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生きる力は家庭科にあり②~待ち針編~

今週から3週連続で月曜日と火曜日の1時間目から4時間目まで小学校でミシンボランティアに参加しています。緊急事態宣言中は学校のお手伝いが中止になり、学校の様子が伺えませんでした。目の前に、すぐそこにある小学校ですが、フェンス越しに見えるのは校舎だけで校内の様子は伺うことができませんでした。


子どもたちのために時間をつくる

8時半から12時40分まで休み時間があるようでない2時間続きの家庭科の実習。ミシンボランティアだけど家庭科の実習のフォローをしています。

高学年になると担任の先生ではなく家庭科を担当する先生がいて、授業が展開されています。中学校のように音楽の担当の先生がいたり家庭科だけを教える先生が存在しています。

先生の説明では、①裾にしるしをつける。②脇を縫う。③待ち針の順番。④しつけは1本どり。⑤しつけのなみ縫いは指2本分。⑥ミシンをかける時は始めと終わりは返し縫をする。という説明を駆け足で進めていました。

2時間でここまでやりたいキモチなんだってことが凄く伝わってきました。

しかし子どもたちは、待ち針を布の上から指すのか下から指すのかすらわからないから待ち針を指すことができないのが現状でした。

黒板の説明では順番がわかる。いざ自分の手元にあるエプロンを目の前にすると待ち針を指すことができなくなり、順番は自己流でどこに待ち針を指すのかさえ分からないので布が固定されずただ針が刺さっている子がたくさんいました。

わからないまま進んでいくことになるからめんどくさくなる。

黒板に書かれたことをノートに写す授業とは違い、教科書やワークの問題を解いていく作業とも違います。

内容を理解して実際に作業をする科目で、やっと作業に慣れてきたところで終了になってしまう。

待ち針の指し方も待ち針を指す順番もしつけのやり方もミシンの使い方もケガをしないように見守りながら。

瞬時に真似をしてマスターしてしまう子もいれば、意思の疎通すら面倒臭くて全く反応しない子も言えば、やたら喋って作業をしない子もいたりでといろんな子供たちの姿を見ながら濃厚な時間を過ごしています。


小学校の家庭科で・・・

小学校の家庭科で皆さんはどんな作品を作ったか覚えていますか。

私は小学5年生でエプロンを、6年生でナップザックを作りました。あの時は何が何だかわからずに説明書と格闘しながら作品をつくることが精一杯でした。高校の家庭科でもエプロンを作りました。年々難易度が優しくなっているように感じますが、いつの時代も変わらないのは三つ折りにしてアイロンをかけて待ち針をうち、しつけをしてからミシンをかける作業はずっと変わっていません。

今回は裁縫セットに必ずセットになっている、まち針について迫りました。知っている人も忘れかけた人も少しだけまち針に注目してみてください。


まち針はどこにさすの?

布の上?それとも下から?

ほとんどの子供たちが布の下から指していましたよ。布をしっかり押さえないから勢いで指に針が刺さってしまうケースが非常に多く見られました。
右手でまち針を持ったなら左手で布をしっかり固定する必要があります。布を固定するというのは、左で親指が布の上にくるように布を挟んで固定する必要があります。布がずれないようにしっかりと抑えないと誤って指に刺してしまうんです。そうなると痛くなって、嫌な気持ちになって
挙げ句の果てにやりたくなくなってしまうのです。ネガティヴの連鎖になっていることを感じまさ。(私はうっかりさしてしまうこともありますが、痛い〜って認めて刺した部分をみてなめて様子をみてから作業に戻ります)


では、ここでクイズ~!!
【まち針を指す順番は?】

三つ折りにしたものにまち針を刺す時、どこから固定させるか、覚えてますか?

