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意外なれどサプライズはない 2024J1第4節 vs北海道コンサドーレ札幌【FC町田ゼルビア】

こんにちわこんばんわひだりです。

試合当日は自宅テレビの前で、2番ユニ着て、2番タオマフ巻いて応援していました。おっくん、J1初出場、本当におめでとう。

遅出しとなりましたが、アウェイ北海道コンサドーレ札幌戦レビューです。


Jリーグ公式サイトより引用

前半

町田にとっては攻撃時244←→守備時442でせわしなく攻めに出て、後ろに戻りを度々繰り返す、ネガトラ時の帰陣への意識をいつにも増して優先する45分だった。

攻守のフローはおおよそ以下の通り。

  1. 442自陣守備ブロック形成できたらFWが誘導プレス開始

  2. サイドバックもボールの動き見て上がって244で中盤で奪い切る網を張る

  3. 前線プレスと柴戸、仙頭を中心に1.5-2列目でボール奪取or札幌側に打たせたボールは2センターバック中心で回収

  4. 奪取時244の体制から片サイド攻め上がり前進orロングボールでオセフンor裏の模索

  5. ボールを奪われたら帰陣して442ブロックを形成(1に戻る)

ポイントになったのはCBによるラインコントロール。2.FWが誘導プレスをかける工程では最終ラインも高めに取りアタッカー側・ディフェンダー側双方からの圧を中盤にかけていく。

札幌前線の鈴木武蔵にボールが入ると、その瞬間ドレシェビッチまたはミンギュ両CBどちらが即座に距離を詰めハードなコンタクトを何度も試み、もうひとりは奥でゴール方向を塞ぎ、抜け出されたタイミングに備えた。

個人的には黒田サッカーで目下よく言われる「自陣でのリスクを徹底的に排除する」姿勢が、今シーズン4戦の中では最も濃い前半だったように見えた。
特に前半は札幌の選手全員がフレッシュ状態であることも考慮して、攻撃も深追いしすぎず(やりきれず、でもある)オセフンのポストプレイ、平河・藤本の突破を活かしたサイドアタックなどシンプルなものが中心だった。

黒田監督インタビューにもあった通り、後半60分以降の札幌のペースが落ちてくるタイミングで勝負に持ち込む狙いが選手にしっかり伝わっていたと思う。
その一方で、慌てず急がず集中してそれを実行できたのは、今季ここまでの結果で選手が持ち得た自信のあらわれだろう。

札幌によるあの手この手のチャレンジ

札幌も

  • 鈴木武蔵がボールを収めてサイドや縦にはたいて展開

  • CMFとWBがレーン入れ替えながらのアタック

  • 町田244時のサイド裏狙いロングボール

  • ゴールエリア幅の4人埋めで町田守備陣ピン留めしての前進

など、多様な手で町田守備ブロックに揺さぶりをかける。
必ずしもワンパターンではなく、いろいろな仕掛け方が標準実装されているのはさすが。

  • 前半12分 札幌・田中宏武の大きなサイドチェンジが右SB鈴木準弥の頭上を越え裏を取られ、札幌スパチョーク・菅の連動で裏を取られかけたシーン

  • 前半34分 札幌スパチョークに反転からスピードに乗ったドリブル前進を許したシーン

などヒヤリとしたシーンはいくつか見られた。
両方スパチョーク絡みのシーンなんですよね。チャレンジを厭わない、アグレッシブな良い選手だった。

藤本起用シフトへのチャレンジと馴化

特に序盤は藤本が攻守でチームでの守備、ボール展開ロジックとわずかなズレがあった。何度かのピンチや攻撃機会逸につながっており、前節鹿島戦途中での配置変更と同様、現状では平河とポジション入れ替えて起用せざるを得ない理由はあった。

ただ前半も時間の経過とともに、藤本のボール保持も安定し、大分でも良く見せていたピッチ4/1幅をゴリゴリ突破で縦に打開するスキルが発動して可能性を見せた。

個での打開が純粋なWGというよりゴールに向かって仕掛けるストライカー寄りのキャラクターなので、平河やバイロンを軸とした昨季からのゼルビアのウィング起用とは少し色が変わってくる。

現状では周囲のサポートの仕方が確立しておらず単騎進行がやや目立つが印象だが、本来は周囲の近すぎず離れすぎずの選手配置があってより生きるタイプの選手だとは思う。大分では野村や上戎がこなしていたようなボールサイドの絡み。荒木とか合いそうな気がするけど、どうだろう。

バイロン代替というより本来はエリキ代替の選手なのかも。だとすれば藤本が自ら自分起点で周りを利用できるようになるとかなり危険なプレイヤーになれそう。

らしさとらしくなさ一定受け入れたバタバタ前半

それでもピッチ中央で出足の良い柴戸/オセフン・藤尾・平河のプレスバックで制限をかけ、札幌側の意図したビルドアップで押し込まれる状況はほぼ作らせなかった。

自陣と敵陣の往復応酬は想定通りでもありある程度受け入れつつも、ほぼほぼ悪くない守備の形で前半を終えた。

後半

後半開始早々から、ハイボールでオセフン落とし、ゴール前で藤尾が詰める狙いは見せていた。それがそのままの形で結実する。

52分、札幌 田中ひろむの鈴木武蔵へのパスのズレを奪い取った仙頭がそのまま右サイドへ。平河と2対2の形でパス交換から、DFの頭を越える浮き玉パス、うまく収めた平河がふわりとした軌道のハイクロス、オセフンがバイタルエリアに落としたボールを藤尾が難しい体勢からうまく決め切った。

