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一介の漫画オタクが月刊誌で連載してみた打ち切り考察

はじめに

 ジャンプSQ.という月刊誌で『有限世界のアインソフ』という漫画を描いていた、日高十三男という者です。これが初めての連載で、世の多くの漫画がそうなるように、打ち切りになりました。全11話なので、まあ短かったですね。商業作品である以上、仕方のないことですし、総じて自分の力量不足だったなぁとも思うので、めっちゃ悔しいですが、特に恨みはないです。

こんな漫画を描いていたよ(^ω^)
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 ただ、連載を始めるまでにやっておけば良かったなぁと思うこともあったので、漫画家志望の方(特にジャンプSQ.という雑誌で連載を目指している方)に、私の経験が少しでも参考になればと思ってこの文章を打っています。あと、別に漫画を描かない方にも、打ち切りを食らうタイミングとか知ってもらえたらいいかなぁと思って……(ツイッターなどでは既出の情報ですが)。
 それから、『アインソフ』を応援して下さった方への感謝の気持ちも、どうにか伝わればと(あまりにもビッグ感謝ゆえ、言葉では表しきれない思いなのですが、何とか言葉にしてみました)。とっても長文ですが、興味のある方はどうぞ。

(※2024年1月時点での話なので、その後の情勢によっては、ここに書いたことは当てにならなくなるかもしれません。雑誌の潮目も、いつの間にか変わってたりします)


1.打ち切りが決まったタイミング

 まず、『アインソフ』の打ち切りが決まったタイミングなんですが、1巻が発売してから、大体3週間後でした。爆速ですね。本誌で掲載された話数としては、4話分で、打ち切りが決定しました。よくある3巻打ち切りを経験している漫画家の方からすれば常識なのかもしれませんが、私はアシスタント経験なども一切なく、まじで何も知らないまま漫画家になった人間なので、あまりの早さにビビり散らかしました(1巻発売後のオリコンとか見て、売れてねぇな~ヤベェな~とは思ってましたが)。
 打ち切りの理由としては当然、1巻の売り上げがよろしくなかったから……というのもありますが、担当編集さんの話によると、その時の連載会議で新連載が複数決まったから、という事情もあるそうです(さらにそれ以前の連載会議でも複数の新連載が決まっていて、すでに誌面がぎちぎちだったみたいです)。

 新しい漫画が始まるということは、その分終わる漫画があるということです。逆に言えば、始まる漫画がなければ、終わる漫画もないわけです(要は、誌面にどれだけ余裕があるかという話なので、よほど誌面に余裕がある時なら、何も終わらずに始まることもあります。また、月刊誌では多くの場合、作品ごとに1話当たりのページ数も違うので、終わる数と始まる数は必ずしも一致しません)。

 他の雑誌のことは分からないのですが、ジャンプSQ.という雑誌では、連載会議をしても必ず新連載が決まるわけではなく、近年はむしろ新連載ゼロということの方が多かったそうです。だからまあ、タイミングが悪かったですね……という旨のことを言われました。新連載が出なければ、多分3話分くらい(大体1巻弱?)猶予というか、挽回するチャンスができるわけです。このあたりは割と「運」みたいなところがあるそうです。それでも結局のところ、私の力量不足が一番の原因だったとは思いますが(商業作品である以上、売り上げが悪ければ打ち切られるのは当然のことです。本来は、猶予がもらえる方がイレギュラーなことであって、運が良いだけです。それに、たとえ1巻分余分に描かせてもらえたところで、挽回できたとも思えませんし)。
 ただ、SQ.での連載が決まる前、担当さんが「今のSQ.はなかなか新連載が出てこないから、一旦連載が決まれば(売り上げが悪くても)4巻か5巻くらいまでは続けられると思う。だんだん面白くなっていく系の漫画には、むしろチャンスがある雑誌だと思う」という主旨の甘言を弄していた点については、まあ、思うところがなくもないです。私は他の編集者さんがどんな感じなのかは分からないのですが、担当編集者に楽天的なことを言われても、あんまり鵜呑みにすべきじゃないな~というのが、私の得た教訓です。常識なのかもしれないですけど。担当さんに楽天的なことを言われたら、そうだったらいいですね~、ぐらいに受け取っておくべきなんだなと思いました。
(※一応言っておきますが、担当さんに対しても編集部に対しても、別に恨みはないです。連載させてもらえたことにはとても感謝していますし、むしろ、私の力不足だったことの方が、申し訳なく思っています)

