至上の現在

〝あの頃はよかった〟
そう思うことはない。

かといって。

楽しかった思い出が
ないわけではない。

半世紀も生きてくれば
自叙伝も第5章ほどにもなろう。

そして。

それぞれの章には
それぞれのトピックがあり
それぞれに楽しかった思い出がある。

…そして。

それぞれの章の終わりには
それぞれの痛みや哀しみがあった。

未熟だった頃の記憶ほど
強い痛みと感情が
セットになっている。

過去を振り返らない思考回路が
構築されたことは
ごくごく自然なことであろう。

身軽だったころの自分

先日のこと。

田舎の母より
幼馴染みが会いたいと
連絡をくれた、と。

まったく気が進まなかったが
けっきょくLINEで繋がった。

幼稚園前からの幼馴染み。
上京後も帰省したときに
2度ほど会っている。

気立てがよく優しい
面倒見のよい子だ。

だがしかし。
今さら会って何を話すのだ?

田舎にいた頃のことは
思い出したくない。

上京してからのことを
逐一話して聞かせるのも
面倒くさい。

何より。
思い出したくないのだ。

ここで冒頭に戻る。

学校生活にだって
キラッとした時間はあった。

上京してからだって
ワイワイ楽しい時間もあった。

なのに。

思い出してみても
すべてが白黒なのだ。

ここ数年で〝生きる〟とは?
自問することが多くなった。

思い出したくない
過去の経験があってのこの自分。

そこを否定することはないが。

自分にとって
過去=消化済みの時間。

‪✕‬ 印で消された
カレンダーの昨日。

今は。

ゴールテープを切るために
毎日を生きている。

もちろんそれまでに
やってみたいことは
ちゃんとある。

出来るかぎり
楽しく穏やかに
生きたいとも思っている。

人にはそれぞれ
人生観があるだろう。

自分にとってそれは
〝至上の現在〟

今この瞬間が
どんな状況でも。

今この瞬間が
いちばん大事で最良。

幼馴染みには
昔話はしたくないこと。
繋がることに消極的なことを
正直に伝えた。

そんなことは関係ない。
ただ会いたいだけ…と返答された。

小さなころから知っているけど
新しい友だち。

どう育っていくのだろう。

とりあえず。
今日は昨日になる。

この記事が参加している募集

#今こんな気分

76,871件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?