【プログラムノート】ピアノソナタ第2番 <クリスマス・ソング>
Piano Sonata No.2 <Christmas Song>
Ⅰ Swing 2/2
Ⅱ Adagio 6/8
Ⅲ Presto risoluto 5/4
※本記事は、私のYouTubeチャンネルでの企画『THE・ウェブコンサートVol.1』のためのものです。
※本記事は「プログラムノート」であり、必ずしも作品の具体的解説を含みません。専らフレーバーテキストや余談のケースもあります。
「ソナタ」を知らない人向け・文章
曲目としてのソナタは、「定番の器楽(組)曲の一つ」と思って下さい。
曲の構造の分類名として「ソナタ形式(sonata form)」という語もあり、ご迷惑をおかけしております。
「ソナタ形式」については、「本日の料理の素材はコレとコレです」と、最初に宣言してからフルコースを出す料理人、…をイメージして下さい。
◆
素材を「鮭」と「チーズ」だとしましょう。
最初にサーモンのお刺身と、まんまのチーズを順に出す。
それから鮭とチーズを多彩に使った料理を色々と出していく…というフルコースがある程度 決まっておりまして、
「最初に提示した素材の味を、そこからどう活かして一曲にするか」という所が見所の、まぁもう廃れた楽曲形式の一つでございます。
◆
「クリスマス・ソング」は、この組曲のあだ名です。
「ピアノソナタ第2番」じゃ、増えてきたらどの曲か思い出し辛いじゃないですか。あだ名ついてたら覚えやすい。
「ソナタ」を多少知る人向け・文章
現代の日本に生まれた私達にとって、海の向こうの過去の流行である「ソナタ形式」を見て面白い所は、曲の各部分について「サビ」&「サビ以外」という分類がしっくり来ない、という所だと思います。
「曲の肝要な部分」という意味合いでは、2つの “主題” が何より大事なパーツなのですが、これら、歌モノで言うAメロみたいなタイミングで一通り出し尽くしてしまう("提示部")んですね。
一方「一番 盛り上がるセクション」という意味では “展開部” がサビのテンションを持つと言えそうですが、他方で “展開部” というセクションは曲中で一番「不安定」な性質、「緊張(↔弛緩)」もしくは「未解決感」の鬱積を担わされることが好まれます。Bメロでしょうか?
盛り上がりも、起承転結もあるのに、「サビ」と呼べそうな箇所が無い。
「サビ」「それ以外」という二分の観念が綺麗に通用しないような空間内でも、「曲は曲らしく形を取る」のだと言われると、どんな文化のギャップなのか、ちょっと聴いてみたくなりませんか。
第4楽章について ――私とソナタ形式、欠番の第1番
本ピアノソナタは、楽譜には実質、第1~3楽章の譜面しか載っておらず、「もしフィナーレ楽章が欲しかったら、op.10『雨は音楽じゃない』をそのまま弾いて下さい。」という指示だけが、最終ページに載っています。
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