたいなものは
弱冠19才にして日本武道館に立った
Raphaelの精神性とも似ているかもしれません。

ヴィジュアル系版未成年の主張。
未成年であるが故に、いえ、未成年であるからこその
大人へ対する憧れにも似た反発を儚さに例えて歌われています。

「うっせぇわ」の歌詞をクラシカルにまぶして耽美に合成したら
このような歌詞になるのかもしれません。

随分と詩的で、普通の人が聴いたら恥ずかしくなる歌詞ですが
このクセの強すぎる声で歌われるからこその芸術です。


同じくその若さでシーンに現れたVogus Image

〇年代版『少年』ともいえるこちらの曲。
バンド名に「子供の発想」と冠している通り、
少年性や青い思い出をフューチャーした楽曲が初期には多かったです。

また、上記のRaphaelと同様、ちょうど成人と子供の移り代わりに対する
葛藤みたいなものも歌詞によく現れていました。

ただ、ほんとはこの曲じゃなく、もっと「うっせぇわ」と親和性の高い
『Burst』のほう貼りたかったんですけどね↓

都合のいいモラルを超えて 僕は強くなったんだよ
バカげた仕事を終えて ベッドに入って眠りたい

一人きりでこの闇 もがき続けながら
今も過去もずっと僕をわかるやつなんていない


曲調は離れますが、もっと視界を広げたらWaiveのこちらも
大人を小馬鹿にしたような内容となっています。

まぁそもそもWaiveは
V系好きじゃない人に勧めやすいV系代表みたいなものですが。

今更さぁ大人がしてきた間違いの けつふきなんてマジでダルいや

超絶パワーワードです。
今まで正しいとされてきたことの過ちのツケが溜まりに溜まっての現状や
メディアの印象操作は昨今では暴かれている傾向にありますが
それでも古い考え方というのは根強いもので。

いいことと悪い事の取捨はなかなか大きな責任を伴う時代になりました。


YOASOBIの「夜に駆ける」に見る解放への憧憬

さすがにこっちを歌ってるV系はいなかったか……なのでまふまふで。

こちらはそんなにメッセージ性はなく、
どちらかと言えば物語性のほうが重視されヒットした楽曲だと思います。

一番に連想したのはJanne Da Arcの『Heaven』。

まぁ『夜に駈ける』とは違って
不治の病か何かで死の淵に瀕した主人公が
残された遺族へ向けて歌われた内容ですが
死というものに向き合って描かれる世界観という意味で似ています。

……とさらっと書いてるんですが
実はこのような解釈に辿り着いてる人は多くないようです。
チャラいPVと曲調にダマされてはいけません。笑

ジャンヌで自殺を連想させる楽曲はWINGのほうが強いですね。


『夜に駆ける』のストーリーに非常に近いのは
摩天楼オペラの『瑠璃色に描く虹』です。

もうそのまんまヴィジュアル系特有の言葉選びで紡がれた『夜に駆ける』。

思い出をたぐり寄せる度に今は亡き"あなた"への思いが募り、
最後には「同じ絵を描く」のです。
ジャケットからも夜であることが示唆されており、
間違いなく後追いしてるでしょう。

というか、V系を探せばこのような楽曲は枚挙にいとまがないので
特別に好きな曲だけにとどめておきますね。笑


共通点:ボカロっぽい

っぽい、というかボカロP出身な2曲ですが
その波は確実にV系にも流れ込んでいます。

①R指定

例えば彼ら。
蜉蝣や初期ガゼットの影響が色濃い彼らですが
同期と音符数で情報量を稼ぐ音作りと、それと相反して焦点の狭い歌詞が
ボカロとの親和性を高めます。


②ジン

打ち込み和風が目立つこちらは
米津玄師のボカロ曲を強烈に踏襲していると思わされます。

メンヘラ週漂う歌詞とタイトルはV系の専売特許だったのですが
なんだかいつの間にかボカロでも多く見られるようになりましたね。

黎明期はメタルに乗せて発表するボカロPが多かったのですが
おそらくじん(自然の敵P)台頭以降は
連続したストーリーの一つとして描かれてます。


③Jackman

上記2つはこの記事を書き始めてからなんとなく連想したものですが
このJackmanはかなりハマっていまして、
その理由がこの電子音多様の大胆編曲とクラシカルな音色選びです。

よく考えればこれってとてもボカロ的。
SEKAI NO OWARIでもいいけど。

ギター生音至上主義だったV系バンド界隈に於いて
徐々に同期音源が主流となっていった背景は、どっちが先かわかりませんが
とりあえずボカロ曲を生音だけで再現することは難しいでしょう。


④己龍

『うっせぇわ』を歌ってみたの己龍を忘れてました。

ほんとにこれ叩いてレコーディングしてるのかな?
と思うような暴走ドラムと打ち込み琴が降り注ぐ音楽性。

気持ち悪い声とヤンデレ具合がまさに昨今のV系、
と同時にボカロっぽいとも感じます。

ここはV系好き以外には薦められませんね。苦笑


Afterword

ほんとはベスト5くらい触れようとしたんですが、
意外と文字数食ってしまったので
今回はベスト2くらいにとどめておきます。

というか米津玄師といいまふまふといい
ボカロ系の台頭が目覚ましいですね。

ごくごく初期を知る身としては嬉しいような気恥ずかしいような。

もしこの2曲が好きな人が居たら
黎明期のボカロ曲もぜひ聴いてみてくださいな。

V系好きにはnatsuPとかマチゲリータPをお勧めしておきます。

次はもっとちゃんとJ-popしたアーティストにフューチャーしてみますかね。(いつかやるとは言ってない)


最後まで長文お読みいただき誠にありがとうございました。 つっこみどころを残してあるはずなので 些細なことでもコメント残してくれると嬉しいです!