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プロスポーツ事業のトップに従事してみて(1/3)

ーINDEXー
■指揮命令系統の常識/権限と責任
■トップがこだわるべき「勝負」として大事なこと
※以下順次公開いたします
■指導者との関わり方
■選手に求めること
■フロント強化部へ求めること
■お客様に対して


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 「試合終わってお客さんがいなくなった後、ピッチサイドのコーチングベンチ、思いっきり蹴り上げてましたよね、アレなんだったんすか?」……マズいとこをメディアさんに見られてしまった……昨晩見た夢でした。試合に負けたことよりも腰の引けた試合を見せてしまったことに腹を立てていたんだと思います。社長を退任して半年以上も経った今でもそんな夢を見るなんて、つくづく因果な商売をして来たんだなと、夢から覚めて深いため息を一息ついてしまいました。

 そう言えばこのコラム、スポーツビジネス面でもどちらかと言うと経営や社会ものばかりで、あまりスポーツサイドのお話をしていませんでしたね。ストレスの溜まる生々しいことを思い出してしまうので自然と避けて来たのかもしれないですね。今回は意を決して会社トップとしてスポーツの現場とどう対峙してきたかについて書こうかなと思います。また、私はこの19年、現場との関わりについて一切の教育も受けていませんし、本類での勉強もしていません。全ては自らの体験、その時の指導者や選手、フロント強化部との関わり合いを通じて学んだことの集積ですので、内容の正否、賛否は読んでいる皆さんが各々で判断していただければと思います。

■指揮命令系統の常識/権限と責任

 スポーツに限らず、おおよそ組織が効率的にその使命を果たすには、はっきりとして分かりやすい目標、具体的な手段、見かえり(報酬や懲罰等)が提示されなければなりません。そしてことプロスポーツの現場は、終身雇用ではなく、有期限雇用の個人事業主の集団ですので、そこがぼやけてしまうと組織がうまく機能しないばかりか、フロント不信を招きかねませんので、よくよく慎重に設定し、滅多なことでブラしてはいけません。これはスポーツの現場と対峙する一丁目一番地です。

 そして、プロスポーツに於けるその目標は、一重に「お客様に喜んでいただく」こと、すなわち「勝つ」ことに尽きます。その上で「どう勝てばお客様がより喜んでいただけるか」「勝てなくてもどう戦えばご納得いただけるか」そしてそれを「継続する」に収斂されるでしょう。ここまでは誰も異論はないと思います。それではこの目標や手段をどう達成していけば良いのか、ここがプロスポーツ業界では特に気を配るべきところです。

 私が一番気を配ってきたのは、目標達成に必要な指揮命令系統の在り方です。それはそれぞれのポジションで問われるべき「権限と責任」が適切に機能しているかということです。十分な権限なく全責任を負わされるところに優秀なトップは決して来ないでしょう。また、権限ばかりを振り回し責任を負わないトップの下に優秀なスタッフは集まらないものです。これは指揮命令系統上の鉄則であり、決して忘れてはなりません。スポーツの現場で例えるならば、監督に戦術や選手起用等々、監督の権限に関わることについて、アドバイスはしても構いませんが指示をしてはいけないと思っています。 また、スタッフに「やってみろ」と言ったからには、その全責任はトップが負うということです。そうした指揮命令系統上の常識をもって、社長、GM、強化部、監督、コーチ、選手はリンケージされなければ良い結果は生まれないでしょう。よく言われる上司が複数いるような「ダブルヘッド」状態で各々が違った指示を出したりすることも現場が混乱しますので厳禁です。プロスポーツの現場ではともすると、こうした歪んだ指揮命令系統に陥ることがままありますので、よくよくアラートしておくべきでしょう。

 そうしたことを頭に入れながら、トップとして現場に割ける投資規模や、その範囲の中でお客様の満足に資する競技の型、強化ブレーン、コーチング体制、チーム編成を、強化部の提案を受けながら決め、それらに責任を持たねばなりません。例えその競技に精通していなくとも、一旦承認したからには実行するスタッフ達を信頼し、そして代表して対外的な責任を負うことが筋と強い信念を持たねば、組織として良い結果を残すことは出来ないでしょう。それが過去来、私が学んだ指揮命令系統に於ける一番の教訓です。

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■トップがこだわるべき「勝負」として大事なこと

 前述したようにプロスポーツ事業は、先ず「勝つ」こと、そしてその勝ち方、納得のいく負け方(good loser )、そしてその継続性、にその目標を置いています。勝つためには様々なアプローチの仕方があって然るべきですし、それはそれぞれの競技を専門的にやってきたスペシャリストに定義してもらえば良いと思っています。但し、トップとして、そうしたスペシャリストに対して必ず示さねばならない指針があります。それはお客様がご満足いただける上での勝負事に関する最低限の条件です。

 私の場合、
①競技時間中は全力で走り切る
②目の前の敵に気持ちで絶対に負けない
③最後まで絶対に諦めない
④継続性を担保するために自分達の型を持つ
の4つはトップとして絶対譲れないものです。この4つはかつて在籍した横浜マリノスや湘南ベルマーレで、何人かの指導者やコーチ、選手達との仕事を通じて学んだものです。一例として、かつてリーグ優勝した際に、「1対1で絶対負けない強い気持ちの前では、戦術なんてのは屁のつっぱりにもならない」と言ってのけた監督がいました。それだけ「強い気持ち」は勝つ上で大事なことだということです。確かにそのシーズンは、最後まで勝負を諦めずに戦い、負けのゲームを引き分けに、劣勢のゲームを終了間際でひっくり返したりの連続でした。シーズン最終戦も最後の最後で勝利し優勝を決めましたが、それはピッチ上の選手ばかりでなく、フィールドにいた全員が「強い気持ちを持って最後まで諦めなかった」結果であり、その気迫がお客様のハートを揺さぶったものでした。その光景を目の当たりにして、私は前述の4つが今でもトップとしての揺るぎない現場へのこだわりとなっています。

 ですので、トップとして勝負の良否を診る時に、必ず前述4つのこだわりを必須としつつ、その達成度を見た上で、
①自分達の型で勝つ
②相手の良さを潰して勝つ
③自分達の型を貫いて負ける
④自分達の型も貫けずに負ける
に類別します。③迄は概ねOKとしますが、④が続いた時は問題とします。何故ならそれは4つのこだわりが欠けた結果と経験上学んだことだからです。その時は、「競技者側の問題、コーチングスタッフ側の問題、或いは双方を人選した組織(人)の問題」を詳かにしていく作業の着手に速やかに入ります。

続く


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(株)スポーツBiz マネジメントの左伴繁雄です。 横浜マリノス、湘南ベルマーレ、清水エスパルスでの経験を活かしたスポーツビジネスコンサルタントです。現在は、プロバスケットボールのベルテックス静岡、二輪レースチームのS-Sports のサポートをしています。宜しくお願い致します。

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