2.連続カラーの理由

 運次第なことといえば、『アインソフ』の連載が始まった時、なんと1話から4話まで4号連続でカラーがもらえたんですけど、これは別に優遇されていたわけではないです。SQ.読者の方の中には、「うわ、この漫画どんだけ推されてんだよ……(ドン引き)」とか思われた方もいるかもしれませんが、全然そんなんじゃないんです……。
 そもそもSQ.という雑誌では、基本的に1,2,4話はカラーがもらえます(1巻が3話収録の場合の話なので、1巻が4話収録だとカラーは5話目になります)。1,2話は新連載だからで、4話はコミックス1巻発売記念のカラーですね。そして以降も、コミックス発売の月には基本的に、辞退しない限りはカラーがもらえるらしいです。たとえ打ち切りが決まっていても、コミックス発売の月にはカラーがもらえる雑誌なんです。そして『アインソフ』の3話が掲載される号では、たまたまコミックス発売の作品が少なくて、カラーページが余ったらしく、連載始まったばっかりだしカラーあげよっか?みたいな感じでもらったカラーでした(担当さん談)。それで結果として、4号連続のカラーになってしまったのです……。
 ありがたいといえばありがたいんですが、『アインソフ』を面白くないと思っている方からは顰蹙を買うだろうし、ほんとにもらっていいのか? なんか怖いな……と思ったりしました。すみません、小心者で。だからほんと、優遇されていたわけではないんです……。
 でも、どんな雑誌でも、編集部に期待されずに始まる新連載なんて存在しないとも思っています。新しいタイトルを出すということは、本当に沢山の人が関わって、それだけの投資をするということなので。「売れるかも」という期待がなければ、新連載なんてやらないです(だからそこまでの期待ができる作品がなければ新連載ゼロだったりするわけで)。多分世の中の全ての新連載には、その編集部の夢と希望が詰まっているはずです。個人的には、それだけの投資をしてもらったのに、その期待を裏切ってしまって申し訳なかったな、という気持ちもあります。

 でも正直、読者目線で考えても、連載始まったばかりの無名の(絵が上手いわけでもない)新人作家のカラーページなんて、誰も喜ばないでしょ……とは思うので、読者の心証的には逆効果だったと思います。最初からあまり編集部に推されてるみたいな印象を与えると、読者的にはマイナスイメージが強くなる気がします。結論として、身の丈に合わないカラーページは、もらうべきじゃないなと思いました。
 読切作品なら、もらえるカラーはどんどんもらうべきだと思います。読切と連載では、またちょっと読者の心証も違うものですし。

3.SQ.での連載を目指している方へ

★SQ.という雑誌の特徴

 次に、連載を考えるなら留意しておくべき、SQ.という雑誌の特徴についてです。あくまで私個人の主観によるものなので反論もあるかもしれませんが、まあこういう意見もあるのか、ぐらいに思って読んで下さい。
 一読者だった頃から感じていたことなんですが、今のSQ.という雑誌は、「新しい漫画(新連載)を求める読者」の割合が、非常に少ない雑誌だと思います(10年くらい前のSQ.だと、新しい漫画を求めてる層がもっといたイメージなんですけど……)。どんな雑誌でも、購読者は何かしら目当ての作品があるからその雑誌を購読しているわけなので、目当ての作品さえ読めれば新連載なんか眼中にないという層は、必ずいると思います。どんな雑誌でも。ただSQ.は、それがかなり顕著な雑誌だと私は感じます。まあ無名の新人作家の新連載なんて、媒体に関わらず、基本的に誰も興味のないものなんですが。
 そして新連載に対する興味が薄いからこそ、とにかく分かりやすく目を引くだけの画力が求められる傾向にあると思います(あくまで傾向です)。画力というか、思わず表紙買いしてしまうレベルでの、絵柄のキャッチ―さというか……。興味がない人が誌面をパラパラ~っとしていても目に留まるくらいの、魅力的な絵柄(もしくは衝撃的な展開)。あと、完全に興味ゼロの状態で読んでも分かりやすいストーリー。この二つの要素が、今のSQ.という雑誌における王道だと、私は考えています。で、『アインソフ』にはそのどちらも足りなかったなぁと、今にして思います。特に、決定的に「画」の力が足りなかったです。

 そもそも「漫画」であるからには、まず「画面」が魅力的でなければいけません。セリフ等の文字情報は、その後の問題です。セリフとか適当に読み飛ばしても楽しめる、「画面を見てるだけで何かワクワクする」みたいな漫画になっていないと、大多数の読者は、多分読む気にもなってくれないです。興味がないわけですから、当たり前です。見てるだけで目が幸せな美麗絵なり、大迫力のバトルシーンなり、愉快な顔芸なり、一目で「何事!?」となるレベルの衝撃画像なり、何でもいいんですが、とにもかくにも、「画」の力が求められます。そこを乗り越えて、ようやく文字情報まできっちり読んでもらえる段階に辿り着けるのです。

 他の媒体でも言えることだと思いますが、「ちゃんと読んでもらえば面白いはず」という考えは、多分甘すぎます。そもそも無名作家の漫画なんて、「ちゃんと読んでもらえない」くらいを前提として描くべきなんです。ストーリー等の作り込み以前の問題として、興味ゼロの相手にすら「読ませる」だけの画力が、まず必要でした。この辺り、分かっていたはずなんですが、認識が甘かったなぁと思います。
(※というか、「ちゃんと読んでもらえば面白いはず」とか、そんな甘い認識で描いた漫画は、実際客観的に見たら、まあ多分そんな面白くないです。よっぽど周波数が合うごく一部の読者にしか伝わらない漫画になっている可能性が大です。『アインソフ』は、多分そうなっていたのかなと思います)
 新人作家の新連載なんて、長期連載の人気作の「ついで」にパラッとでも読んでもらえれば御の字です。だから、そこに(特に1話目で)どれだけ圧倒的な絵柄なり衝撃展開なりを詰め込んで、読者の目を引き付けられるかが勝負になるわけです。これはSQ.に限らず、どの媒体でも同じだとは思うんですが、SQ.は特に「まず読んでもらうハードルが高い」とは考えておいた方がいいです。

