会社で仮想通貨(暗号資産)を取得した場合の会計処理と税務上の取扱い解説
今年のビットコイン急落で、テスラは4~6月期に2300万ドル(約25億円)の減損損失を計上した。
テスラは仮想通貨を「無形資産」として保有しており、会計規則では、資産の価格がコストベースを下回った場合、減損損失を計上する必要があるとのこと。
さて、テスラは無形資産として減損部分について減損損失を計上するに至ったが、日本では会社が保有している仮想通貨(今は暗号資産という名称に変わったが)について、どのような会計処理が求められているのだろうか?
実は過去に肥田木会計事務所ホームページ記事で会社保有の仮想通貨の会計税務処理について解説したことがあるのだが、その後に法人税法上の取扱いが変わっているので、今回は「会社で仮想通貨(暗号資産)を取得した場合の会計処理と税務上の取扱い」についてアップグレード解説していく。
なお、この記事は、2018年2月18日の肥田木会計事務所ホームページ記事をアップグレードして掲載したものである。最後に、追加のアップグレード情報も記載しているので、併せて読んでいただきたい。
(2018年2月18日)仮想通貨は、法人税確定申告では期末時に評価損益を計上?
仮想通貨元年といわれた2017年は、個人のみならず法人が仮想通貨を保有するケースも急増しました。
実務では、期末時点で保有する仮想通貨について、売買目的有価証券などと同様に税務上時価評価損益を認識する必要があるのか疑問をを持たれてることもあるかもしれませんが、現行の法人税法上,期末時点で時価評価はしないことを確認したと「税務通信」で示されましたので、結論のみ紹介します。
仮想通貨は期末時に評価替えせず
法人税法では、短期売買商品や売買目的有価証券などの資産について、期末時点で時価評価し評価損益を認識するとしています。時価評価が要される資産は、法令上で限定列挙されており仮想通貨はこれに当たりません。したがって、価格の変動等を利用して利益を得るなど投機目的で仮想通貨を保有している場合であっても,税務上は期末に時価評価せず含み損益も認識しません。
この点、仮想通貨に係る会計基準に則り、期末に市場価格に基づく価額をもって仮想通貨の貸借対照表価額とし帳簿価額との差額を当期の損益として計上した場合には、法人税の所得計算上、評価損益について申告調整で自己否認をすることになります。
~以下、追加アップグレード情報~(2021年7月30日)
実は、暗号資産に係る経理処理について、『令和元年度税制改正』により法人税については以下のことが取り決められた。
① 法人が暗号資産の譲渡をした場合の譲渡損益については、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上する。
② 暗号資産の譲渡に係る原価の額を計算する場合における一単位当たりの帳簿価額の算出方法を移動平均法又は総平均法による原価法とし、法定算出方法を移動平均法による原価法とする。
③ 法人が事業年度末に有する暗号資産のうち、活発な市場が存在する暗号資産については、時価評価により評価損益を計上する。
会計上、法人が事業年度終了のときに市場暗号資産を保有する場合には、時価法により期末評価することとされていることを踏まえ、税務上も同様の取扱いをすることとされた。
④ 法人が事業年度末に有する未決済の暗号資産の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上する。
ちなみに、『平成29年度の税制改正』により、消費税は平成29年7月1日から非課税となっている。ただし、暗号資産交換業者に対して取引の仲介料として支払う手数料は、仲介に係る役務の提供の対価に該当し、消費税の課税対象となる。さらに、個人が、ビットコインを使用することにより利益が生じた場合は原則として雑所得になることが明らかになった。
また、「暗号資産の仕訳処理」としては以下のとおりとなる。
【取得時】 資産(暗号資産)××× / 現金 ×××
【期末時】 資産(暗号資産)××× / 評価損益 ×××
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?