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好きなところから指して、いいというわけではないんです。

答えはこのまち針の特徴の下にあります。


裁縫セットに入っているまち針は、和裁用が主流です。

針が長く頭が平たく花のような形をしているのは和裁用です。

正確な理由はわかりませんが子どもが使いやすいから。転がりにくいから。目立つため紛失しにくく名前が書きやすいからかなと思っています。

和裁用のまち針の特徴は、針が長いので布を何枚も仮止めすることができ、生地がすれにくくなります。頭が大きいので生地に埋もれにくく目立ちやすい。たたんでもがさばらない。頭が平らなのでアイロンがかけやすいのです。

ちなみに洋裁用の待ち針の特徴は、針が短くて頭が丸いビーズのような形をしています。長さや太さなど用途に応じて種類が多くあります。針が短いので立体裁断でも取り扱いやすく、頭が丸いので目印にもなります。頭がガラス製のものなどは耐熱性に優れているのでアイロンをかけても溶けずにそのまま使うことができるものもあります。


↓ これが洋裁用の待ち針です。

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さぁ~て、まちばりを打つ順番は思い出せたでしょうか。



正解はこちらです♪♪♪♪♪

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左端が1番目とした時、2番目が右端。1番目と2番目の真ん中に3番目。1番目と3番目の間に4番目がきて、3番目と2番目の間に5番目がきます。


布を裁断した部分がほつれないように三つ折りをして
アイロンをかけて待ち針をうち、
しつけをしてからミシンで端ミシンをかける作業、
これこそが今週の家庭科の実習のねらいでした。

エプロンのわきの部分(左右)をミシンで縫うまでの作業がなかなかの難所でした。

待ち針が打てない、
しつけができない、
ミシンが動かないなど
あちらこちらのヘルプを聞きながら。
ちょっとしたことを褒めて、やる気に繋げることが家庭科を楽しむポイントだと思いました。


世界でたったひとつのエプロン

出来上がりが楽しみになるエプロン。

使う時の気持ちを想像して作ることができたらいいなぁと思い、少しだけエプロンを作ることが楽しみになるおまじないをかけてみました。

作らなければならないから作っている子がほとんどでだから、どうしてもめんどくさいのとミシンの調子が悪くてイライラする子が目立ちました。

6年生になったら給食の時や調理実習、中学校の給食の時間につかうことになるエプロンだよーって伝えたら、

【めんどくせ~】って叫んでいた子たちの目つきが変わり、【次どうやるんですか?】【ここまで終わったらどうするんですか?】【この部分がわからないので教えてください】と、自分から話しかけてくれる子が増えました。

針に糸を通して玉結びができるとおおよそのことが自分でできるようになります。雑巾を縫ったり、マスクを縫ったり、ボタンを付けることもできるようになります。

生きているとちょっとしたアクシデントがつきものですが、やりかたさえ知っていたらきっと楽しく過ごせると思うのです。

今回の実習では、自分で作った思い出のエプロンで学校生活が楽しくなったらうれしいよなーって。自分が小学校の時には思いもしなかった気持ちです。長女のミシンボランティアを2年やり、次女のミシンボランティアをやっている最中に感じた気持ちです。

たかが待ち針、されど待ち針

正しい待ち針のさし方と順番で作品がきれいに仕上がります。

一つ一つの作業をクリアして作品がきれいに整っていることと同じように。何回洗濯してもほつれないように。あの時の実習がいい思い出になっていたらいいなぁ〜と。

布は素材で、アイロンや待ち針を正しく使うことは調理器具を安全に使うことと似ています。
しつけをすることは素材の下茹でと似ていて、ミシンをかけることは味付けをすることと似ています。

物を作る過程を知ることで当たり前だと思っていたことに感謝したり感動するきっかけにつながったら生きていることが楽しくなると思います。

ただの布がエプロンとして使うことができることは、ただの粉がパンになって食べることができることと似ているような気がして。

まち針の種類と特徴とさし方と作品が出来上がっていく過程を自分で体験しながら完成させていく。知ってる人や教科書を読んで学ぶ知識とは違って、全て経験として積み重なっていきます。
遠い記憶になっても、初めて自分で作り上げた世界でひとつのエプロンは輝かしい存在になっていることでしょう。


裁縫セットのまち針さん。

トゲが刺さった時にもお世話になるまち針さん。


できれば痛くならずに使いこなしたいものですね。



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