 ついでに言うと、画の綺麗な作品の割合が増えるほど、読者の目もそれに慣れてきますし、それを求める読者の割合も増えていきます。今のSQ.読者は、画の綺麗さに対して、恐ろしく目が肥えていると思います。
 正直自分でも、自分の漫画が同じ誌面に載っているのを見て、「これはパッとしないし読む気になんないかも……」と感じたんですよね。1話目の段階で。はっきり、明確に、致命的に絵が下手だし、何より「垢抜けてない」……と、自分で感じてしまうくらいなので、まあ相当です。何で連載始める前に気付かなかったの?と思われるかもしれませんが、ほんと何ででしょうね? 岡目八目? 初めての連載だし、大分冷静じゃなかったとは思います。
 SQ.での成功を狙うなら、画の「垢抜け」感は、かなり重要な要素かなと思います(誌面が「綺麗」になっていくスパイラルみたいなものは、多分あります)。今後連載を考えている皆様は、冷静に、雑誌のカラーや潮流を見極めていって下さい。

★商業漫画の打ち切りラインについて

 SQ.のストーリー漫画の場合、1巻には3話収録で、4話掲載号と同時に発売されます(基本的に)。つまり今回のように新連載ラッシュが起きて、1巻の売り上げの初動で即打ち切りが決まるパターンを想定すると、3話までの間に「絶対コミックス買うぞ!」と思ってくれる読者を、少なくとも3000人くらいは獲得しておかないと厳しい、という感じかなぁと思います。

「大手出版社はコミックス1巻初動3000が打ち切りライン」というネット情報を見たことがあるんですが、自分が連載してみた感じ、概ね正しい気がする、という印象でした。ただ、直接編集者の方に聞いたわけではなく、あくまでネット情報なので、実際正しいかどうかは分かりません。あと、出版社やレーベルによって発行部数なども全然違うはずなので、多分打ち切りラインも違ってくると思います。

 ここに書いた情報は鵜呑みにし過ぎないでもらいたいのですが、それでも、3000か、せめてそれに近い冊数(2500とか)売れなければならない、というのが私の実感です。
 新連載が出なくて誌面に余裕がある時なら、それを下回っていても猶予がもらえたりするわけですが、あくまでイレギュラーなことであって、基本的に「売れない作品は切り捨てて、どんどん新しい作品を試していく」のが、商業漫画雑誌としてのあるべき姿です。なのでまあ、「1巻初動3000」を最初のハードルと考えて、おおよそ差し支えはないかなと……少なくとも今のSQ.で1巻初動3000を超えられたら、即死は回避できると思います。WJとかだと、もっと上な気もしますが。
 改めて数で考えると、めちゃくそハードル高いな!?と思いますが、結局この高すぎるハードルが越えられずに、世のほとんどの新連載が打ち切られていくわけなんですよね……。

★SQ.連載における即死回避策①SNS等の活用

 ぶっちゃけ今のSQ.で、完全に無名の状態からこのハードルを超えるのは、あまりにも無理ゲー感が強いです。ピクシブもツイッターもサイトもやらずに(何も宣伝をせずに)コミケにサークル参加するくらいの無謀さです。他誌での経験があって個人的なファンがついていたり、連載前からSNSでファンを獲得しておいたりといった、事前の活動は必須だと思います。
 これだけ漫画が溢れている時代に、自分の作品を選んでもらうというのは大変なことです。この漫画飽和状態の中では、出版社や雑誌の発信力・ブランド力以上に、作家個人の自己プロデュース力が求められる時代なんでしょうね……誰もが自由に発信できるわけですし。
 私は怠惰な愚者なので、SNSやっても喋ることないしな……と思って何もアカウントを作っていなかったんですが、せめて読切デビューしたタイミングでツイッターのアカウントくらい作って、地道にアピールしておけば良かったと思います。焼け石に水かもしれないですけど、やらないよりはやっておいた方が、絶対にいいです。
 極論ですけど、「SQ.は買ってないけどコミックスが出たら買います!」と言ってくれるくらいのファンを獲得できていれば、理想だと思います。特に月刊誌はアンケートの数自体が集まりにくいので、作家の生命線も、圧倒的に、単行本の売り上げにかかっています。もちろん雑誌のアンケートも大事ですし、打ち切りラインを下回っている作品が複数あった場合は、当然アンケートの悪い順に打ち切られます。が、たとえアンケートが良かったとしても、単行本の売り上げが伸びなければ、いずれ打ち切られます。