得点が認められた後のゲーム再開後、最初の攻撃もオセフン落とし→藤尾シュートの形だったりするので、本当に練習していた狙いなのだと伝わってくる。

「ファー→中」から「中→ファー」の2点目

度々見せていた「ファーでオセフン→落とした中央に藤尾」の形が伏線になっていたのか。
65分、「中央チャンミンギュでファーすらし→ドレシェビッチの強烈なヘディング」の流れでコーナーキックから得点に成功。
ファーから中央/中央からファーと目線としては逆の流れで、ボールウォッチャーになりやすい性質がある札幌守備陣にはいくらか揺さぶりになったかも。
チャンミンギュのすらしは意図したものではなさそうですが、流れ弾もあり得る前提で、ファーにきちんとドレシェビッチが入ってくるよう仕込めていた成果とも言える。結果的に良いデザインといった風合いのゴールだった。

札幌2失点後には浅野雄也に代わり、今年の高校選手権でも話題になった名古屋高校から加入した高卒ルーキー・原康介を投入。
後から見なおしてみると、投入直後から縦への推進力を見せており、以後の得点の気配を漂わせていたことがわかる。

精彩を欠いたデュークのプレイ

75分、町田オセフンに代えてミッチェルデューク投入。
この日のデュークはあまり走れていなかった。というより、点を取りたい気持ちが前に出過ぎていたか、前に張って漂う時間が多く、プレスバックで札幌側のパス展開の選択肢を消す部分であまり効果的なプレイができていなかった。

デュークのプレスワークが単発的で、札幌の2列目ボール保持に一瞬の余裕を与える一因になっており、2失点目のタイミングは左サイド高めでボールを収めることを企図しつつも、動き直しができておらず、札幌の攻撃・町田の守備に関与しようのない位置で待つうちに失点へとつながった。(もちろんデューク自身、投入時に高い位置でボールを収める指示を受けただろうから、間違いとまでは言いづらいのだが。)

チームでの現状もありメンタル的にもゲーム勘的にも厳しかった点は容易に想像つくが、藤尾はじめスタメン組の疲労の影響も大きな時間帯だからこそ走ってほしかった。マジで元気なかったから、そもそも怪我とかしてないよね…?

次は代表戦後の戦列復帰となり、また難しさがあるだろうが、ピッチに立つデュークの活躍が見たいからこそ、スタメン・サブの状況問わずチームにエネルギーを注入できる姿を見せてほしい。

最終盤おっくん投入は守りきれのサイン

前プレ規制が一切かからなくなり、札幌に中央でサイドで揺さぶられ続ける町田。
半分計算通り半分たまらず前プレ守備から転換の決断。失点後の88分に安井・昌子・奥山を投入し、ロスタイムへ突入。ロスタイムは8分。

おっくんJ1初出場おめでとうを祝うサポたちの声に和む間もなく541の跳ね返し体制で耐えに耐える。クリアボールを平河尖兵に追いかけたり、谷が良いタイミングでキャッチしたりして時間を使う。
ひどい話だが、こういう殴られ放題な局面こそすごく「俺たちの町田ゼルビア」って感じがして楽しい。相馬時代からのレガシー。必死。

94分仙頭に代わり下田北斗を投入、敵陣コーナーエリアでの鹿島りに昌子が加わり本家に近い鹿島りフォームを見せ、下田昌子の鹿島りが解けた瞬間に試合終了。おつかれさまでした。

総括

広島引き分け、柏敗戦の結果によりFC町田ゼルビア初J1首位での中断期間入り。

jリーグ公式サイトより引用

ここまで4節、チーム総体のスピード・強度を引き上げることで、J2時代、特に去年のリーグ序盤戦に近いシンプルスタイルを押し通せている。

正直、この系統のスタイルで、J1でもここまでの結果出るのはちょっと意外な感もある。昨シーズン終盤に見せていたサッカーでは、より違う色を見せてもいたので。シーズン序盤だからこそやることシンプルにした方が、結果として選手も深く考え過ぎず出力大きく引き出せる、みたいな部分もあるのかなとも思います。対戦相手にやり方模索中のチームが多い時期であることも鑑みれば余計。

「やるべきことを徹底して」「勝てるように試合すれば勝てる」こと自体は自明なので、意外なのは結果ではなくあくまで「このやり方でJ1でも勝てるんだ」という部分。
今年もやることはきっちりやるを欠かさないチームにできているので、現状の結果は意外だけどメディアに取り上げられる程のサプライズとはさして感じないくらいが、昨シーズンを見ていたゼルビアサポの方にとっては割とリアルに近い感覚なんじゃないかなという気がします。

このやり方が効いてくれている間は基本、いまと近い戦い方を続けるのでしょうが、ここから

  • 怪我人の発生と復帰

  • 夏に向けての気温変化

  • 平河・藤尾のU23代表離脱

  • 相手の町田対策

などの変化要因があって、それは、そのままチームの進化要因になります。(進化要因にできないと負けるだけ、、、。)

少しずつ「バージョン2」に向けた準備がすでに開始していることは、コンサドーレ戦ベンチメンバーの顔ぶれを見ても少し感じますし、ひきつづき、楽しんで見守っていきたいと思います。

もう記事動画いっぱいあるので、これは特に読んどけ的なやつだけ最後に並べておきます。

KENTA FCさんに頂いたゼルサポ評 \相当の変態/


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