 ちなみにこれはツイッター情報なんですが、媒体によっては編集者の方から、「ツイッターやピクシブを積極的に活用して、二次創作しまくってでも、自分のファンは自分で増やしておいて下さい。作品の宣伝も自分でしなさい」的な指導をされるらしいです。そのツイートを見た当時は、身も蓋もねぇなと思ったんですが、今の漫画業界の現状を考えればある意味誠実というか……一握りの天才以外は、そうでもしないと生き残れないという側面はあるなと感じます。読者の母数が圧倒的に多い週刊誌や無料系WEB媒体ならともかく、そもそも購読者数の限られる月刊誌では、自己プロデュースできない作家は厳しいんだろうなと思いました。今の時代、とにかく、単純に「載れば読んでもらえる」とは、思わない方がいいです。まじで。
 なお、週刊誌やWEB媒体は、読者の母数が圧倒的な分、確実に月刊誌よりも、競争自体はシビアなはずです。連載を狙う作家の数も、月刊誌とは比べものにならないくらい多いはずなので、多分打ち切りラインを下回ったら即打ち切りです。新連載が出てこなくて延命されるとか、そんな悠長な世界ではないと思います(アンケート結果やPV数によっては延命の可能性もあるかもしれないですけど)。
 ただ、それぞれの媒体によって読者の好みも違っているわけなので、結局自分の作風に合った媒体を見つけられるかが、一番重要な気はします。まあ私の場合は根本的に実力が足りていないので、もっとシンプルに修行が必要なんですけども。
 現状SQ.では、作家のSNS運用については、やるもやらないも完全に作家任せなので、これからSQ.での連載を狙う作家の皆様におかれましては、連載を始めるまでに、とにかくSNSでも何でも駆使してファンを増やしておくことをお勧めします(炎上商法は駄目ですけど)。それでも成功できる保証はないわけですが、「可能性」は、間違いなく上がります。特に、1巻の初動にはダイレクトに影響すると思いますので、ここで切られる可能性を回避できるだけでも、かなり大きいです。まあ今時、改めて言うほどでもない、当たり前のことなんですけども。そしてSNSすらやってなかった怠惰な新人作家なんて、私くらいのものかもしれませんが(少なくとも、今ここを見ている皆様は、ツイッターなりnoteなりやってますよね)。
 それでもあえて言っておきたいのですが、賢明にして勇敢なる新人作家の皆様は、SQ.の既存読者が読んでくれることをあてにし過ぎず、むしろ自力でSQ.の方に読者を引っ張ってきてやるわという気概を持って臨んで下さい。以上、大爆死した新人作家からの遺言でした。

 逆に考えれば、週刊誌などに比べて競争が少ない分、自分のSNS力次第で成功の可能性を上げることができる媒体だとも言えます。これは週刊誌、特にWJなどではまず通用しないやり方なので、総合的に考えれば、SQ.の方がチャンスの大きい媒体なんじゃないかなぁと、個人的には思っています。個人の資質として「合う・合わない」はあると思いますけども。

★SQ.連載における即死回避策②読切修行の重要性

 作家としての認知という点ではもう一つ、私は増刊のRISEに掲載された『n次元のソフィア』という読切(↓リンク先で読めます)でデビューして、そのアンケートの結果がとても良かったので、そのまま連載会議まで進んで、連載が決まってしまった人間です。

ジャンプ+で無料公開されているので、興味のある方は読んでみて下さい。
(画像クリックで作品ページに飛びます)

 読切一作だけで即連載という、客観的に見ればあり得ないくらいトントン拍子だったわけですが、今思えば、せめてもう一作くらい、読切を描いておくべきだったと感じています(もっと言えば、短編集が出せるくらいの数を発表してから連載に進むべきでしたね……)。新人の場合、読切での修行を積んでいないということは、それだけ作家としての認知もされていないわけですし。
 読切を描いても描いても結果が出なくて、連載会議にも進めない状況は、多分精神的にもめちゃくちゃキツイと思います。でも、少しずつでも、描いた読切の数だけ必ず実力はつきますし、確実に読者にも認知されていきます。応援してくれる人も出てくると思います。それはいざ連載になった時、必ず力になるはずです。足跡が多いのは、間違いなくすごいことだし強みだと思います。
 実際私自身、例えば現在SQ.で連載している『戦奏教室』のお二人は、読切が何度も載っていたことから、連載開始当初からずっと注目していました。読切時代から、絵も話も掲載されるたびにどんどん上手くなるし、色んなタイプの話が描ける方達ですごいなぁと思っていて、新連載告知を見た時は、ついに連載獲ったんだ!絶対面白いやつだ!とめちゃめちゃ楽しみにしてました。実際めちゃ凄面白漫画なので皆様読んで下さい。あと『Thisコミュニケーション』も、読切時代からヤベー漫画を描く方だなぁと印象に残っていたので、連載になって読切時代よりもさらにヤベー漫画を見せつけられて、ガチでヤベー作家だ……と戦慄しました。誉め言葉です。
 まあそんな感じで、読切時代の印象があるかないかで、新連載を読む時のモチベーションも結構違うなぁと自分でも思います(上記の2作に限らず、近年連載が始まった方は読切やSQ.降臨以前から存じ上げているので、気持ち的には全員応援しています)。読切を沢山描いている人は、それだけ実力もファンもついているので、連載になっても強いはずです。
 私は正直、身の丈に合わない「幸運」で連載が決まったようなものだと思うので、そんなラッキーは結局長続きしないんだな……ということを痛感しました。経験値を稼いでレベリングする段階をすっ飛ばして、いきなりラスボス戦に行ったようなものですからね、そりゃ無理ゲーです。別に頑張っていなかったわけではなく、少なくとも作品そのものに対しては、今の自分にできる限りの精一杯で頑張りました。頑張った上での結果だからこそ、そう感じるんです。

 実は連載会議に出すネームを作る前に、自分でももう一回くらい読切で様子を見るべきだと思って、読切ネームも出していたんですが、担当さんから「『ソフィア』の結果が良かったんだし、もう読切で試す意味がないと思う」と言われて、結局その読切ネームはお蔵入りさせたんですよね……。それはきちんと主人公をアインとして描いた『アインソフ』の読切版だったので、今思えば、担当さんの反対を押し切ってでも試させてもらえば良かったなと……ちょっと後悔してます。もしその結果が悪かった場合は連載が遠のいたかもしれないですが、それはそれで、企画自体を考え直すチャンスと捉えることもできますし、連載する上での地盤みたいなものは、もう少し築けていたかもしれないとも思うので……。
 とまあ、後であれこれ考えることはできますが、未来は分からないですからね……。その時は、不安がありつつも早く連載したい気持ちの方が強かったので、結局無理ゲーに挑んだのは私の判断であり、結果玉砕したのは私の責任です。冷静に心を強く持っていれば、「今は、やめておく」選択もできたはずなので……。難しいですね。

 SQ.に限らず、「こんなに読切描いてるのに先に進めない!」と、もどかしさを感じている新人作家の皆様には、ほんと、「それ全部無駄になってないからーー!!! 読切の数だけ、連載になった時の勝率絶対上がるからーー!!!」と伝えて回りたいです。まじで。ほんとに。連載獲ったくせに贅沢なこと言いやがって●すぞと思われるかもしれませんが、私はあと何作か読切描いておきたかったよ……読切で着々と下積みできている方を見ると羨ましいとすら思う……。
 なぜか1発目でまぐれ当たりしてしまって、実力も伴わないまま連載になってしまった私の大惨事を教訓にしてくれ……。

★新人作家から見た、SQ.という雑誌の罠

 ジャンプSQ.は、デビューはしやすい雑誌だと思います。ジャンルや作風を問わず、画風も、絵の巧拙すらあまり問わず、本当にバラエティー豊かな新人をめっちゃ受け入れてくれます。増刊のRISEを読んでみて下さい。こんなにジャンルチャンポンでいいの~??と思うくらい、雑多なごった煮雑誌になってます(個人的にはRISEの、この「ごった煮」感が好きなんですよね)。さらにSQ.では、連載作品に休載が多い分、本誌掲載のチャンスもかなりあるので、新人作家の読切発表の場としてはこれ以上ないくらいに恵まれていると思います(月刊誌の中では一番かも)。
 とにかくデビューしてみたい人や、自分の実力を試したい漫画家志望者にはオススメの媒体ですし、自分の漫画が誌面に掲載されてアンケートで評価が得られるという経験は、そこで連載するかどうかに関わらず、非常に刺激的で貴重な、成長の糧になるはずです。
 が、これが連載になると、途端に鬼ハードモードになります。どの雑誌でも連載が鬼ハードなのは当然だと思いますが、SQ.は読切デビューしやすさとの落差が激しい気がします。
 SQ.という雑誌における罠として、購読層の需要と編集側の選定基準に、若干のミスマッチがあるように思います。雑誌の購読層からはハイレベルな画力が求められる傾向にあるのに、SQ.の編集者が、作家に対してあまり画力を求めてこないんですよね……。漫画は面白ければいい、というあの精神だとは思いますが、SQ.においては、まず画力で目を引けることが前提、だと考えておいた方がいいです。まじで。もちろんその上で面白さも大事なんですけどね。欲張りセットが過ぎる。
 参考までに言うと、私はスクエニ某誌の方にも見て頂いたことがあるんですが、その方からは、「話は面白いけど、画力が全く掲載できるレベルにない。作画者を別につけて、原作者としてやる方向もあるけど……とにかく画力が足りてない(要約)」という評価を受けた人間です(一応、担当になる、とは言ってもらえました)。スクエニさんの雑誌もハイレベルな画力が売りなイメージはありますが、実際編集部も、かなり画力を重視しているんだなぁという印象でした。でも、同じく高い画力がないと生き残るのが難しい(と私が思う)SQ.では、私の画力についてほぼ指摘がなかったです。だから連載まで行ってしまったわけですが。
 つまり何というか、他誌では酷評される私くらいの画力でも、SQ.は載せてくれてしまう、けど、実際の読者には見向きもされない、という感じでしょうか。単純に掲載されることや連載することではなく、今のSQ.でヒットすることまで狙うなら、画力が必須です。編集者は指摘してくれないかもしれないけど、とにかくぱっと見で目を引くくらいの画力を目指した方がいいです。SQ.編集部の画力判定の甘さに甘えてはいけません。ギャグ漫画ではその限りではないかもしれませんが、それ以外の漫画(特にシリアス寄りのストーリー漫画)なら、画力がものを言う側面は確実にあると思います。
 近年は週刊誌でも、まじでどこでも誌面が「綺麗」になっていってるなぁと思いますし……それ以前に、ツイッターやピクシブにも美麗絵や面白漫画がどんどこ溢れてるわけですし……(その中でなお異彩を放たないと生き残れない世界……)。
 そもそもどんな媒体でも、まず目に留まらないと読んでもらえないので、漫画を描く上で画力を鍛えておいて損はないです。って、言うだけで画力が鍛えられたら誰も苦労しないんですけど。私だって絵上手人(えうまんちゅ)になりてぇ~よ……。

★SQ.戦国時代

 長年のSQ.読者の方は感じていたことだと思いますが、ここ数年は、新連載があまり出てこない停滞期でした。これは、作家的にはチャンスが大きい状況だったと言えます。誌面に余裕があって新連載が出てこない状況であれば、打ち切りラインを下回っていても、しばらくは様子見してもらえる率が高いわけなので。
 しかしここ最近、本誌でも増刊(RISE)でも、これは面白いな~と感じる読切が格段に増えたので、今後はどんどん新連載が始まる戦国時代に突入したのではないかと私は感じています。作家にとっては大変な時代になったかもしれません。1話目から分かりやすく面白くテンポ良くスピード感があって「画面が気持ちいい」漫画を描かないと、2話目はない、くらいの覚悟が必要です。間違っても「だんだん面白くなっていくから」とか、甘い意識で描いてはいけません。面白くなる前に即死です。というか、今はどこの媒体でも「読者が我慢して読んでくれる」ということはありえないので……まあ、スロースタート系の作品が新規で生き残るのは難しいですね……それこそ画力がものを言います。
 なお新連載連発は、雑誌にとってリスクも負担も大きいので、もしヒットが出なかったら雑誌の存続自体が危うい気もしますが……SQ.も今、リスクオンで勝負に出ている雰囲気を感じます。そんな中で赤字を出させた私は、(編集部に対しても読者の皆様に対しても)まじで申し訳ないとしか言いようがない……ほんとごめん……。

 雑誌の傾向とか作家個人の知名度とか、そんなものを全部はね除けるくらいの、「圧倒的に面白い」漫画というのも、多分存在します(もしくは、雑誌の傾向を敏感に掴んで、それに合った作品を作ることができるか……)。そんな漫画が描ける作家なら、きっとどんな媒体でも成功できると思います。でも、そこまでの才能がないなら、生き残る上で一番大事なのは、自分の作風に合った媒体を見つけることだと思います。植物と一緒ですね。土が合ってないと枯れます。今は同人イベントの会場でも持ち込みができますし、色々な媒体の編集さんに見てもらうのもいいかもしれません。その上で自己プロデュース力を鍛えていくのが、これからの漫画業界で凡才が生き残っていく道なのかな~と、私個人は思っています。
 漫画描くだけでいっぱいいっぱいなのに、やることが多いわ!!!って感じですけどね。マルチタスクの苦手な人間には、正直きつい時代ですな。

4.最も有効な、推し作品支援方法

 SQ.は、分かりやすく映えるバトルや分かりやすく笑えるコメディ、スリリングな衝撃展開が好まれる傾向の雑誌だと感じますし、そういう要素が皆無と言っていい『アインソフ』は、単純につまらないと感じた読者の方も多いと思います(正直自分でも、一言でいえば「地味」というか、悪い意味で読み手を選ぶタイプの漫画だったと思ってます)。
 でも、たとえ面白いと思ってもらえたとしても、「まあコミックス買うほどじゃないかな~」というレベルだと、結局打ち切られるんですよね……読者としての自分にも身に覚えがあるので。誌面では割と楽しみにしていたけど、コミックスまでは買ってなかった、という作品が打ち切りになって、寂しい気持ちになったことは何度もあります。
 読者の皆様におかれましては、もしも今後、コミックスまで買うか微妙な作品に出会った時、それが「誌面から消えたら寂しいかも」と感じるなら、どうか思い切って買ってあげて下さい。
 多くの漫画家さんのツイートでもよく見かけることですが、できれば発売から1週間以内に、可能なら紙で買ってあげると、作家にとっては何よりの応援になります。なぜ紙なのかと言うと、電子は紙よりも集計が遅いからです。この辺りはシステム上の問題なので、将来的には是正されてくる可能性もありますが、現状、電子の売上の結果が出る前に紙の本の結果だけで打ち切られることも多いです。というか実際私がそうでした。
 新連載(個別課金してもらえないと)すぐ死ぬ……いやらしい言い方で申し訳ないのですが、描き手側になってみた印象としては、まじでこれに尽きます。なので作家は、「この作品にお金を出そう」と思ってもらえるレベルのエンタメにできているか、という意識で自分の作品と向き合い続けていくことが、何より大切かもしれません。「まあ一応読むけど」レベルの面白さでは、全然足りません。自分の作品に愛着を持って描くことは前提だと思いますが、最終的な表現として、それが「売れる」ものになっているかが、商業作品としての価値の(ほぼ)全てです。商業作家を志すなら当たり前の心構えですし、分かってるつもりだったんですけど……結局その意識がまだまだ甘かったですね。

 また、エンタメが多様化してウェブ漫画の台頭も著しい昨今、「雑誌」という媒体自体がオワコン化しつつあるということは、作家側読者側双方が留意しておいてほしいことだとも感じます。特に月刊誌。SQ.も例外ではないくらい、読者数が減っています。人口流出が止められない限界集落のように。大多数の読者の皆様にとって「つまらない」漫画を描いてしまった私が言うのもアレなんですけど。過疎化を早めてしまっていたら申し訳ない。そこはほんとごめん。
 ただ、ここで言っておきたいことは、今の月刊誌というのはそんな限界集落の如き世界なので、たとえ「これは面白いかも」という漫画が始まったとしても、そのクチコミが雑誌の購読層外まで波及しないと、普通に生き残れなくなってきている、ということです。多分今、読者の皆様が思っている以上に、作品をRTしてもらえたり話題にしてもらえることは、力になります。SQ.も、何とか皆様に話題にしてもらえるように頑張って、毎月全作品の試し読みとか始めたわけなので……良かったらRTしてあげて下さい……(『アインソフ』の試し読みとかRTしてくれた方、マジでほんとにありがとう……知名度ゼロを通り越して虚無みたいな作品をRTするのって、かなり勇気がいることだと思います……ほんとにありがとう……)。
 なお作家側としてはこの点でも、連載開始までに、どれだけ作品をRTしてくれるファンを獲得できているかが、重要になってくると思います。何度でも言いますが、SQ.で連載を狙う新人作家の皆様は、まじで、連載が始まる前に勝負は始まってると思っておいた方がいいです。
「読者が話題にしたくなるような話を描けなかった」私自身の力量不足を棚に上げるつもりはありません。本来こんなことは、読者の皆様に考えてもらうことでもないと思いますし、本当に面白い作品なら、おのずと話題になって、単行本も売れると思います。しかし世の中の流れとして、相対的に「雑誌」という媒体の力が弱くなっていることも事実です。今後、もしかすると今後、読者の皆様がヒット前の作品を推したくなった時、上記のことを思い出して頂ければ、救われる作品もあるかもしれないと思ったりもするので、参考までにお伝えしておきたかったのです。一読者として、SQ.になくなってほしくないですし……。
 あと、たとえ打ち切りが決まっていたとしても、さらに言えば、すでに終わった過去作だとしても、単行本(電子でも紙でも)を買うことは、確実に作家への応援になります。同じ打ち切りでも、「これだけ売れた」という実績にはなるので、買ってもらえるほど、次に繋がりやすくなるという面はあると思います。せっかく単行本を買ったのに……と虚しい気持ちになることもあるかもしれませんが、作家にとっては決して無意味なことではありません。あなたが買って下さった1冊が、その作家の人生を支え続けます。本当にありがとうございます(個人的にはそれと同じくらい、私の実力が足りないばかりに、終わっちゃってごめんなさいという気持ちもあります)。

 私はずっと、ただの漫画大好きなだけの読者側の人間だったんですが、描く側に回ってみて初めて、「自分の本を買ってもらえることの有難み」に気付きました。いやほんと、本を買ってもらえるって、めちゃめちゃすごいことなんですよ? ありがとうございます。
 今後、読者の皆様が打ち切りを恐れず、ヒット前の作品にも果敢に手を出していって下さることを願っています。

 ちなみに漫画雑誌というのは、雑誌自体がどれだけ売れても、基本的に黒字化が難しい(ほぼ不可能)媒体です。単行本が売れて、初めて利益になるのです。つまり、新規のヒットが定期的に出てこないと、休廃刊の危機になります。SQ.という雑誌は、単純に部数だけを見れば一応まだ売れている方なんですが、肝心の単行本が……というピンチが続いてる状態です。なのでまあ、SQ.という雑誌がなくなったら寂しいかも、と思われましたら、たまにはお目当ての作品のついでに新連載とかも読んであげて、良ければ試し読みのRTとかしてあげて下さい、という話です。いや……過疎化を早めたかもしれない私が言うのも、まじおまゆうなんですけど……そこは心底申し訳なく思ってます。というか、今はRTじゃなくてRPって言うのかな? 時代についていけてなくてごめん。

 結局単行本は紙と電子、どっちを買う方が作家にとって嬉しいのか、という話で、「連載継続中なら紙、連載終了作なら電子」と回答しておられる作家さんを見かけます。私も概ね同意です。これは、連載の継続は紙の売上に懸かっている部分が大きく、一方、電子は1冊単位でも印税収入が発生するという利点があるからです。連載がなくなって定期収入が途絶えた状態だと、本当に、あなたの買って下さった電子書籍が作家の生活を支えている、と言っても過言ではありません。
 ただ、私個人としては紙の本が好きで、『アインソフ』の表紙やカバーも、紙でめくった時に楽しんでもらえたらと思って描いたので、連載が終わった今でも、可能なら、紙の本をお手に取って頂けたらいいな……とは思っています(裏表紙のソデとか見てほしい)。無理にとは言いませんし、電子版を買ってもらえるのは本当に切実にありがたいです。
 ともあれ結論としては、「紙でも電子でもどっちでも嬉しいし助かる!」です。

5.打ち切りと個人的な心境

 打ち切り決定の連絡を受けた後の、個人的な心境も書いておきます。
 まず、その夜は一睡もできませんでした。SQ.で3巻打ち切りって、敬愛する西修先生の『ホテルヘルヘイム』とおそろいじゃ~ん、とかポジティブ(?)な思考に持っていこうとしたんですが、だめでしたね……。担当さんからの電話は冷静に受け応えできていたと思うんですが、すでに頭が真っ白でした。電話を切った後は、連載が決まった時に仕事も辞めちゃったし、これからどうしようとか、せっかく立てていたプロットも無駄になるし、何より、自分の信じた物語を最後まで描ききることができないという現実が悔しくて悲しくて、吐くほど泣きました。
 変な話ですけど、一番感じたことは、「物語に対して申し訳ない」という気持ちでした。他の誰に評価されなかったとしても、私は『アインソフ』の世界が大好きで、大好きだから描いていました。もちろん今でも大好きで愛着があります。それが描けなくなることが、何より辛かったです。今でも続きは描きたいですし、なんかうまいことどこかで描かせてもらえないかなぁという希望も捨てきれずにいます。いつか富豪になって生活の不安を感じなくて済むようになったら、どこかの投稿系ウェブ媒体とかででも勝手に続きを連載してやりますわと思ったりもしてます。
 でも現実は、無職になることへの不安と悔しさで不眠症になりましたし、1週間で体重が5キロ減りました。ストレスで食事も喉を通らないってこんな感じだなぁと思いました。昔からストレスが胃にくるタイプなんですが、過去一ひどかったですね……胃の受け入れ拒否っぷりが。
 それでも、とにかく3巻分描かせてもらえるんだから、精一杯描き切ろうと思って、なんやかんや11話まで描き上げたわけですが、『アインソフ』を読んで下さっている方に申し訳ない気持ちにもなったりして、本当に毎日泣きながら原稿しました。もっとスッパリ気持ちを切り替えて打ち込めれば良かったんですが、豆腐メンタルの引きずり人間なので駄目ですね……。心を入れ替えたい……。
 ただ、1年弱とはいえ連載を経験したことで、とりあえず自分は「毎月45ページの原稿を描くことができる人間だ」という部分だけは、ちょっと自信が持てました。連載前は、描くの遅いし無理かも……と思ったりしたんですが、一人でも月45ページ、描けました(多少無理はしてたんで、余裕を持って描くなら35ページとかかなぁとも思いますが。もしくはきちんとアシスタントさんを雇うか……)。あと、中国地方のアナグマパラダイスな田舎住みでも、漫画の連載ってできるんだなぁとも思いました。便利な時代ですね。

6.『アインソフ』を読んで下さった皆様へ

 最後に、『アインソフ』を読んで下さった方々には、本当に言葉に尽くせないほど感謝しています。打ち切りが決まった後、何より心の支えになったのは、「アンケートも0票ではない」し「コミックスの売り上げだって、0ではない」ということでした(同時に胸が痛かったのも事実ですが)。
 特にコミックスを買って下さった皆様には、一生恩に着るくらい、感謝しています。本当にありがとうございました。この上さらに厚かましいようで恐縮ですが、来月(2024年2月2日)発売する最終3巻も、買って読んで頂けたら嬉しいです。最後まで描きおろしも頑張りましたので……! どうか……!
 そして、連載が終わってもなお願うことは、せっかく描いたからには、一人でも多くの方に読んでもらいたいということです。私は強欲の描き手なので。打ち切りという結果が示す通り、多分万人受けする作品ではないと思いますが、周波数の合う方に見つけて頂ければ幸いです。
 自分のヘキを公開プレイしているみたいでアレなんですけど、「少年みたいな姿のまま悠久を生きる系の、物腰柔らかふわふわ銀髪にこにこつよつよミステリアスお兄(?)さんが性癖」の方には、九割方刺さるのではないかと自負しております。ニッチなヘキかもしれないですが、お客様の中に同志の方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします! あと、ちょっと変わった切り口の吸血鬼モノが読んでみたい方にもオススメかも? いやほんと、今まであんまりなかったタイプの吸血鬼モノだと思いますよ?
 この文章をここまで読んで、ちょっとでも興味が湧いた方は、ぜひ読んでみて下さい。もし面白かったらお友達にも薦めてみてね。全3巻でさらっと読めると思うので(笑)。↓画像クリックで密林に飛びます。

1巻は2023年6月2日に発売したよ。
2巻は2023年10月4日に発売したよ。
3巻は2024年2月2日発売予定。
まだ書影が出ていないのでラフ画だよ。

 私は初心に帰って、またせっせと読切のプロットをねりねりしておりますので、いつかどこかで再会できたら幸いです。生きて漫画を描き続けていれば、いつかひょっと『アインソフ』の続きを描ける日が来る可能性もゼロではないですし……十年くらい前の某野菜ジュースのCMくらいポジティブに生きていきたいです。その時までツイッター(X)君が生きてるか心配ですが。オススメの代替SNSあったら教えて下さい。次こそちゃんと宣伝したい。あ、あと『アインソフ』を読んで私の絵柄や作風を知っている有識者の方、この媒体が合ってるんじゃない?とか思うところがあったら、DMとかでこっそり教えて下さい。参考にします。
 最後まで読んで下さってありがとうございました! 今回応援して下さった皆様に、いつか、「あの時応援して良かった」と思って頂けるような作品が描けるように、これからも精進していきます。
 本当にありがとうございました。

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